週刊「儲け創り」通信

〜創刊126号 2006年1月29日〜
発信人 株式会社 船井総合研究所 第七経営支援部

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人) 望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、「儲け創り(=経営=マネジメント)」のポイント をお伝えしていくものです。


 今週の「儲け創り」のヒント

「経営者(≒全体)最適と社員(≒部分)最適の一体化
それが、組織創りの最重要ポイント」

 企業の成長段階において、まず、最初の課題であるマーケティング(市場創り)に成功すると、その次にやってくる経営課題は、オーガナイジング(組織創り・社員創り)です。そのオーガナイジングという課題の解決のポイントは、経営者(全体)最適と社員(部分)最適の一体化です。株式公開を目指すのであれば、この難関を突破することは必須です。ここで突破しておかないと、たとえ株式公開がうまくいっても、そのあとで飛躍的な成長を果たすことは、非常に難しい場合が多いようです。会社全体の動きに一体感がなく、言わば、ばらばらの組織が、うまくいかないのは、当然といえば、当然のことです。しかし、このことが理解できないで苦労されている経営者の方も非常に多く見受けられます。それくらい、この経営課題は、じつは、創業オーナー経営者にとっての最初の非常に大きな難関です。ほとんどのオーナー創業経営者は、ここで躓く場合が多いと思います。なぜなら、マーケティング(商品+販路=市場を創ること)が得意で起業した経営者であっても、オーガナイジング(組織創り・社員創り)は、経営者となって初めてぶつかる経営課題だからです。会社のために懸命にやっている自分に対して、社員が思ったように動いてくれないと嘆く経営者は、非常に多いと思います。しかし、会社に対する思いの強弱は、会社に対する立場が違うのですから、強弱が合って当然ですし、むしろ、経営者のように思ってくれないというのが普通ではないでしょうか?その普通の状態をしっかりと認識するところから、すべては始まるのではないでしょうか?その上で、それでは、いったい、どのようにすれば、経営者と同じくらいの強い思いを会社に対して持ってくれるのかということになるのではないでしょうか?

 この図で示したように、経営者と会社は、ほぼ一体化できていますが、会社と社員は一体化出来ていないという前提から出発することが、非常に重要です。その前提から出発しないと、オーガナイジングの重要性が理解できないからです。それが理解できないから、いつまでたっても、ばらばらの組織で、非常に非効率な動きしか出来ないので、結果として、(業界にもよりますが)経常利益率も10%を超えることが出来ないのです。
 この図で示したところから出発できれば、経営者の次の最重要な仕事が、「社員(の意識)と会社を一体化させること」であることが理解できます。それが理解できれば、この経営課題は、解決したのも同然です。
 そこで、まず、最初に行う具体策は、「経営者だけでなく、社員も一体化できる経営理念」を言語化することです。ここで、単に「私腹だけを肥やしたい」経営者は、脱落します。そんな経営理念に、社員が一体化することは出来ないからです。単に「私腹だけを肥やしたい」経営者のところには、単に「私腹だけを肥やしたい」社員が集まるものです。「私腹だけを肥やしたい」社員が優秀であるはずがありません。経営者以上に優秀な社員は、入社してきませんし、たとえ、何かの間違いで入社してきても、すぐに辞めていきます。人は、自分より優秀だと認めた経営者の下でしか働かないものです。優秀な社員が欲しければ、まずは、経営者自身が優秀になることです。
 次に行う具体策は、社内コミュニケーションシステムの構築です。社員数が多くなれば多くなるほど、会社との距離感を持ち、部分最適に走る社員が多くなり、あらゆる経営効率が悪くなっていきます。そのときに大切なのが、一体化された経営理念に基づく知識の共有化です。知識の共有化のためには、会議を中心とした社内コミュニケーションシステムの構築が欠かせません。会議嫌いのオーナー創業経営者が多いようですが、それは、会議のやり方を知らないだけだと思います。知識を共有し、次の行動に活かすことを目的とした本物の会議は、社内コミュニケーションシステムとして、また業績の向上に対して、非常に有効です。もちろん、会議自体を目的にしてはいけません。
 その次に来るのが、評価制度の構築です。部分としての社員の行動と成果が、会社全体の行動と成果に、きちんと連動するような評価制度を構築することが、非常に重要です。きちんと連動するような評価制度というのは、部分=社員最適に走った行動を取らせずに、できるだけ全体=会社最適に行動するように仕向ける評価制度を構築するということです。
 その他にも様々な具体策がありますが、本日は、このあたりで終わらせていただきます。またの機会に・・・

 

今回、初めて、お読みいただいた方々のために、「儲け創り=経営」に関する望月隆之の基本的な考え方をお伝えします。

経営とは、「儲けを創り続ける事」です。それでは、ここで言う儲けとは、「顧客に満足していただくという意味でのパフォーマンスをアップし続けることと、そのパフォーマンスをアップすることにつながるコストは使い、逆に、つながらないコストをカットすることにより、その結果として、コスト総額をダウンし続けることから産み出されるもの」です。したがって、ハイパフォーマンスオペレーションとローコストオペレーションの組み合わせ=顧客の満足創りと、そのために必要なコストは使い、必要ではないコストをカットするという意味でのローコストを飽くことなく追求し続けることによって、粗利を付加し続けることこそが経営と言えます。つまり、顧客にとっての高い価値=満足を創り続けることが経営です。ということは、そのためのコストは、期待できるお買い上げ額に対する一定の比率以下であれば、いくらかけてもいいし、逆に、そのためにならないコストはたとえ1円であってもムダであり、そのような視点で様々な経営判断を行なうのが経営者、もしくは、経営幹部の仕事です。特に成熟した消費社会である日本市場においては、単なる価格訴求のローパフォーマンス=粗利を削減し続けることによる顧客の満足創りは、成功し続ける経営とは呼べません。さあ、皆さん、ハイパフォーマンスをローコストで実現し、「高顧客価値創造⇒高粗利益創造⇒高社員価値創造⇒高企業価値創造」経営を実現し続けましょう!


望月隆之の事業理念

私がこの聖堂(≒事業)を完成させることが出来ないことは悲しむべきことではない。私は年齢を重ねていく。代わってこの聖堂(≒事業)を再び始める他の者たちが現れるだろう。このようにして、聖堂(≒事業)はさらに壮麗なものになろう。

(アントニ・ガウデイ「ガウディの言葉」より)

ミレニアムプロジェクトジャパン (MPJ=日本発千年(=永遠)計画)への情熱の起点がこの言葉にある。


望月隆之の座右の銘

一期一日
 一期で一日
 今日という一日は、一生に一日しかないものとして、悔いのないように生きる。

一期一会
 一期に一会
 目の前にいる客は、一生に一度しか出会いのないものとして、悔いのないようにもてなす。

強い心と明るい心で生きていく。

 

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