週刊「儲け創り」通信

〜創刊45号 2004年6月13日

発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所をお伝えしていくものです。


今週の「儲け創り」のヒント

 

「他者本位」

 

 顧客との関係を良くしよう(=営業的な成功を手に入れよう!)と思えば、顧客と言う名前の「他者本位」の徹底がポイントになります。マーケティングや、営業の本質は「他者本位」にあり、ありとあらゆるマーケティングや営業に関するビジネス本の中で説かれているのは、表現の仕方に違いがあっても、すべて「他者本位」であるといっても過言ではないでしょう。組織のマネジメントも、成功のコツは、やっぱり、「他者本位」で、経営者にとっては、社員と言う名前の「他者本位」の徹底がポイントです。顧客は、直接的に、自社に利益をもたらしますから、「他者本位」の徹底と言われても、素直に理解できます。しかし、利益を人件費と言う形で奪う(?)社員を、「他者本位」の徹底の対象とすることが理解できない経営者の方が多いようです。創業経営者が一人で創業した時は、企業=経営者であり、そこに働く社員は、雑務をこなしてもらうためにやむを得ず雇ってはいるが、結果的には、利益を人件費と言う形で奪う(?)存在であると認識されている経営者の方も多いようです。しかし、企業が一定以上の規模になってきますと、組織内での役割分担が進み、それぞれがそれぞれの役割を果たすことが求められ始めます。一定の規模以上の企業を人間の身体に例えて申し上げますと、経営者は、もちろん「頭脳」です。目に見える具体としては、「指先」や「足先」としての現場社員が行動し、現実を変えていきます。頭脳の抽象的な指示を、「指先」や「足先」のような現場社員が理解しやすい具体的な指示に変えて、指先や足先に指示を行う経営幹部としての「関節」の働きも大切です。経営者も、経営幹部も、現場社員もそれぞれ大切ですが、最も大切なのは、その身体が、その身体であることを決定づけている「頭脳」であることは言うまでもないでしょう。企業にとっても「抽象的な「経営理念」=身体におけるDNA」が最も大切であることと同様です。話が少し、それましたが、一定の規模以上になった組織において、経営者、経営幹部、現場社員が最も効率的に、生産性高く業務を遂行するためには、文字通り「一体化」が欠かせません。経営者と経営幹部、そして現場社員が「意識を一体化し、知識を共有化」することが欠かせないのです。そのために最も有効なツールとして「会議」があります。それもめちゃめちゃアナログなフェーストゥーフェースの会議です。フェーストゥーフェースの会議において、経営者の「イキヅカイ」を感じながら、「意識の一体化と知識の共有化」を進めていくこと。このことが徹底されてこそ、それぞれの現場の生産性が高くなるのです。と、ここまでお話すれば、十分ご理解頂けたかと思いますが、社員を「他者本位」における「他者」と位置付けるのは、何も「キレイゴト」、建前で申し上げているのではなく、企業が、その企業価値を高める=営業生産性を高めるためには、社員を「他者本位」の「他者」と位置付けて対応するべきだから申し上げているのです。当然のことながら、すべては、企業の業績向上のためです。コストの中で最も割合の高い人件費のコストパフォーマンスを上げるには、現場社員を「他者本位」の他者として位置付けて、最高のコストパフォーマンスを上げていただくこと。経営者にとって最も大切な2点のうちのひとつは、「現場社員を勇気づけ続けること」です。そして、もうひとつは、顧客と言う名前の「他者本位」の徹底により、「顧客から利益を頂き続けられる仕組みを考え、戦略化する=グランドデザインを描くこと」です。経営者にとって最も大切な2点共に共通している事=本質は、「他者本位」が徹底できることにあります。誰でも出来そうで、ほとんどの人が出来ない「他者本位」。経営者としての成功のポイントは、そんな「他者本位」の徹底にあるようです。ところで、私がいつも申し上げている「ココロ満足」とは、ここでいう「他者」が求める価値が「モノ」から「ココロ」に変化していることを表現したものです。顧客も社員も人間である以上、1970年代後半以降、求めているのは、「ココロ満足」であり、社内組織のマネジメントでさえ、最も大切なポイントは、いかにして「ココロ満足」を提供できるかにあります。このことも、意外に理解されていないようです。社内組織のマネジメントにご苦労されている経営者並びに経営幹部の方々は、この「ココロ満足」をポイントにマネジメントしていただくと問題解決が適切に行われるようになります。ココロ満足マネジメントの個別企業様への落とし込みは、私、望月隆之まで、是非、ご相談下さい!(宣伝です!(笑!))

 

追伸

「人財」の採用・育成・昇進(=経営幹部への登用)の際に気をつけていただきたいこと

 

「人財」とは、「自己の限りない成長のために、常に考え、動くことの出来る人間のこと」です。つまり、「人財の本質」とは、「成長への情熱を絶やさない人間のこと」です。このような「人財」こそ、個人の成功を現実にし、組織の成功をも、もたらせてくれるものです。1973年に創業し、創業37年にあたる2010年には、グループ連結売上高1兆円を目指している日本電産の永守社長は、人間のタイプを「自燃、他燃、不燃」と3つに分けています。文字通り、自燃は、自ら燃えることの出来る人、他燃は、他者に燃えさせてもらう人、不燃は、何をしても燃えない人。やはり、燃えることの出来る人、情熱を持ち続けられる人が社会で役に立てる人のようです。そうすると、人の採用においては、何よりこの点を重視しなくてはなりません。学歴はあっても、既に燃え尽きてしまった人、何事にも斜に構える悪い癖がついてしまっている人等は、最も警戒して不採用にしなくてはいけない人(=不燃)です。なまじっか「小賢しい」ので、社内を怠け者の方向へリードしてしまい、経営にとって最も大切な社風を傷めてしまいます。もちろん、他燃は、採用です。採用した後で、育成すべき対象です。最後に残った昇進(経営幹部への登用)は、現場社員として成功を収めた人を大正にするのが大前提ではありますが、経営幹部に求められる能力は、現場社員の時とは違う「経営者の翻訳者(抽象的な戦略指示を具体的な戦術指示化して現場に伝えること)」ですから、気をつけなければいけないのは、「経営者の翻訳者」になれる可能性の高い人を登用すべきです。現場社員としての成功と言う意味では、他にもっと優れた人がいても、登用のポイントは、「経営者の翻訳者」になれる可能性です。現場社員としての成功という過去の実績には、金銭面で報いて、経営幹部の登用については、あくまで未来の可能性を中心に決めるべきです。この点で失敗している企業も多いようですが、組織が機能しなくなる前に、考え方を改めていただきたいものです。


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