週刊「儲け創り」通信

〜創刊57号 2004年9月12日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点をお伝えしていくものです。

 

 

 

 


今週の「儲け創り」のヒント

 

株式公開(もしくは、株式公開レベル)を目指す企業経営者のための

「企業経営の『実質』創り」支援

 

 企業経営を成功させるために最も大切なものは、「企業経営をどのように行い、どのようなものにするか」という企業理念と呼ばれる企業のコンセプトです。その企業理念を創るということは、企業経営者にしかできないと言う点を持って、企業経営者にとって、最も大切なことです。たとえどんなに優秀な社員であっても企業理念を創ることは出来ません。ですから、企業経営者を名乗るのであれば、企業理念を明確に語ることは、最低限必要なことです。それが出来なければ、企業経営者を名乗る資格はないでしょう。単なる「私腹肥やし屋」と言うべきでしょう。もちろん、私欲をすべて否定するものではありません。そのバランスはともかく、『私欲と公欲の両立』が、企業経営者を名乗るのであれば、最低限必要なことであるということです。

少なくとも、私、望月が主たる活動業界とする生活関連ビジネスにおいては、目先の業績アップと言うことでさえ、公的な志のある企業理念がなければ難しいのが、現在の市場の状況です。生活関連ビジネスの顧客である生活者は、商品&サービスの選択において、なにより、公的な志のある企業理念や、それに基づいた商品&サービスなどをポイントにして選択します。したがって、単なる経営者の私腹肥やし企業では、目先の業績アップでさえ難しいのです。インターネットなどのインフォメーションテクノロジーがもたらしたもののひとつは、隠し事や嘘が通用しにくくなったということです。すべてが白日の下にさらされることが前提で企業経営をしなくては、成功することは出来ません。

 そういう意味において、自社の株式を公開するという事は、単なる私企業を公企業とするという行為ですから、その時点が、まさに真の企業経営者を志すものにとってのスタートラインに立つということでしょう。もちろん、株式公開をしていない企業であっても、十分な社会性を持った活動をしている企業は、多数存在するわけですから、必ずしも、株式公開企業や、株式公開を目指す企業の企業経営者だけが真の企業経営者と呼ぶことができるというわけではありません。

  いずれにしても、公企業の名にふさわしいレベルを目指す企業経営者の「企業経営の『実質』創り」支援が、私、望月の主たる業務領域です。「企業経営の『実質』創り」支援とは、いわゆる「株式公開」支援という形でのコンサルティングが、株式公開の形式を整えるということを意味になりますが、それに対して、株式公開レベルの企業経営の『実質』を創るお手伝いをするという意味になります。

 創業間もない企業の場合ですと、まずは、当然、売上額を稼ぐ(量重視)というマーケティング面での支援になります。マーケティング=狭義の儲けの仕組みが整ってきて、ある程度の企業規模を確保してくると、その次に、当然、問題になってくるのが、人と組織のマネジメント=オーガナイゼーション(=組織化)の面です。業務改革という名の経営改革であったり、人事評価&処遇制度の構築、人財育成の支援であったりします。企業の成長段階においては、質重視の整えるステージということですね。

 

テキスト ボックス: 企業としての成長(量的拡大も質的向上も) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


砂場で砂山を高くしようとしたときに、どんどん砂を盛り上げる時と、盛り上げた砂をたたいて土台を大きくする時を繰り返していくと砂山は高くなっていきますが、企業の成長を成功させるには、そのような感覚が大切になってきます。

創業経営者は、当然、一流の営業者である場合や、一流の技術者である場合が多いのですが、そうなると、やはり、当然のことながら、オーガナイゼーション(=組織化)の局面では、対応の仕方=問題の解決に迷われることが多いようです。例えば、人財育成にしても、自分自身が一流の営業者であっただけに、自社の営業者が営業成績を上げられないのが、不思議で仕方がないと言うのが本音のようです。しかし、そのような営業者を一人前に育てていかなくては、組織の成長はかないません。そこで、次頁のように考えることが大切です。

  

 

