週刊 「儲け創り」 通信

〜創刊109号 2005年9月25日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第七経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人) 望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、 【高い顧客価値&満足 ( の創造 ) ⇒高い粗利益 ( の創造 ) ⇒高い社員価値&満足 ( の創造 ) 】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質 をお伝えしていくものです。


今週の「儲け創り」のヒント

「成長ステージ別
経営資源の構造と
ステークホルダーとの関係」

 経営資源とは、申し上げるまでもなく、企業価値を向上させるという経営の目的を達成させるための手段としての資源のことで、具体的には、「ヒトモノカネその他」のことを指します。この経営資源の構造や、ステークホルダーとの関係を理解することは、経営の本質を理解することにつながります。

 

起業ステージにおける経営資源の構造とステークホルダーとの関係

@まず、経営者というヒトの持つ人生観、経営観がベースとなる。

A次に、その経営者が、売る仕組み=市場創り=マーケティングというモノを創り、実践する。
(ちなみに、マーケティングを成功させるのに最も大切なことは、現在からほんの少し先の時流
にあると思われる市場(ヒトのココロが求めるもの)に対応することです。現在からほんの少 し先の時流のことを考えて、まとめたものを仮説といいます。ですから、仮説の無いマーケティング はありえませんし、経営もありえません。ちなみに、仮説が無く、実行ばかりの経営のことを「妄
動経営」と呼びます。実行が無く、仮説ばかりの経営のことを「妄想経営」と呼びます。起業経営者に多いのが、「妄動経営」です。承業経営者(≒2代目、3代目経営者)に多いのが、「妄想経 営」です。)

B最後に、カネは、経営者とマーケティングという「商品」が良く出来ていれば、自ずから集まって来るものです。カネは、基本的に、経営者とマーケティングという「商品」が、リスクとリターン
の関係のなかで、充分な可能性を提供できれば、自ずから集まって来るものです。集まってこないのは、経営者とマーケティングという「商品」自体が悪いのか、その「商品」の魅力を伝達する方 法が悪いのかのどちらかになります。伝達する方法=テクニックが悪いのであれば、比較的短時間に 修正することが出来ます。また、マーケティングの場合も、比較的短時間で修正が可能です。しかし、
こと経営者が悪い場合、その修正にある程度長時間かかるのはやむをえないところでしょう。

 

承業ステージ以降における経営資源の構造とステークホルダーとの関係

 基本的な順番である「@ヒトAモノBカネ」は変わりません。
 ただし、@ヒトには、役員や社員が付加されます。経営者という「商品」の魅力のレベルに応じて、付加される役員や社員のレベルも変わります。単に私腹だけを肥やしたい経営者には、その経営目的(=経営理念)にふさわしい社員と役員が付加されます。単に私腹だけでなく、「公腹(=社会貢献)」も肥やしたいという経営者には、その経営目的(=経営理念)にふさわしい社員と役員が付加されるのです。ちなみに、ここで申し上げている経営目的とか経営理念とは、申し上げるまでもなく、経営者の本音の経営目的や経営理念のことを指しています。優秀な役員や社員が欲しいからという理由だけで、本音に基づかない経営目的や経営理念を掲げても、それは意味のないことです。単に私腹だけを肥やしたいという本音は、すぐにばれてしまうからです。私腹と公腹の両方を求める経営者は、優秀な役員や社員の付加を可能にします。
  また、Bカネには、他人資本が付加されます。私腹と公腹の両方を求める経営者と、優秀な役員や社員、そして、さらに売れるマーケティングは、さらに多くの他人資本を呼び込みます。経営者と役員と社員とマーケティングという「商品」の魅力のレベルに応じて、他人資本が集まってきます。他人資本を付加しないという選択もありますが、公的な存在となるために、むしろ積極的に他人資本を導入するという選択もあります。どちらを選択するかは、起業経営者の経営観ですが、社会的な影響力を強めたいというのであれば、基本的には、他人資本を積極的に導入することになります。他人資本が入ってきた段階で、役員や社員というヒトの付加も含めて、企業を取り巻く基本的なステークホルダーが勢揃いし、いよいよ公的な存在としての企業の活動が始まるのです。そして、その第1関門として、「株式公開」があるのです。すべてのステークホルダーの満足を得るために、さらに企業価値を高めるために、公的な経営活動の始まりです。

 

