週刊
「儲け創り」通信

〜創刊60号 2004年10月3日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

 

今週の「儲け創り」のヒント

 

株式公開レベルの企業経営における『実質』創りA

「トレードオフ(二律背反・ジレンマ)」

を、両立させる、解決する、または、

自分と仕事の間に、自分と他人に間に、自分と会社に間に、

自分を取り巻くすべての環境との間に、「Win−Win」の関係を創るのが、

ビジネスの本質であり、

プロフェッショナルの仕事と呼ぶにふさわしい仕事

 

 トレードオフとは、「物価と雇用の相対関係のこと。完全雇用の状態に近づくと物価が上昇し、逆に物価上昇が収まれば失業者が増えるという現象。」のこと。二律背反・ジレンマとは、「相反する二つの板ばさみになって、どちらとも決めかねる状態。」のこと。いずれの場合も、わかりやすく言えば、「あちらを立てれば、こちらが立たずの状態」のこと。

 ビジネスの現場に起こる問題は、すべて『トレードオフ』といっても良いほど、簡単に解決できる問題はありません。例えば、「コストパフォーマンス」の問題も、ビジネスの現場のいたるところに転がっている問題のひとつです。それを上手に、その時の様々な状況、外的環境、内的環境等を踏まえて、最善の選択をして、より良い「成功未来」を創り出すことが、ビジネスの本質であり、プロフェッショナルと呼ぶにふさわしい仕事というものでしょう。

 私が、経営コンサルタントとして、様々な企業のお手伝いをさせて頂く中で、時々驚くような光景に出くわす時があります。飲食店の料理長や、住宅建設の建築士などの専門職の方に多いようですが、「コストパフォーマンス」のバランスを考えて、最も良い解決策を考え、動くというレベルまでいかないばかりか、そもそも「コストパフォーマンス」のことさえ考えていないようです。料理長でいえば、「美味しい料理を創るには、美味しい素材が欠かせない。美味しい素材が、どんなに高かろうと、最高の料理を創るには、関係ない。」などと平気で考えている方も多いようです。飲食店は、「芸術」の場ではなく、また、ボランティアでやっているわけではありません。あくまでビジネスとしてやっているわけで、その証拠に「コストパフォーマンス」を全く考えない料理長も人並み以上の給料は、平気で手にしています。ビジネスマンとしては、「幼稚園児以下」ですが、このようなことは、料理長に限らず、建築士や、ごくごく一般的な営業事務をしている社員にまで、少なくないようです。

 「残業」が多い割には、「成果」が上がらない方に、「仕事のやり方」を改善するように求めると、そのような「幼稚園児以下」の「サラリーマン」は、仕事のやり方に関して、「創意工夫」を凝らすのではなく、「現在のやり方の正当性」を延々と話し始めます。厳しい言い方をするようですが、「現在のやり方の正当性」をお話いただいても、「成果」が上がっていない事実には、変わりません。ことほど作用に人間は、「現在のやり方」に固執し、できれば、慣れたやり方で通そうとするものです。しかし、繰り返すようですが、「成果」は上がっていないのです。「残業という時間コスト」が多くかかっている割には、「成果パフォーマンス」は上がっていないのです。その事実に目を向ければ、「やり方」を変えるしかないのです。そこまで言われても、まだわからない「乳児以下レベル」の「サラリーマン」は、「他に、もっと良いやり方など、ない!」と言い張ります。自分の頭で考える癖づけのない人は、今の自分のやり方が、世界一!かのごとく言い張ります。生まれてから、今に至る人生の中で、ひょっとして、一度も自分の頭で考えたことなどないのではないかと思わせる人も、少なからず存在します。信じられないかもしれませんが、業務における創意工夫どころか、プライベートにおいてもおそらくすべてに流されるようにして生きてきた、縦のものを横にもしないで人生を生きてきたと思われる人が、結構多いのです。もちろん、どんな人生を歩もうと、基本的には、その人の勝手なのですが、社員として、一人前の給料を支払うわけにはいきません。自分の業務において、常に、より良いやり方を考え出すという創意工夫の姿勢がないのであれば、「単なうコンビニのアルバイトクラス」なわけですから、時給1000円、1日1万円、1ヶ月20万円、1年で240万円クラスの仕事レベルということになります。ですから、それ以上貰っている=ほとんどの人は、即刻、辞めていただくか、少なくとも仕事をやっている時だけは、業務のやり方を変える=業務改革のアイデアを、どんどん考え、どんどん動くという、最低限のレベルの仕事とはやっていただきたいものです。会社側をだますつもりがなかったという点において詐欺ではなく、「仕事とは、創意工夫=現実を変える具体策を考え、動いて一人前」であるという認識を、事前にもっていなかったという点で犯罪ではないでしょうが、このことをご説明した後でも、仕事に対する姿勢が、何ら変わらないとすれば、それは、まさしく犯罪行為と呼ぶべきものでしょう。

 特にホワイトカラーの場合、自分の給料の源泉が、「利益を増やす知恵を考え、行うこと」にあるわけですから、ただ単に長い時間会社にいても、成果は上がりません。ブルーカラーは、長い時間、工場の中のラインについて作業をしていれば、一定の成果は上がりますが、ホワイトカラーの成果は、時間と相関関係にないのです。成果に対する報酬という基本に立ち返れば、そもそもホワイトカラーにタイムカードがあることさえおかしな話です。ビジネスの現場の激しい変化に、様々な法律や慣習が追いついていない典型的な証拠のひとつです。

 自分を取り巻くすべての環境との間に「Win−Winの関係」を創ることが、ビジネスの本質ということであれば、「家庭を取るか、会社を取るか」「公を取るか、私を取るか」などの議論は、あまり意味のないことでしょう。家庭も、会社も同じように大切です。公も私も同じように大切です。公私と言うことでいえば、『活私奉公』というところでしょうか?かつて、船井幸雄名誉会長が、手帳を公私分けたりするのは、二流の人間のすることだとおっしゃっていました。おそらく、上記のようなことを意味しているのだと思います。おそらくは、日本の平均的なサラリーマンより労働時間の長い船井総研の人間も、いわゆる『滅私奉公』で働いている人は、一人もいないと思います(そういう人が間違って入ってきても、すぐに辞めていきます!)。私を活かすことが、結果として、公に奉ずることになっているような感覚です。公も私も目一杯充実した人生を過ごすこと、それが、より良い人生のあり方ではないかと、今は、思っています。



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