週刊「儲け創り」通信

〜創刊127号 2006年2月5日〜
発信人 株式会社 船井総合研究所 第七経営支援部

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人) 望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、「儲け創り(=経営=マネジメント)」のポイント をお伝えしていくものです。


 今週の「儲け創り」のヒント

「マーケティングとは、「市場創り」である。」
マーケティング(=市場創り)の基本と、
2006年の今、マーケティングを成功させるポイント

 マーケティングという経営用語は、時代によって、その意味が変化してきました。また、マーケティングという経営用語を使う人によっても、その意味するところが、若干、異なります。

 2006年の今、私は、「マーケティングとは、「市場創り」である」と定義しております。

 少し歴史をさかのぼり、日本における売り手と買い手と商品の変化、つまり、市場の変化の中でのマーケティングという経営用語の意味の変化を、簡単にご説明したいと思います。1945年の敗戦後から、1970年代前半にいたる「モノ不足」時代におけるマーケティングの定義は、わかりやすく言えば、「押し売り営業のやり方」のようなものでした。その後、単なるモノとしての商品が満たされるようになってくると、結果的として、買い手のお求めの中で、ココロの不満足が大きく感じられるようになりました。ですから、1970年代後半以降のヒット商品は、単なるモノとしての商品ではなく、ココロの満足を満たす商品=コト商品が中心なのです。
 最近の事例で言えば、インターネット通販で大成功を収めている経営者で、皆さんも良くご存知の経営者の発言として、「インターネット通販ビジネスを通して、一番感じたことは、世の中の人が、とても寂しい気持ちでいるということ。」と言うものがあります。寂しい気持ちを満たすためにインターネット通販を利用し、結果として商品が動いて、ビジネスが成立しているということですね。このことが、理解できないと、1970年代後半以降、消費者相手のビジネスで成功を収めるのは、非常に難しいことです。2006年の今では、なおさらです。逆に言えば、このことさえ理解できていれば、成功する可能性が極めて高いということです。それくらい、マーケティング的には、このことを理解しておくことは最重要のポイントです。単なる「モノ商品」として、商品自体の価値だけではなく、その商品自体に、どのような情報を付加して、「コト商品化」させるかということが、成功と失敗の分岐点であるということです。
 食品で言えば、美味しいのは、もはや、当然のことで、買い手に買いたいと思って頂くには、その食品が美味しい事の関連で何らかの情報が付加されていることが、最重要のポイントであるということです。それは、例えば、「オーガニックの野菜を使っている」とか、「厳選された素材を使っている」などの情報が付加されていることが、購買における最重要ポイントになっていると言うことです。
 少し前の話しになりますが、「モノより思い出」という自動車のテレビコマーシャルがありました。このコピーこそ、単なるモノ商品を「コト商品化」させると買って頂けるということを、メジャーなところで表現した第1号かもしれません。「単なる鉄の塊」に300万円を支払う人はいなくなってしまったということですね。しかし、「子供との思い出創りの道具」として、300万は高くない、いや、欲しい!と思う買い手が増えたということです。
 今、インターネット通販で流行っている消費スタイルのひとつに、「おとり寄せ」と言うものがあります。これは、日本全国各地の名産品を、インターネット通販を使って、文字通り「おとり寄せ」するという消費スタイルです。消費者の間でクチコミで広まっているインターネット通販のサイトもありますが、例えば、有名レストランのシェフがオススメしたりして、ヒットしているサイトもあります。インターネット通販に限らず、「通販の魅力」のひとつに、自分でお金を払っているにも関わらず、商品が、売り手から買い手に宅配便で届けられるために、あたかも誰かからの贈り物のような錯覚に陥るところがあります。しかも、地方の名産品です。語るべき情報=薀蓄という名の付加価値満載です。実にココロを満たしてくれます。ヒットして、当然かもしれませんね。

 話を元に戻しまして、「マーケティングとは、市場創りである」を、もう少し、丁寧にご説明しますと、まず、市場には、売り手と買い手、そして、その間に商品が存在します。マーケティングとは、その市場において、商品の売買を通して、売り手と買い手を、Win−Winの関係にすることです。ですから、マーケティングとは、市場創りなのです。

 2006年の今、買い手が求めているのは、コト商品であり、売り手は、コト商品の創り手になることが求められているのです。つまり、今の商品創りの原理原則は、本体価値が高いのは当然のこととして、何らかの情報の付加=コト商品化が欠かせないということです。この「情報の付加=コト商品化」のことを、私は、「プレミアム商品・プレミアムマーケティング・プレミアムビジネス」と名付けて、単に、商品創りだけではなく、市場創り、企業創りの成功の原理原則として、クライアント企業の皆様に、日々、お伝えしています。

 

今回、初めて、お読みいただいた方々のために、「儲け創り=経営」に関する望月隆之の基本的な考え方をお伝えします。

経営とは、「儲けを創り続ける事」です。それでは、ここで言う儲けとは、「顧客に満足していただくという意味でのパフォーマンスをアップし続けることと、そのパフォーマンスをアップすることにつながるコストは使い、逆に、つながらないコストをカットすることにより、その結果として、コスト総額をダウンし続けることから産み出されるもの」です。したがって、ハイパフォーマンスオペレーションとローコストオペレーションの組み合わせ=顧客の満足創りと、そのために必要なコストは使い、必要ではないコストをカットするという意味でのローコストを飽くことなく追求し続けることによって、粗利を付加し続けることこそが経営と言えます。つまり、顧客にとっての高い価値=満足を創り続けることが経営です。ということは、そのためのコストは、期待できるお買い上げ額に対する一定の比率以下であれば、いくらかけてもいいし、逆に、そのためにならないコストはたとえ1円であってもムダであり、そのような視点で様々な経営判断を行なうのが経営者、もしくは、経営幹部の仕事です。特に成熟した消費社会である日本市場においては、単なる価格訴求のローパフォーマンス=粗利を削減し続けることによる顧客の満足創りは、成功し続ける経営とは呼べません。さあ、皆さん、ハイパフォーマンスをローコストで実現し、「高顧客価値創造⇒高粗利益創造⇒高社員価値創造⇒高企業価値創造」経営を実現し続けましょう!


望月隆之の事業理念

私がこの聖堂(≒事業)を完成させることが出来ないことは悲しむべきことではない。私は年齢を重ねていく。代わってこの聖堂(≒事業)を再び始める他の者たちが現れるだろう。このようにして、聖堂(≒事業)はさらに壮麗なものになろう。

(アントニ・ガウデイ「ガウディの言葉」より)

ミレニアムプロジェクトジャパン (MPJ=日本発千年(=永遠)計画)への情熱の起点がこの言葉にある。


望月隆之の座右の銘

一期一日
 一期で一日
 今日という一日は、一生に一日しかないものとして、悔いのないように生きる。

一期一会
 一期に一会
 目の前にいる客は、一生に一度しか出会いのないものとして、悔いのないようにもてなす。

強い心と明るい心で生きていく。

 

トップへ戻る       バックナンバーへ戻る