週刊「儲け創り」通信

〜創刊66号 2004年11月14日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第三経営支援本部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

今週の「儲け創り」のヒント

 

「経営と経営

「勝てば官軍、手段は問わず」と考えるのか、

もちろん、勝たなくてはならないが、

勝つための手段(=勝ち方)にもこだわる(=美しさを求める)のか?

勝つことだけが目的である経営と、

勝つことだけでなく、

美しく勝つことが目的である経営の違い

 

 私事で恐縮ですが、以前の職場の仲間で、7、8年前に経営者となった二人の友人と話をする機会がありました。二人とも、経営の方は、まずまず順調との事、楽しい再会となりました。二人の経営者と経営コンサルタントの話ですから、話題は、当然、経営のこと。経営に関する様々な話を進めるうちに、「経営者として成功する、勝つために、手段を問わないと考えている一人」と、「経営者として、もちろん、成功したい、勝ちたいが、そのための手段にもこだわりたい=美しさを求める一人」とに分かれました。ここで言う成功や勝ちの意味は、経済的な意味に限定されたものです。「美しい手段を日々実践した結果としての成功や勝ち」なのか、「はじめに成功や勝ちありきで、その達成のための手段は問わない」ということなのかともいえるでしょう。当然、望月は、成功の仕方、勝ち方にこだわります。もちろん、成功したいし、勝ちたいですが、美しい手段の日々の実践の結果としての成功や勝ちが欲しいのです。懸命(=命懸け)に勝ちや成功を願い、日々、精一杯、奮闘努力していますが、手段には、こだわりたいと思います。それは、例えば、「Win−Win」であったり、「他者を満足させた結果としての報酬」という基本的な姿勢に対するこだわりなのです。勝つためには、相手も騙してもいいとか、損をさせても良いというものではないからです。確かに、世の中には、健康食品のD○C社などの社会性や道徳性のかけらもないが、経済的には成功している企業も多数存在しています。しかし、そんな「経済的な成功」が、いったい何の意味を持つのだろうか?と思います。もちろん、望月だって、人一倍、経済的な成功を手に入れたいと思っていますが、それは、「道徳的な成功」との両立がなければ意味がないと考えています。「経済と道徳(二宮尊徳)」の両立が、経営と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。もちろん、望月は、マザーテレサのような人格者ではないので、「道徳的な成功」だけでも嫌ですが(笑)。言い換えれば、「社会性(道徳)と自社性(経済)の両立」。単なる金儲けを成功や勝ちの定義と考えるのではなく、「人儲け(人に信用される者)」を実践した結果として、金儲けをしたいのです。単なる金儲けであれば、経営を学べばいいことです。経営術なら、「マーケティングコンサルタント」がいくらでも教えてくれます。しかし、私は、「経営コンサルタント」であり、経営を説くものでありたいと考えているのです。

 

 

 

どこまでできているか、結果は、顧客が決めるものなので、自分では、よくわかりませんが、経営コンサルタントのプロとして、常にそうありたいと、日々、実践しているつもりです。しかし、経営に対する考え方、成功に対する考え方は、経営者が百人いれば百通りあり、どれが正解というものではないと思います。それぞれが自分自身の人生観をベースに経営をすればよいのでしょう。成功や、勝ちにこだわりすぎれば、相手を騙しても良いとか、損をさせても良いということにもなりかねませんが、それを、単純に、頭から否定は出来ないでしょう。ただ、私は、そんな経営者とは、関わりたくないし、そんな会社で働いている社員とも関わりたくないし、まして、所属もしたくないだけです。

望月が、もし、経営者となる機会があれば、自分の会社に対して、下記のように思いながら経営することになると思います。

「私がこの聖堂(=会社や事業)を完成させることが出来ないことは悲しむべきことではない。私は、年齢を重ねていく。代わってこの聖堂(=会社や事業)を再び始める他の者たちが現れるだろう。このようにして、聖堂(=会社や事業)はさらに壮麗なものになろう。(建設開始から100年以上たった今でも建設中であるスペインのサグラダファミリア聖堂の設計者であるアントニオガウディの「ガウディの言葉」より)」

このような「永遠への情熱」無くして、厳しい経営の現実を乗り切ることは、望月の場合、不可能であると思うからです。

単なる金儲けだけが成功であり、経営者としての価値であるとしか考えられない、言い換えれば、経営を、道としてでなく、術としか考えられない、かつての同僚だった1人の経営者とは、もう二度と会うこともないでしょう。レベルの低かったかつての自分と二度と会うことがないのと同じように・・・

 最後に、今読んでいる「人生における成功者の定義と条件(村上龍著 NHK出版)」の中からいくつかの文章をご紹介させて頂きます。

「人生の成功者というのは、「生活費と充実感を保証する仕事を持ち、かつ信頼できる小さな共同体を持っている人」という仮説を立ててみたい。旧来の成功モデルが機能しなくなっている今、あえて成功者の新しい定義と条件を示すことは無意味ではないと思うからだ。」

ある目標があって、そこへ向かって一生懸命努力している時に、人間はハッピーに感じる(マサチューセッツ工科大学教授 利根川進氏)」




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