週刊「儲け創り」通信
〜創刊62号 2004年10月17日〜
発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部
チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之
この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。
今週の「儲け創り」のヒント
「小売業の勝ち残りの鍵は、
ソリューション(問題解決)ビジネス化(=サービス業化)」
常々、申し上げているように、1970年代後半に、日本の生活の現場(生活関連ビジネスにおける起点)では、「モノ(商品)余り」状態を迎えました。「モノ(商品)余り」状態を迎えると同時に、小売業においては、「(生活必需品だけを売る店舗の)ミセ(店舗)余り」状態を迎えました。「モノ(商品)余り」とか「ミセ(店舗)余り」状態とは、供給の前提となる需要が存在しない市場になったということを意味します。当然の前提として存在するはずの需要が存在しない市場へのアプローチ&ビジネスは、当然、それまでの市場へのアプローチ&ビジネスのやり方を進化させたものにする必要があります。それまでの供給体制、製造業におけるフォーディズム(=大量生産・ベルトコンベア−方式)や、小売業における「チェーンストアオペレーション(ローコストオペレーションのシステム構築により利益を創り出す)」だけでは成立しにくくなり、別の仕組みを導入することが必要になったということです。
空腹の人間には、食べ物を作れば、買ってもらえたわけですが、満腹の人間には、食べ物を作っても買ってもらえません。何せ、満腹なんですから。見当違いや、的外れのフォーディズム(製造業)や、チェーンストアオペレーション(小売業等)によるローコストオペレーションで、いくら、価格的に安くしても、とにかく満腹なんですから買ってもらえません。(実は、このような見当違いで、的外れ(=マ○ケ!)な企業が、未だに数多く存在しています。ほとんど利益が出ていないようですが、営業利益が1%を切っているような企業には、早く、市場から消え去ってもらいたいものです。努力をしない、進化しようとしない企業や、人間が存在するのは、目障りですから。)
買っていただきたければ、「顧客価値」に基づいたものを提供しさえすればよいのです。別に難しい話ではありません。自分が売上を創りたい!という立場を、一旦離れて、まず、顧客価値をきちんと感じることがすべての始まり、始点です。自分の売上を創りたいだけという事で、自分の目を曇らせていなければ、「顧客価値」が、「単なる安売り(低価値の商品を低価格で販売する)としての価格」ではなく、「価値に見合った価格」を求めているところにあるということが見えてくるはずです。顧客に貢献した結果としての売上を創るという、当たり前のことを当たり前に感じることさえできれば、顧客の求めている価値を感じることができるはずです。そのことに気付いて、初めて、高くてもお買い上げ頂ける商品の存在に気付くことになります。だから、顧客に買っていただきたければ、顧客の「別腹」に対応した商品を製造したり、「別腹」に対応した提供方法(=小売業における業態)を行えば良いだけです。総合スーパーのダイエーが「倒産(!)」したのも、ここを読み間違えたからですね。前年同月比を約20ヶ月落とし続けているホームセンター業界の上位企業も、ダイエーの失敗を見ているはずなんですが、相変わらず、戦略を変える様子がありません。前年同月比を約20ヶ月、連続で落とし続けていても経営者がクビにならないこと自体不思議ですが、いずれにしてもレベルの低い話です。バ○ではない(!)はずですから、おそらくは、自分の売上、自分の利益に固執しすぎると、こんなに簡単なことでも見えなくなってしまうという典型でしょう。チェーンストア理論の本質が、ローコストオペレーションにあり、今の消費の現場では、それだけでは通用しないので、「ハイパフォーマンスオペレーション」である「プレミアム(価値割増)理論」を付加しなくては、需要は創れない!ことは、少しでも「対生活者ビジネス」でお金を貰ったことのある人間であれば、誰にでもわかる理論なんですが・・・それにしても、不勉強で、自分(だけ)本位の怠け者集団企業であるダ○エーや、ホームセンター業界の上位企業などには、なるべく早く市場から撤退していただきたいと思いますね。怠け者でもお金が貰えて、メシが食えるという社会は、子供への教育上良くありませんから。
話しの前段が長くなりましたが、今回のポイントは、何が顧客の別腹かということです。別腹の中身を考える時に、マズローの欲求階層論が役立ちます。
マズローの欲求階層論に従えば、別腹の中身は、3、4、5ということです。勘違いしないで頂きたいのは、食物だからといって、すべての食物が、1や2ではないということです。粗利益をたくさん頂ける=高くても買っていただける食物は、3や4や5としての食物だということです。既に満たされている=満腹である1や2のための食物は、叩き売られ、安くても、低粗利でもお買い上げいただくのに苦労します。社会的欲求を満たすために、つまり、他者とのコミュニケーションツールとして、例えばデパ地下の「RF1(アールエフワン)」の100グラム500円!のサラダが存在するのです。「今日デパ地下に行ったんだけど、(テレビの情報番組でやっていた!)健康に良い○○素材が一杯入ったこのサラダ、100グラム500円もしたんだけど、どう?」で始まる楽しい家族の食卓を創るためには、100グラム500円は安い!というわけです。(この消費の構造が理解できない企業や、人は、死ぬまで低粗利&低営業利益&低賃金で我慢してくださいということです。お金を払う人間が求める商品を創ることが出来ないのだから、当然です。)
小売業は、結果として商品をお買い上げ頂かなくては、売上が創れない、利益が創れないわけですが、単なる商品については、「満腹」状態の今、未だ満たされていない「別腹」に存在する、例えば、社会的欲求を満たすという問題を解決する(=ソリューション)提案を行うことができれば、その結果として、商品は、いくらでも、お買い上げいただけます。今、高くてもお買い上げ頂ける商品は、すべて、この「プレミアム(価値の割増)理論」で説明できます。どうか、少しでも早く、自分の売上だけに目を曇らせることなく、顧客(=お金を払う人間!が求める)価値のありかを突き止め、ハイパフォーマンスオペレーションを実現する「プレミアム(価値の割増)理論」を導入し、高くてもお買い上げ頂ける商品を製造し、販売し、高粗利、高営業利益、高賃金を実現してください!
ちなみに、マズローの欲求階層論の1と2は「モノ満足(物理の世界、安全の世界)」ということであり、3と4と5は「ココロ満足(心理の世界、安心の世界)」ということです。今、高くても買っていただける商品は、すべて、何らかの形で、「ココロ満足」を提供するものです。「顧客価値」がある「ココロ満足」商品は、高くてもお買い上げ頂けるということです。決して、景気が悪いから、安くしないと売れないのではなく、商品に魅力がないから売れないだけです。魅力の源泉である「顧客価値」がある「ココロ満足」の提供を意識した商品を製造したり、販売したりしないから、安くても(!)売れない(!!)のです。決して、難しい話ではありません。価値が高ければ、高くてもお買い上げいただけます!
関連して申し上げれば、チェーンストア理論に代表されるようなローコストオペレーションは、結局のところスケールメリットを追求するということになります。これに対して、プレミアム理論のようなハイパフォーマンスオペレーションは、スモールメリットを追求することになります。顧客満足を追及していけば、出来ることなら、全面的個別対応が望ましいということですから。つまり、成功するビジネスモデルは、スケールメリットから、スケールデメリットの時代へ、もしくは、スモールデメリットからスモールメリットの時代へと、顧客価値の変化に対応する形で変化したということです。
水は高いところから低いところに流れるのが道理であるように、生活者関連ビジネスは、常に、顧客価値の変化に対応するのが、道理になります。顧客価値の変化に気付かないのか、気付かないフリをしているのか、当然気付かないのでしょうが・・・
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