「結局、企業の経営は、経営者に始まり、経営者に終わる」
「善循環」の起点としての経営者
「人たらし」が経営成功のコツ

 結局、企業の成長ステージのどの段階においても、経営資源のうちで最も大切なのは、ヒト=経営者です。経営者に始まり、経営者で終わります。モノ=マーケティングでもなく、カネでもなく、ヒト=役員や社員でもなく、カネ=他人資本=株主でもありません。「ヒト、モノ、カネ」のすべての経営資源を、磁石のように引きつけられるは、「経営者自身の魅力」です。経営者自身の人生観や経営観に裏打ちされた魅力こそが、すべてのステークホルダーを満足させる企業価値の向上の源泉なのです。経営者自身の高い魅力は、モノやカネを引きつけます。経営者自身の高い魅力は、優秀な役員や社員を引きつけ、さらに魅力的な経営組織を創ります。さらに魅力的になった経営組織は、さらにモノやカネを引きつけるのです。まさに「善循環」であり、その起点は、経営者というヒトにあります。「善循環」の起点になれる経営者となること、これが、業績向上の起点です。
  また、「ヒト、モノ、カネ」の経営資源のうち、経営者が、最も手に入れにくいのが、質の高いヒト=役員や社員です。また、対社内的にもそうですが、対社外的なヒト、つまり顧客との関係においても同じことです。質の高いヒト=顧客は、手に入れにくいものです。つまり、顧客にも好かれて、役員や社員にも好かれるような魅力的な経営者になることが、経営を成功させる上で、最も大切であるということです。つまり、「人たらし」と言われるほど、人間的魅力のある経営者が、最も成功する確率が高いといえましょう。ちなみに、鉄鋼王と呼ばれたカーネギーの墓標には、「自分よりも優秀な人を使いこなした人がここに眠っている」と書いてあるそうです。マーケティングやファイナンスのことを考えることも、もちろん重要ですが、経営を成功させる本質は、経営者の人間的な魅力です。対社外的、対社内的を問わず、すべてのヒトと接する機会において、充分に魅力的な経営者であるように務めることが、経営を成功させる上で、最も大切なことでしょう。

 

「儲け続ける強い組織の創り方」

 「善循環」を上手にまわしていく上で、現実の問題として、最も難しいのが、優秀な役員や社員の採用と育成です。これがすべてといっても過言ではないでしょう。つまり、儲け続けるためには、「強い組織の創り方」を学ぶ必要があるのです。「強い組織の創り方」の基本的な考え方は、自律型人材が育つ環境創りと他律型人材を育てる仕組み創りです。3つの具体策としては、@自律型人材が育つOJTの場としての「会議」の導入と定着A経営戦略の具体化と他律型人材を育てる仕組みとしての「人事評価制度」の導入と定着Bコストパフォーマンス思考を具体化する「管理会計」の導入と定着です。この3つの具体策については、これまでもこの「儲け創り」通信でお話してきましたが、このたび、11月21日にその集大成として、セミナーを開催します。是非、ご参加ください(宣伝です。笑!)。

 

今回、初めて、お読みいただいた方々のために、「儲け創り」に関する望月隆之の基本的な考え方をお伝えします。

経営とは、「儲けを創り続ける事」です。それでは、ここで言う儲けとは、「顧客に満足していただくという意味でのパフォーマンスをアップし続けることと、そのパフォーマンスをアップすることにつながるコストは使い、逆に、つながらないコストをカットすることにより、その結果として、コスト総額をダウンし続けることから産み出されるもの」です。したがって、ハイパフォーマンスオペレーションとローコストオペレーションの組み合わせ=顧客の満足創りと、そのために必要なコストは使い、必要ではないコストをカットするという意味でのローコストを飽くことなく追求し続けることによって、粗利を付加し続けることこそが経営と言えます。つまり、顧客にとっての高い満足・価値を創り続けることが経営です。ということは、そのためのコストは、期待できるお買い上げ額に対する一定の比率以下であれば、いくらかけてもいいし、逆に、そのためにならないコストはたとえ1円であってもムダであり、そのような視点で様々な経営判断を行なうのが経営者、もしくは、経営幹部の仕事です。特に成熟した消費社会である日本市場においては、単なる価格訴求のローパフォーマンス=粗利を削減し続けることによる顧客の満足創りは、成功し続ける経営とは呼べません。さあ、皆さん、ハイパフォーマンスをローコストで実現し、高顧客価値・高粗利益・高社員価値経営を実現し続けましょう!


望月隆之の事業理念

私がこの聖堂(≒事業)を完成させることが出来ないことは悲しむべきことではない。私は年齢を重ねていく。代わってこの聖堂(≒事業)を再び始める他の者たちが現れるだろう。このようにして、聖堂(≒事業)はさらに壮麗なものになろう。

(アントニ・ガウデイ「ガウディの言葉」より)



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