週刊
「儲け創り」通信

〜創刊65号 2004年11月7日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

今週の「儲け創り」のヒント

 

株式公開レベルの企業経営における『実質』創りC

「今、最も成果が上がりやすい分業(体制=組織体制)とは?」

プレモダン、モダン、ポストモダン

属個人から属組織的分業、そして、ポストモダンの今、属個人と属組織のハイブリッドへ

 

損益を自ら律することの出来る「自律社員」の集合体としての組織(≒京セラ・アメーバ方式)が、対顧客(満足感の向上)においても対社員(責任感の向上)においても、今、最も強い組織体制、つまり、利益を出し続けることを可能にする組織体制である。

 

 まず、個人的な経験からお話することをお許しいただくとして、私が、1984年に、社会人1年生で入社した東急ハンズ(生活関連雑貨の大規模小売業、http://www.tokyu-hands.co.jp/)は、当時売上約300億?の大規模小売業にしては珍しく、商品部が存在していませんでした。通常、モダンの組織体制であれば、顧客価値の創造の過程別に、分業体制をとっているものです。本社に商品部があり、販売部として、それぞれの店舗があるようなイメージです。製造業で言えば、商品開発&製造部と営業部とか。売れるものがわかりきっていて、つまり、需要が存在したモダンにおいては、この「顧客価値の創造の過程別分業」というのは、最も生産性の高い組織体制でした。しかし、1970年代後半にはいって、売れるものがわかりにくくなってきた、つまり需要が存在しないポストモダンになって、かつて高い生産性を生み出した組織体制は、欠点ばかりが目立つようになってきました。どのような組織体制でも、欠点や、デメリットのない組織体制は存在しませんが、明らかに、欠点や、デメリットのほうが目立つようになってきたら、組織体制の問題に限らず、所詮、利益を上げるという目的を達成させるための手段にしか過ぎないわけですから、よりメリットの大きいものに変えるべきです。そこで、小売業で言えば、東急ハンズ流「仕入販売員」。顧客が価値があると認めた商品=購買していただける商品=販売できる商品を仕入れるという順序から考えれば、「販売仕入員」という分業体制=組織体制。プレモダンにおいては、個人商店が行っていたやり方を、大規模小売業である東急ハンズが、プレモダンのハイブリットな分業体制として採用した組織体制。1975年創業のこの企業が、明確な需要が存在しなくなった1970年代後半の市場の状況に合わせるようにとった組織体制が「仕入販売員」という分業体制=組織体制でした。明確な需要が存在しないわけですから、何が欲しいのか?何にならお金を払うのか?顧客に聞くのが一番早い!わけです。顧客に聞いてもわからないことが多くなってきた最近では、販売実績などから仮説をたて、その仮説に基づいて、少量を取り扱ってみるような場合でも、この分業体制は非常に有効です。売場にいる販売員に、商品を仕入れる権限を持たせたこの組織体制は、顧客の満足感を高めることに成功しました。その結果、現在に至るまで成長し、今や、1000億企業になっています。個人がある商品群を担当し、仕入販売するわけですから、担当の範囲は、きわめて狭く、文具で言えば、ノートで一人、筆記具で一人というようなイメージで分業するのです。商品部、販売部というような分業体制における個人の担当範囲の広さとは比較にならないくらい狭いものですね。(実は、東急ハンズは、経営者が優秀であれば、いや、せめて、並みの経営者であれば、10年以上前の1990年代前半に、1000億企業になっていたはずですし、営業利益率が約2%などというテイタラクもないはずで、私に言わせれば、簡単に10%を超えることが可能(粗利益率が50%を超えているにも関わらず、営業利益率が約2%などというのは、経営(者)不在ですね!何も考えていないに等しい!)ですが、この話は別の機会に。)

 ポストモダンのハイブリットな分業体制、製造業で言えば、「セル生産方式」です。これについては、昨年秋にも触れましたので省略させていただきますが、市場の少量多品種という需要に対する分業体制として優れているばかりでなく、社員の損益や品質などに対する責任感の向上という面や、モチベーションアップという面、対顧客の満足感の向上という面からも、非常に優れた分業体制といえましょう。

 

 
    トップへ戻る       バックナンバーへ戻る