週刊「儲け創り」通信
〜創刊59号 2004年9月26日〜
発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部
チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之
この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。
今週の「儲け創り」のヒント
株式公開レベルの企業経営における『実質』創り@
「仮説(P)⇒実行(D)⇒検証(S)」
という業務のすすめ方の基本が、全社員に徹底されていること
@その基本が出来ない社員には、「成長するか、辞めるか」の選択しか残されていない!
A「成長の善循環(=成長癖)」に入っている時の心地よさ(成功体験)を知らない人間には、
「成長するか、辞めるか」の「背水の陣」に追い込む対応を取らなければ、
「成長する=学ぶ」姿勢に入れることは出来ない。
学ぶ姿勢に入っていない人間には、何を教えても「暖簾に腕押し」、「糠に釘」
教育の基本は、「碎啄同機(そつたくどうき)」
「背水の陣」に追い込むことが、「碎啄同機」の状況を創り出す。
株式公開レベルの企業経営ということになりますと、経営者は、株主を中心としたステークホルダー(利害関係者)に対して、経営計画という名前の「仮説」を提示しなくてはなりません。そして、まずは、その「仮説」の「精度」の高さが、評価の対象となります。未来のことは、もちろん、誰にもわかりませんが、その未来に対しての「仮説」において、「確からしさ」という精度の高さを求められるのです。その精度の高さを認めていただければ、後は、その計画を「実行」するだけです。もちろん、計画の実行段階においては、事前に予測できなかった様々な障害が発生し、場合によっては、大幅な軌道修正を迫られることもあるでしょう。しかし、最も大切なのは、計画通りの利益創出です。場合によっては、利益創出のための手段は、いくら変えても、最終的には、問題ありません。当然ですが、大切なのは、計画通りの利益創出です。そして、実行のステージが終わったあとに大切になってくるのは、計画以上、または計画通りに利益創出した成功の場合も、計画未達の失敗の場合も、会社が次期も存続するのであれば、実行の結果としての実績評価だけでなく、「検証」業務です。「検証」業務とは、成功も失敗も原因の追求、そして、その特定を行うことです。次期の「仮説(=計画)⇒実行」が、成功に終わるのも、失敗に終わるのも、その始点は、前期の徹底した「検証」業務にあります。繰り返しますが、その一連の業務の過程において、最も大切なのは、結果としての、公の約束=公約通りの利益創出です。このように株式公開レベルの経営者は、常に、ステークホルダーとの公約の実現に、全精力を傾けることが、最低限、求められます。
では、株式公開レベルの企業の社員に求められるのは、何でしょうか?当然、それぞれの責任、役割の範囲においての「仮説⇒実行⇒検証」という業務のすすめ方の基本の徹底です。逆に言えば、そのことが徹底できない=自分のものに出来ない社員は、少なくとも株式公開レベルの社員とはいえません。すぐにでも、成長していただくか、辞めていただくかのどちらかになります。場当たり的な対応しか出来ない『場当たり社員』は、当然のことながら、株式公開レベルの社員とはいえないのです。しかし、そのような「仮説⇒実行⇒検証」という論理的な業務のすすめ方の基本的な過程を実行することが、「めんどくさい」レベルの社員が多いことも事実です。その一方で、その過程を実行することを受け入れ、上手に活用し、ものすごいスピードで成長していく社員もいます。その違いは、どういうことから起きるのかを考えてみますと、答えはひとつ、単純なことです。「自らの成長に対する確固たる意志」があるかないかの違いです。常に、少しでも成長したいと言う姿勢で、仕事だけでなく、人生に対しても、取り組むことが出来る社員は、より効率的、効果的な方法のひとつとして、「仮説⇒実行⇒検証」という論理的な業務のすすめ方の基本を理解し、実践し、自らの成長という成功未来を、結果として手に入れます。「自らの成長に対する確固たる意志」のない「場当たり社員」は、仕事だけでなく、人生そのものも「場当たり人生」といって過言ではないでしょう。そんな「場当たり人間」が、常に公約を果たすことを求められる株式公開レベルの企業の社員にふさわしくないのは、申し上げるまでもないことです。ですから、株式公開レベルを目指す企業側、経営者側としては、「自らの成長に対する確固たる意志」のない人間などを、決して、採用してはいけません。また、万一、採用してしまっている場合は、「成長するか、辞めるか」という背水の陣に追い込むことが重要です。その上で、「仮説⇒実行⇒検証」を知らない社員には、教えることが必要です。しかし、頭ではわかっているが、『めんどくさい』レベルでの抵抗を示す社員には、成長するか、辞めるかのどちらかを選ぶことを強制するしかありません。なぜなら、人を変えるという成果を上げる教育の基本は、「碎啄同機(ソツタクドウキ)」だからです。企業側、経営者側が「碎啄同機(ソツタクドウキ)」の状況を創り出すことです。
碎啄同機(そつたくどうき)とは、禅の言葉です。
雛が誕生する時、卵の内側から雛がくちばしで殻を突っついて、「まもなく生まれますよ」という信号を送り、その信号を聞いた親鳥が外から殻を突っついて、生まれてくるのを助けると言う、その呼吸、タイミングの重要性を言い表した言葉です。
じつは、効果的、効率的な教育も、碎啄同機のように、タイミングが重要ですが、企業経営に関連して申し上げると、実は、教育に限らず、市場戦略=マーケティングも顧客の(生活様式の)変化とのタイミングが大切、つまり「早すぎても、遅すぎてもうまくいかない」し、組織化戦略=人と組織のマネジメントも、社員の成長スピードとのタイミングが重要です。
そうすると、どうも、世の中で成功するための最重要ポイントのひとつとして、碎啄同機があるようです。