週刊「儲け創り」通信

〜創刊54号 2004年8月22日

発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点をお伝えしていくものです。

 

今週の「儲け創り」のヒント

検証とは・・・

(成功するための)本質に迫る(=成功と失敗の原因の特定)ということ」

 いまさら、プラン(Plan)ドゥー(Do)シー(See)(仮説⇒実行⇒検証)でもないでしょうが、成功するためにプランドゥーシーというプロセスコントロールを行う時に、案外、出来ていないで、しかも、最も大切なのが、「検証」というプロセスです。成功するために意味のある「検証」プロセスを、正しく行えていない組織や個人が、案外、多いように感じます。成功できる正しい「検証」とは、成功実績や失敗実績の中にある成功した原因、失敗した原因を、徹底的に追求し、特定することです。考えに考え抜かないと、成功できる正しい原因の特定は出来ません。かなり多くの組織や個人は、「浅薄」な分析に終始し、成功の始点となる「検証」の段階で、既に、失敗への道に踏み込んでしまっているようです。「なぜ、失敗したのか」「なぜ、成功したのか」の徹底した分析。マーケティングでいえば、顧客との関係の中に、すべての成功の原因=ネタ=シーズがあるわけですから、売れた商品、売れなかった商品についての「深厚」な分析、考えに考え抜いて、頭に汗をかかなければ、その特定に至ることは出来ません。もちろん、最終的な成功という結果を手にするためには、その後のプロセスである「仮説」そして、「実行」という3つのプロセスがうまくこなせなくてはなりません。大企業の中堅社員に多いのは、「検証」と「仮説」をするだけで、いっこうに「実行」せず、したがって、成功も失敗もないというタイプです。いや、「実行」をしていないという点で、時間コストの浪費をしているという点で、間違いなく成功ではなく失敗です。「実行」を伴わない「思考」は、少なくとも、ビジネスの世界では、全く意味がありません。「実行」のない「思考」よりも、「思考」のない「実行」のほうが、まだマシかもしれませんが、成功を手にするうえで一番なのは、言うまでもなく、「思考」のうえの「実行」です。そして、成功に至るすべての始点は、正しい「検証」です。誤った検証をしてしまっては、いくら、その後の「仮説」、「実行」がうまくても成功することは出来ないのです。経営者の皆様方は、当然のごとく「検証⇒仮説⇒実行」を、日々、実践されていると思いますが、社員の方々は、特に「思考」することを苦手にしている方が多いようです。頭脳を動かすより身体を動かしているほうが、本人も楽だし、周りもよく働いているように評価しがちではないでしょうか?業績を上げ続ける強い組織を創るための社員教育でもっとも大切なのは、「自ら思考する社員」を養成することです。ですから、社員と接する時は、社員教育の意味を、半分、込めて、いきなり正解を与えたり、具体的な指示をするのではなく、「なぜ、成功したのか」「なぜ、失敗したのか」という質問をするように心掛けて下さい。会議などでも同様です。社員と接するすべての機会は、立派な社員教育の機会なのですから、じっくりと「テマヒマ」かけて、社員の考えを聞くようにしてください。ニッコリ笑顔で接しながらも、自分の頭で考えることだけは、社員に強制すること。そこまでしないと、それでなくても日本の学校では、本当の意味で考えることは教えてくれませんから、「自ら思考する社員」など創れませんし、したがって、業績を上げ続けられる組織を創ることも出来ません。経営者の方が社員より優秀なのは、当然のことなのですから、自分より優秀でない社員を少しでも、優秀にするためには、社員と接するすべての機会を通して、じっくりと「テマヒマ」かけて教育するしかありません。日々の資金繰りから何からあって、優秀でない社員の考えを聞いている余裕などないということもよく理解できますが、ここが、組織を「家業」レベルで終わらせてしまう経営者なのか、「企業」レベルまでにできる経営者なのかの分かれ目でしょう。最も大切な経営資源である「人材」を「人財」にできるかどうか、つまり、自分より優秀でない社員の考えを聞く我慢ができるかどうかが、「企業」レベルの経営者になれるかどうかの分かれ目でしょう。社員との議論に勝って得意になっている経営者などは、論外ということでしょう。大切なことなので繰り返しますが、社員と接するすべての機会は、最も大切な経営資源である「ヒト」の能力向上の機会です。「モノ」や「カネ」を増やすことに熱心な経営者が、自分の代わりに「モノ」や「カネ」を増やしてくれる「ヒト」の能力向上に熱心でないのはどういうことなのでしょう?自分の代わりの「ヒト」を創ることは、とても「テマヒマ」のかかることだが、長い目で見た時には最も合理的であるという経営の本質を知らないからなのでしょう。長い目を持てないからなのかもしれません。いずれにしても社員教育に熱心でない経営者の会社は、今後、ますます業績が上がらなくなるでしょう。

 

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