週刊「儲け創り」通信

〜創刊49号 2004年7月11日

発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点をお伝えしていくものです。

 

 


今週の「儲け創り」のヒント

 

マーケティングの前提の変化に対応した

マーケティング成功のポイント&マネジメント(=組織体制)成功の要点

「時代の要請に応える組織体制」

 

 マーケティングの前提とは、申し上げるまでもなく「顧客(が求める)価値」のことです。その「顧客(が求める)価値」において、1945年以降の日本経済における生産性の飛躍的な向上は、1970年代後半からの「モノ(商品)不足からモノ(商品)余り⇒モノ(商品)満足(重視)からココロ(精神)満足(重視)」という変化をもたらしました。このあたりから、例えば小売業においては、「何を売る」という「業種」店から、「誰に買っていただく」という「業態」店へと変化し始めました。「何を売る」という時代には、当然の前提として、すべての商品は、「万人向け」に開発・製造されていました。しかし、先ほども申し上げたように、日本経済の生産性の飛躍的な向上は、恒常的な「モノ(商品)余り」という状態を招き、その結果として、消費者に商品選択の余地を与えることになりました。消費者も、購買経験を重ねて、商品を見る目が厳しい=目利きを意味する「ヘビーユーザー化」しました。そうなると、例えば、シャンプーひとつとってみても、「万人向け」の商品だけではなく、「女性向け&男性向け」、さらには、例えば「20代の女性向け」のように、年齢という要素も加わるようになりました。「市場の細分化」です。そこで「業態」の登場です。例えば、「シャンプー屋さん」ではなく、例えば、「20代の女性向け小売業態の中で、20代の女性向けのシャンプーをお買い上げいただく」ということが、消費者に求められるようになってきたということです。単に本を売っている「本屋」ではなく、「サブカルチャーに興味のあるお客様に、サブカルチャーのテーマをお買い上げいただくというコンセプトで、結果として、本と雑貨を売る業態(遊べる本屋・エキサイティングブックストア)」であるヴィレッジヴァンガード(http://www.vvvnet.com/ ジャスダック上場企業)等が、「業種・業態論」の成功事例のひとつとして挙げられます。(ちなみに、業種店としての本屋は、「生業レベル」の単なるオヤジ(=経営者とは呼ばない!)でも出来ますが、業態店は、「企業レベル」の真の経営者にしか出来ません。また、これからバタバタと潰れていくであろう「単なる家具屋」、「単なる薬屋」などは、一日でも早く市場から退場してもらいたいものです。成長し続ける(=変化し続ける)姿勢を失った人間(=物理的には、生きているかもしれないが、精神的には死んでいる!ゾンビ!)や、法人を見ることほど、この世で一番気持ちが悪く、不愉快なものはないですから・・・)

 小売業における「業態」店の成功事例は、数限りなくありますが、このような「業態」の考え方は、製造業が、小売店への営業活動を行う組織体制についても、応用できます。「業態」店は、想定顧客を万人にするのではなく、一定の顧客層に絞り込むことで、いわば「注文服」のように顧客の特性にピッタリとあわせた販売活動を行うものです。「何を売るか」よりも「誰にお買い上げいただくか」を優先させた「業態」店的発想を活かして、営業組織を考えると、顧客特性別による分業となります。通信販売などの組織体制においても、商品別分業ではなく、顧客別分業が、業績向上のポイントになります。「何を売るか」が最優先の時代には、商品別の組織体制がベストになりますが、「誰にお買い上げいただくか」が最優先の時代(=今!)は、当然のことながら、顧客別分業を選択すべきです。業績向上の決め手は、顧客の特性にどれだけ精通しているかがポイントだからです。商品について精通しているかどうかは、二の次です。繰り返しますが、大切なのは、顧客の特性です。このことは、弊社名誉会長の船井幸雄が、「個別対応」の重視が、業績向上のコツであると申し上げていることと重なってくると思います。営業活動や、販売活動が、顧客とのコミュニケーションであるならば、顧客へのラブレターである商品や店舗が、特定の人のために創られることは、今、非常に重要なことだと思います。顧客を特定の人に絞り込み、その特定の人の特性に精通し、商品や、店舗を創ることが、顧客のココロを動かす(=売上がたつ!)のだと思います。どんなに上手に書かれたラブレターであっても万人向けのラブレターでは、人のココロを動かすことは出来ないでしょう。絞り込んだ特定の顧客に精通した商品や店舗を創るには、申し上げるまでもなく、「特定の顧客別」を最優先にした組織体制を創ることが大切です。今や、業績を上げる上で最も大切なのは、顧客とのコミュニケーションを良くすることです。だとすれば、商品や、店舗は、顧客と仲良くなるための手段に過ぎません。目的は、顧客と仲良くなること。商品知識よりも、顧客知識の重視。そして、それを促進させる組織体制の確立。これが、今、業績向上を実現させる経営の基本的な考え方になります。


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