週刊 「儲け創り」 通信

〜創刊113号&114号 2005年10月23日&30日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第七経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人) 望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、 【高い顧客価値&満足 ( の創造 ) ⇒高い粗利益 ( の創造 ) ⇒高い社員価値&満足 ( の創造 ) 】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質 をお伝えしていくものです。


今週の「儲け創り」のヒント

「ビジネスの成功の基本は、
お客様の喜びという原因を創り、
売上・利益という結果を創る
ということです。

 ビジネスにおいて長期的に成功する基本は、原因としてのお客様の喜び創りに励む事です。売上や利益は、あくまでもその結果に過ぎません。しかし、日常的なビジネスの現場では、売上や利益という結果が、その個人の評価のすべてになりがちです。しかし、短期的に、結果としての売上や利益を創るために、原因としてのお客様の喜び創りを怠るようなことがあれば、本末転倒です。ビジネスは、あくまでも長期的に成功しなくてはなりませんから、お客様の喜びという原因創りに励むことが基本なのです。ビジネスの現場において、そのような本末転倒を防ぐには、「お客様の喜び(原因)→売上・利益(結果)」の間に、もう少し、具体的な指標を設けるといいでしょう。例えば、有店舗販売であれば、お客様の喜びは、一定期間における来店回数や、来店頻度、滞在時間などの指標が、お客様の喜びを反映した具体的な数値のひとつになるでしょう。その上で、売上や利益のことを評価対象にしていけば、短期的な売上・利益を創るために、お客様の喜び創りを怠るような本末転倒は、減るでしょう。もちろん、その大前提として、「お客様の喜び創りこそ、私の使命」のような意識教育が徹底されていることが重要であることは、申し上げるまでもありません。また、被評価者である個人の評価者が、売上や利益といった結果だけで評価をせずに、原因であるお客様の喜び創りをどれだけやり切れているのかを丁寧にきちんと評価できる能力を持ち合わせていることが大切であることも、申し上げるまでも無いことでしょう。

 

「会社は誰のものか」

 法律的、形式的には、申し上げるまでも無く、株主のものです。しかし、会社は、法律的、形式的な存在だけでなく、社会的な存在でもありますから、実質的には、すべてのステークホルダーのものと考えるのが正しいのではないでしょうか?株主だけでなく、社員や、取引先、そして何より顧客というすべてのステークホルダーのものでしょう。ですから、経営者の仕事は、利益相反する場合も多いすべてのステークホルダーのバランスを取ることです。そのバランスを上手に取ることが、社会的な会社の価値を高めることにもつながり、その結果として、さらにステークホルダーの利益の拡大にも貢献することになっていくのです。法律的、形式的な部分も非常に重要なことですが、その実質的な部分も非常に重要です。形式と実質のバランスが取れた議論をしたいものです。もちろん、今までの日本において、形式が軽視されてきた側面もあり、形式を重視せよ(ホリエモン、村上ファンドなど)との議論は、非常に意味のあることだと思いますが、形式がすべてではないことも事実です。会社という実体は、形式的な存在だけではありませんから。経営者にとって最も大切なことは、顧客、社員、株主、取引先というすべてのステークホルダーにファン&サポータ−になって頂くこと、「ファン&サポーター創り」に励むということです。

 

「物事の判断における3段階
単なるあてずっぽうレベル(非論理)
論理で考えるレベル(論理)
勘が働くレベル(超論理)」

 物事を判断するに際して、3段階のレベルがあります。レベルの低い方から順番に、非論理レベル、論理レベル、超論理レベルです。基本的に、非常に多くの場合、論理で考えるレベルの判断が出来ることが望ましい訳ですが、ビジネスなどにおいて成功するためには、論理で考えるレベルを超えて、勘が働く(超論理)のレベルに達することが重要です。ビジネスなどにおいて成功するためには、いずれにしても、未来のことについての正しい判断を下さなくてはなりませんが、論理で考えて、過去の延長線上に未来を定めても、判断を間違う場合が多いからです。「論理で考える」をとことん突き詰めて、論理を超えて、勘が働くレベルに達すると未来のことについて正しい判断が下せる場合が多いようです。形式知よりも暗黙知が重要であることと同様です。マニュアルよりも超マニュアルが重要であることと同様です。しかし、単なるあてずっぽう(非論理)レベルと、勘が働く(超論理)レベルは、似て非なるものです。全く違います。超論理は、徹底した論理の先にあるものですが、非論理は、論理以前のものだからです。日本人は、どうも、非論理から超論理に、「飛び級」で行こうとする傾向があるようです。論理的に考えるとか、マニュアルなどが嫌いなようです。しかし、勘が働く(超論理)のレベルは、徹底した論理の先にあるものです。もちろん、勘が働く(超論理)レベルが最重要ですから、目指すことは正しいのですが、そこに至るプロセスとしての論理やマニュアルも非常に大切であることを理解して頂きたいものです。

