週刊 「儲け創り」 通信

〜創刊106号 2005年9月4日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第七経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人) 望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、 【高い顧客価値&満足 ( の創造 ) ⇒高い粗利益 ( の創造 ) ⇒高い社員価値&満足 ( の創造 ) 】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質 をお伝えしていくものです。


今週の「儲け創り」のヒント

 

「経営の質とは、

「経営資源 (ヒト、モノ、カネなど) 」

「企業価値 (結果としての売上→利益) 」

の生産性のことである。」

 

したがって、経営の質とは、
企業価値の向上に対して、
最も生産性の高いと思われる経営資源を、選択し、使用することである。
死に金を使わずに、生き金を使うことである。


  起業から年商10億に至るまでは、無から有を創り出さなくてはならないし、しかも、経営資源は、質も低く、量も少なく限定されている。したがって、経営者の時間を中心に、使えるものは何でも使い、ただひたすらに、貪欲に企業価値(結果としての売上→利益)を追求するしかない。まずは、経営の量の確保がポイント。この段階で問われるのは、どんな問題でも解決し続ける情熱と知恵である。情熱と知恵あるものだけがこのステージを乗り越えることが出来るのである。
  起業ステージをクリアできたら、次は承ステージ。ある程度の経営資源の量と質を確保できたこのステージから先のステージにおけるポイントが、冒頭に申し上げたような 「経営資源(ヒト、モノ、カネなど)」対「企業価値(結果としての売上→利益)の生産性(=経営の質) となるのである。

 

 

起業から10億、20億、30億、そして50億へ。

「起業の成長ステージ別の

経営の重要ポイントの変化」


 まずは、ヒトに関して、経営者1人、もしくは、数人の幹部しかいない状態。大切なのは、もちろん、 「カネが儲かるビジネスモデル(モノのまわし方)」 の確立とその実践

次に、カネがある程度儲かってきた年商10億レベルの状態。大切なのは、もちろん、 「ヒトが儲かる企業理念」 の確立とその実践 。ビジネスモデルと企業理念がなければ、優秀なヒトは、集まらない。優秀なヒトが集まらなければ、再投資のためのカネも集まらない。つまり、家業レベルで終わりということ。企業レベルにはなれない。次のステージである企業レベルに行きたければ、「ヒトが儲かる企業理念」の確立とその実践が大切。企業理念や、経営理念が大切であるというのは、単に、カッコをつけるために申し上げているのではない。 「ヒト儲け」、更なる(=再投資のための)「カネ儲け」のために、企業理念や、経営理念の確立と実践が必要 だと申し上げているのである。しかし、このあたりの論理がなかなか理解できない経営者も多い。経営に対する認識や、ヒトに対する洞察が甘いのである。だから、年商10億を超えられない。単に、経営者の私腹を肥やすためだけに、誰が、泊りがけ、休日返上で仕事をするのだろうか?このステージにおいて、泊りがけ、休日返上の社員が出てくる風土を創らなければ、永遠に、企業ステージに行くことは出来ない。

 

 

「小さな池の大きな魚」を執念で釣り上げる

日経ビジネス2005年9月5日号有訓無訓「小林製薬会長 小林一雅氏の言葉より」


  私が、マーケティングの面で、非常に優秀な企業であると考える企業のひとつに小林製薬( http://www.kobayashi.co.jp/ )があります。小林製薬のマーケティングがなぜ優秀かと申しますと、日本経済が供給過剰の時代に突入した1970年代後半以降、成功するマーケティングの考え方を見事に具現化している企業だからです。そのマーケティングは、同社の 「あったらいいなを形にする」 と言うブランドスローガンに見事に表現されています。代表的なヒット商品は、古いところでは、ブルーレット(トイレ洗浄剤)、サワデー(芳香消臭剤)などがあります。このような大ヒット商品群は、 「ニッチ市場の高シェア商品」 を、いつ何時も狙っているというマーケティングの考え方の具現化の成果です。この「ニッチ市場の高シェア商品」を、「小さな池の大きな魚」と称して、その大きな魚を執念で釣り上げるというのが、小林製薬の真骨頂なのです。今回の記事は、年率10%程度のペースで伸びていた売上が、残念ながら、ここ数年、2〜3%に落ちてしまったという書き出しで始まっています。2000年に立派な研究所を作ったことで、幹部の中で、泥臭い執念が薄くなってしまったことが原因のひとつのようです。また、現場を知らない幹部が、マーケティングの小難しい言葉を使うことも戒めておられます。そして、「うちのかみさんが、これがええと言うてる」とか、「娘にこんなんほしいといわれた」と言うようなわかりやすい話の先にヒット商品があり、小林製薬の原点であるともお話をされています。もちろん、このようなモデルの場合、大商圏を前提にしなければ、 「小さな池の小さな魚」 になってしまうわけですから、有店舗展開の場合、全国展開の販売網の前提が欠かせません。ですから、ある程度の企業規模の製造業か、小売業で言えば、通信販売、つまり、インターネット通販や、カタログ通販の世界でしか通用しないモデルです。しかし、逆に言えば、インターネット通販やカタログ通販において、ヒット商品を創るコツは、小林製薬にような「あったらいいなを形にする」と言う考え方になります。 インターネット通販やカタログ通販のバイヤー及びマーチャンダイザーの皆様、是非、生活の中のあったらいいなを形してヒット商品をどんどん創ってください。


 最後に小林会長のマーケティングの極意を引用しておきます。 「現場に根ざした視点で開発テーマを掘り下げていけば、コンセプト、ターゲット、ネーミング、パッケージ、広告のすべてに関して、ものすごくシンプルな答えが見えてくるはずです。そして、そこまでわかりやすくした商品は必ず売れます。私はこれこそがマーケティングの極意だと思っています。」 望月も全くの同感です!

 

今回、初めて、お読みいただいた方々のために、「儲け創り」に関する望月隆之の基本的な考え方をお伝えします。

経営とは、「儲けを創り続ける事」です。それでは、ここで言う儲けとは、「顧客に満足していただくという意味でのパフォーマンスをアップし続けることと、そのパフォーマンスをアップすることにつながるコストは使い、逆に、つながらないコストをカットすることにより、その結果として、コスト総額をダウンし続けることから産み出されるもの」です。したがって、ハイパフォーマンスオペレーションとローコストオペレーションの組み合わせ=顧客の満足創りと、そのために必要なコストは使い、必要ではないコストをカットするという意味でのローコストを飽くことなく追求し続けることによって、粗利を付加し続けることこそが経営と言えます。つまり、顧客にとっての高い満足・価値を創り続けることが経営です。ということは、そのためのコストは、期待できるお買い上げ額に対する一定の比率以下であれば、いくらかけてもいいし、逆に、そのためにならないコストはたとえ1円であってもムダであり、そのような視点で様々な経営判断を行なうのが経営者、もしくは、経営幹部の仕事です。特に成熟した消費社会である日本市場においては、単なる価格訴求のローパフォーマンス=粗利を削減し続けることによる顧客の満足創りは、成功し続ける経営とは呼べません。さあ、皆さん、ハイパフォーマンスをローコストで実現し、高顧客価値・高粗利益・高社員価値経営を実現し続けましょう!



望月隆之の事業理念

私がこの聖堂(≒事業)を完成させることが出来ないことは悲しむべきことではない。私は年齢を重ねていく。代わってこの聖堂(≒事業)を再び始める他の者たちが現れるだろう。このようにして、聖堂(≒事業)はさらに壮麗なものになろう。

(アントニ・ガウデイ「ガウディの言葉」より)



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