  単なる汚い字と行書・草書は似て非なるもの。非論理と、超論理は違う。違いは、基本を押さえているかどうか?基本を押さえたものは、ヒトのココロを動かすが、押さえていないものは動かさない。ピカソの絵と幼稚園児の絵の違いのようなもの。教育の第一歩は、基本を教えること。一人の天才を創ることよりも、100人の秀才を創ること。(一人の天才も包み込める風土を創ることが出来れば、それがベスト。ベターは、徹底したマニュアル教育。ワーストは、いきなり現場に出すだけで、何も教えることなく、いきなりプロレベルを求めること。ヒトが育つ確率が悪い。)プロレベルに到達するという強い意志の元に、まずは、目先のマニュアルマスターに取り組む。そのように考え、動くことの出来るヒトを支援することが、組織に求められている。

ゼロスタートレベル社員に対して、例えば、料理人という職人の世界のように「鍋の底を舐めて、味を盗め!」的な職人の世界独特の徒弟制度的教育手法は、もちろん、良い点もたくさんあるが、少なくとも「非常に高いモチベーション」などの「特定のヒトの先天的な能力の高さ」無しには成立しない。つまり、通常の会社組織にはなじまない教育手法である。この場合、通常の会社組織的教育手法としては、一定の基準をクリアしたヒトには、まず、料理の味のレシピを公開することである。もちろん、最高の料理を創るには、レシピには書ききれない「暗黙知」が付き物であるが、それは、形式知としてのレシピを学び、料理を創る経験の数を増やす中で取得していくものである。そうすれば、一定のレベルの人が、早く、多く育つ。会社組織的には、いたずらに厳しい教育手法を取ることは、デメリットのほうが高いのである。

 

個人的に優秀な『プロレベル社員』だけを集めることが出来れば、問題はありません。しかし、東証一部上場企業でさえ、そんなことはありえません。ポイントは、『ゼロスタートレベル社員』に対して、まず、自社の「形式知」を集めた自社オリジナルのマニュアルを創り、徹底的に叩き込むことです。「形式知&暗黙知」や、『守・破・離』については、次頁の説明を参考にしてください。

   

守・破・離とは?

守・・・師匠の教えを正確かつ忠実に守り、剣道などにおける基本の作法、礼法、技法を身につける、いわば「学び」の段階を言います。

破・・・それまでに身に付けた技や形をさらに洗練させ、自己の個性を創造する段階を言います。

離・・・さらに前進させ、自らの新しい独自の道を確立させる最終段階のことを言います。

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

形式知・暗黙知とは?

知識のうち、言語や数式や図表で客観的に表現できる知のことを「形式知」と言います。勘や直感、個人的洞察、経験に基づくノウハウなど、言語・数式・図形で表現できない主観的・身体的な知のことを「暗黙知」と言います。

価値創造は、

@    個人の暗黙知を組織の暗黙知に変換する(共同化)。

A    組織の暗黙知を形式知に変換する。(表出化)。

B    表出された形式知を組み合わせて体系化する。(連結化)。

C    組織の形式知を個人の暗黙知に取り込む。(内面化)。

という4つの過程を繰り返して行われます。

具体な事例としては、

@    現場、マーケットを歩き、個人的な質の高い体験を積み、さらにこれを伝授、移転するために対話を促進する。

A     自分の中の暗黙知をどううまく表現するかという問題。聞き上手、相手の思いを言語化する、うまいコンセプトで表現してやる、いろいろなサゼスションをする。

B     既存のデータベースの活用、形式知の編集について絶えず示唆する、他部門との調整能力の発揮など。

C     形式化されたものを現実に身に付けさせる。スキル化出来るような場を作ってやる。シミュレーションや実験で形式知を体得化させる。

 

 




 自転車に乗ることができても、どのようにすれば乗れるようになるかを語ることは困難です。自転車に乗るスキルは、ペダルへの足の乗せ方、体重の移動の仕方など、細目によって構成されているのでしょうが、その詳細を説明することは出来ません。

 

  

 

 

 

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