週刊「儲け創り」通信

〜創刊44号 2004年6月6日

発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所をお伝えしていくものです。

今週の「儲け創り」のヒント

「顧客起点経営」

が、業績向上のコツであり、

その要は、「自律(型)人財」の採用と育成にあります。

 

 

業績を向上させ続けている企業を取り巻く経営構造は、前頁のように表現できます。世界の中心に、利益の種である顧客価値があり、そこがすべての企業活動の起点となります。その顧客価値は、常に、ものすごい速さで変化をしています。今日の成功は、明日の成功を約束しません。だから、そのものすごい速さに企業がついていくには、経営陣のみならず、最前線の一般社員に至るまで、「即断即決(することが出来て、その上、利益を増加させることが出来る)」能力が求められるのです。その「即断即決」を可能にするのは、「コストパフォーマンス」意識が身体の隅々まで行き渡っている「自律人財」です。

1970年代後半までのキャッチアップ(欧米に追いつき追い越せ)の時代の日本では、利益の種となる顧客価値は、固定相場(=モノ不足の解消)制であり、企業が提供する価値も固定されていました。ですから、一般社員は、「自律人財」でなくとも、充分に利益を増加させることが可能でした。わかりやすく言えば、一般社員に「脳ミソ」はいらなかったということです。厳しい言い方をすれば、経営者にもいらなかったのかもしれません。何せ、固定相場制で、モノを作れば売れた時代のことですから。

しかし、1970年代後半以降の日本においては、「顧客価値」が「変動相場(=ココロ不満の解消)制」となり、経営者はもちろん、一般社員に至るまで、激しい変化への対応を図らなくては、利益を増加させることが不可能になってしまったので、「自律人財」が必要になってきたということです。企業(の業績)は人で決まります。ですから、「人の生産性」を上げることを考え行うのが、経営者の最も大切な仕事になります。生産性の高い「自律人財」は、「コストパフォーマンス」意識だけでなく、「自らの頭で考え動く」ことが出来なくてはいけません。先週お話した「養殖の魚」のように、えさ(=利益)は与えられるものと思っているようでは話になりません。目をぎらぎらと輝かせて、えさ(=利益)を探し回る「天然の魚」でなくては、話しにならないのです。

そんな自律人財を採用したいのであれば、まず、社内のあらゆる制度を「利益貢献度の高い社員」が長く居たいと思うものにしなくてはなりません。特にその中心となるのが、評価制度です。その意味では、評価制度は、企業の骨格のひとつであるといえます。その上で、学歴など「どうでもいいもの」にこだわることなく「自らの頭で考え動く自律人財」であるかどうかを見極めようとすることです。最終面接では、必ず、一緒に食事をする企業もあるようです。集団で食事をするような、そのような少し気が緩んだ時に、その人間が持っている「生活習慣」が、図らずも表現されてしまい、それが、結局は、良い「仕事習慣」を持ち、企業に対して利益貢献が出来る人か、出来ない人かを、表現してしまうようです。

採用した後の育成の基本は、会議などの場面を通して、積極的に発言をさせて、「自らの頭で考え動く」ことに追い込むことがポイントになります。育成する側としては、最初のうちは、どんなにつまらない発言でも聞き続けることが大切です。慣れてきたら、その発言の質について議論をすることになりますが、まずは、発言の量を確保することが大切です。日本の学校、特に公教育は、とても「素晴らしい」教育をしてくれているので、「自らの頭で考え動く」経験をしたことのない人間の方が圧倒的に多いのです。ですから、企業は、まず、「自らの頭で考え動く」ことに慣れさせることからはじめることが大切になります。


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