勘が働く(超論理)レベル




論理で考える(論理)レベル
単なるあてずっぽう(非論理)レベル

 

「納得度を高める」
顧客や社員というヒトを動かす決め手は、納得度の高さ

 対社外的なマーケティング(市場創り)においても、体社内的なオーガナイジング(組織創り)においても、その鍵を握るのは、対象者の納得度を高めることです。つまり、対社外的には、顧客の納得度、つまり、「積極的に買う理由創り」であり、対社内的には、社員の納得度、つまり、「積極的に働く理由創り」が、購買生産性や、労働生産性を高めるポイントです。つまり、顧客の納得度を高めたり、社員の納得度を高めることが出来れば、売上も利益も向上し、経営は成功するということです。
 船井総研の経営に関する基本的な考え方に「1:1.6:1.6の二乗」と言う考え方があります。これは、上司の指示に対して、部下が納得しないで業務を行った場合の生産性を1とすると、部下が納得をした場合の生産性が1.6であり、部下の立案を上司が認めて、業務を遂行した場合の生産性が1.6の二乗になるというものです。もちろん、部下が立案した場合がよいので、どうすれば、立案して来るような部下を創れるかということになります。それは、日々の業務の中で発生する様々な問題の解決にあたり、その問題解決策をすぐに教えるというのではなく、「どうしたらいい?」と、必ず聞き、自分の頭で考える癖づけをするということです。特にはじめのうちは、まどろっこしいかもしれませんが、こうするより他に方法はありませんから、テマヒマかけて、粘り強く丁寧に「どうしたらいい?」と聞き、「迫る」ことです。その上で、自社らしい解決策に誘導していくということです。そのテクニックも無いくせに、上司面、経営者面して欲しくないものです。
  話がそれてしまいましたが、いずれにしても社員の納得度を高めることが、労働生産性を高め、自律社員を育成することにつながるのです。評価制度の評価項目の設定や、自分の売上予算の設定等にも、是非、社員を巻き込んで、納得度の高いものにしてください。さらに労働生産性は上がり、自律社員を育成できます。
  マーケティング(市場創り)においても同様です。衣食住のすべてにおいて、基本的には、満たされている状態の消費者に商品をお買い上げいただくためには、「積極的に買う理由創り」をすることが売上向上の鍵になります。「・・・だから、私は、今、ここで買う」と言う理由創りが、売り上げ向上の鍵なのです。

 

今回、初めて、お読みいただいた方々のために、「儲け創り」に関する望月隆之の基本的な考え方をお伝えします。

経営とは、「儲けを創り続ける事」です。それでは、ここで言う儲けとは、「顧客に満足していただくという意味でのパフォーマンスをアップし続けることと、そのパフォーマンスをアップすることにつながるコストは使い、逆に、つながらないコストをカットすることにより、その結果として、コスト総額をダウンし続けることから産み出されるもの」です。したがって、ハイパフォーマンスオペレーションとローコストオペレーションの組み合わせ=顧客の満足創りと、そのために必要なコストは使い、必要ではないコストをカットするという意味でのローコストを飽くことなく追求し続けることによって、粗利を付加し続けることこそが経営と言えます。つまり、顧客にとっての高い満足・価値を創り続けることが経営です。ということは、そのためのコストは、期待できるお買い上げ額に対する一定の比率以下であれば、いくらかけてもいいし、逆に、そのためにならないコストはたとえ1円であってもムダであり、そのような視点で様々な経営判断を行なうのが経営者、もしくは、経営幹部の仕事です。特に成熟した消費社会である日本市場においては、単なる価格訴求のローパフォーマンス=粗利を削減し続けることによる顧客の満足創りは、成功し続ける経営とは呼べません。さあ、皆さん、ハイパフォーマンスをローコストで実現し、高顧客価値・高粗利益・高社員価値経営を実現し続けましょう!


望月隆之の事業理念

私がこの聖堂(≒事業)を完成させることが出来ないことは悲しむべきことではない。私は年齢を重ねていく。代わってこの聖堂(≒事業)を再び始める他の者たちが現れるだろう。このようにして、聖堂(≒事業)はさらに壮麗なものになろう。

(アントニ・ガウデイ「ガウディの言葉」より)



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