週刊「儲け創り」 〜創刊39号 2004年5月2日 発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之 この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所をお伝えしていくものです。 今週の「儲け創り」のヒント
「経験の蓄積の罠」 「成功経験&失敗経験」を蓄積することのメリットとデメリット 一流のビジネスマンと二流のビジネスマンの分岐点
今春も、数多くの企業で、数多くのフレッシュマンを迎えられたことと思います。どのような企業においても、少しでも早く、一人前の戦力となって欲しいと言う願いだけは、各社共通のものでしょう。 そんなフレッシュマンと、彼らの指導役になる先輩社員の一番の違いは、「成功経験&失敗経験」の蓄積であり、また、「所属する業界の常識や、自社の常識という提供者の常識(=論理)」でしょう。過去の経験の蓄積を持っていて、業界や自社の常識を身につけているという点において、先輩社員は、先輩社員たる資格を持っているというものです。 しかし、そんな蓄積された経験や、せっかく身に付けた常識が、「現在や未来の成功」を奪うことになる場合があります。それが、「経験の蓄積の罠」であり、一流のビジネスマンと二流のビジネスマンの分岐点にもなります。 大切な「成功経験&失敗経験」の蓄積も、所詮、過去のものであり、現在や、未来の成功を約束するものではないからです。「成功経験&失敗経験」を蓄積すると、確かに、一般的には、現在や未来において成功できる確率は高くなりますが、「ドッグイヤー」と言われるほど変化の激しい現在では、過去の「成功経験&失敗経験」が、簡単にひっくり返ってしまう場合も多いのです。そんな現在にも関わらず、過去の「成功経験&失敗経験」だけで、機械的に対応しようとすると、成功する確率どころか、失敗する確率が非常に高くなってしまいます。過去の「成功経験&失敗経験」の蓄積を大切にしながら、その一方で、現在と未来の問題に対して、少しも先入観を持たずに、「空(くう)の心」で接することが出来るようになること。経験における「満」と意識における「空(くう)」のバランスの取れた一体化。それが、ビジネスマンとして成功し続ける極意だと思います。
また、「所属する業界の常識や、自社の常識という提供者の常識(=論理)」を身に付けることについても同様です。所属する業界の常識や、自社の常識を身につけることは、当然、成功し続ける上で、非常に大切なことです。しかし、提供者の常識=論理)」だけに浸ってしまい、一人前のビジネスマンのような顔をして、しかし、その訳知り顔の割には、成功できなくなってきている二流のビジネスマンが、なんと多いことでしょう!成功は、常に、提供者が提供する商品やサービスの購入者がもたらすものです。提供者がもたらすものではありません。「提供者のための提供者の仕事=自己満足仕事」が、成功するわけがないのです。「購入者のための提供者の仕事=他者満足仕事」が実行されて、初めて、成功がもたらされるのです。例えば、小売業における商品の仕入れ担当などが、一番陥りやすい罠だと言えましょう。業界のことをよく知っている「業界のプロ」ではあっても、購入者のことをよく知っている「購入者のプロ」ではない二流の仕入れ担当者。仕入れ担当者として3年くらいの経験を積んだ人間にありがちなことです。購入者のことをよく知っている「購入者のプロ」であり、その購入者の「潜在的なお求め」を具体化するために必要な業界に関する知識を豊富に持ち合わせている「業界のプロ」でもあるのが、一流の仕入れ担当者と言えましょう。 皆様の会社の先輩社員は、一流のビジネスマンでしょうか?今春入社のフレッシュマンを二流のビジネスマンにしないためにも、まず、大切なのは、先輩社員を一流にすることが大切でしょう。 |