週刊
「儲け創り」通信

〜創刊63号 2004年10月24日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

今週の「儲け創り」のヒント

 

「価格的には高くても(もちろん、安いに越したことはないが)、喜んでお買い上げ頂けるような(=顧客にとって)価値の高い商品を創り続けること。

それがビジネスの醍醐味。経営者冥利

 

 既存の価値を、既存の企業の価格よりも安い価格で提供することでもビジネスは成立します。いわゆる「価格破壊」という現象を担う企業が行っていることです。単に粗利益を削って成立させている、単なる安売りというのは、論外ですが、ユニクロや、無印良品や、サイゼリヤ等が行っているような「生産⇒流通⇒消費」という全体の基本構造から変えてしまうような仕掛けは、単なる安売りとは違う、価値の高い商品を、しかも価格的に非常に安く提供するという意味において、素晴らしいビジネスモデルといえるでしょう。無印良品は、コンセプトが明確なブランドとして、既存の商品にはない価値を社会に対して提供しています。ユニクロは、ファッションの世界において、サイゼリヤは、飲食の世界において、中価値を低価格で提供すること(しかも、営業利益率が抜群!)で、ひとつの消費世界を消費者にもたらしました。もちろん、これはこれで素晴らしいのですが、それ以上に素晴らしい、ビジネスの醍醐味といえるものは、「価格的には、高くても、喜んでお買い上げいただけるような(=顧客にとって)価値の高い商品を創り続けること」でしょう。もちろん、簡単なことではないですが、人が命を懸けて行うもの=経営である以上は、執着心を持ってこだわりたいことのひとつではないでしょうか?食えなきゃ話になりませんが、食えれば良いというものでもないでしょう。(モノ満足出来ても、ココロ満足に達することが出来なければ、ヒトとしての成功とはいえないでしょう?)消費者が行列をしても欲しいと思ってくださるものを創り、その結果として営業利益率10%以上をたたき出すこと。その実現のためには、「凝視無形 傾聴無聲 形の無いものを見つめ、声なき声に耳を傾ける(オギノ式の荻野久作氏)」ことが必要になるのでしょう。そのような姿勢で、消費生活や購買生活の現場を見たり、聞いたりし続けると、ある時、見たり聞いたりした現場の量が臨界点に達して、質に転化する(量質転化)ように、顧客の求めること本質=顧客価値を把握することが出来て、未来の成功商品=高くても喜んでお買い上げいただけるような商品を現実化することが出来るのでしょう。今、目の前にある現実の問題を解決するレベルに落として言えば、@過去の成功商品の原因分析を行うということは、A顧客価値の特定という過程を通して、B未来の成功商品の現実化に至るということです。成功商品を創りたければ、「柔術」のように小手先のテクニックだけで考えるのではなく、「柔道」のように、常に物事の本質まで考える必要があるということです。

  関連して申し上げれば、小売業における「商品仕入」「商品企画」「マーチャンダイジング」などの職種において成功するには、ふたつの能力が必要です。ひとつは、「対象顧客の生活実感」を持てる能力。もうひとつが、「生活実感を具体的な商品創りへと結びつける仮説構築能力=論理的思考能力」です。「現場感覚」と「論理知覚」の両方が必要なのです。「現場感覚」だけでもダメですし、「論理知覚」だけでもダメです。成功商品を創り小売業の生命線を握る「商品企画」という仕事は、案外、難しいものなのです。50代の専業主婦が顧客対象であれば、自分自身の年齢とは関係なく、あるときは、50代の専業主婦的感覚となり、あるときは、冷静沈着にデータを見つめて仮説を構築するというような知的作業をこなすことが求められるということです。「現場感覚」はすべての起点になりますが、だからといって50代の専業主婦なら誰でも成功商品を創れるわけではありませんし、まして、起点としての「現場感覚」なしで、論理的思考能力だけで、成功商品が創れるわけがありません。現場も大切、データも大切ということです。現場のメリットデメリット、データのメリットデメリットを勘案して、成功商品を創り上げる能力が必要なのです。




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