週刊「儲け創り」通信


〜創刊73号 2005年1月16日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

 


今週の「儲け創り」のヒント

 

「ヒットする商品&ビジネスの企画の基本」

仮説構築(「@誰に・A何を・Bどのように」を考え、組み立てる)力

を身につけよう!

 

商品の企画は、マーケティング(=『売りの仕組み』)の根幹であり、マーケティングは、ビジネスの根幹です。つまり、消費者に対して、商品の提供を通して満足を提供し、その結果として「売り」があるということ、それが、ビジネスの根幹ですから、商品の企画も、ビジネスの企画も、ヒットさせるためのコツは、基本的に同じです。消費者の生活の現場に、商品やビジネスをヒットさせる答えがあるということです。それでは、生活の現場にいる消費者であれば、誰でも、ヒットさせる答えを見つけられるかというと、そう簡単にはいきません。なぜなら、生活の現場は、常に、「混沌」としているからです。「混沌」としている生活の現場を、感覚的に把握し、論理的に分析し、ヒットさせる答えを見つけられる能力が必要なのです。それが、『仮説構築力』です。

消費者の生活の現場が、「空腹状態」の時代(1970年代後半以前)は、衣食住という生活のすべてにおいて、「空腹を満たす商品」を提供すればよかったので、商品の提供者である企業側は、マーケティング(=『売りの仕組み』)において、それほど難しい(=知的レベルの高い)仕事は要求されませんでした。ポイントは、ローコストオペレーション(=小売業のチェーンストア理論、製造業のフォーディズム)ですから、「売り」を創る為の『仮説構築力』も何もありません。消費者の生活の現場のことをいろいろと考える必要もほとんどなかったと言って良いでしょう。生活の現場は、あらためて考えるまでもなく「空腹状態」だったわけですから。しかし、「空腹状態」から「満腹状態」に変化してしまった現在(1980年代前半以後)、「何が求められているのか」を一生懸命考えるところ(=マーケティング=『売りの仕組み』)から、消費者相手のビジネスの仕事は始まります。しかも、「何が求められているか」について、「当の本人」である消費者自身にも、よくわからないものを見つけなくてはならないのですから大変です。生活の現場の様々な情報から、あるいは同業他社の情報などから、こういう商品が求められているのではないだろうかという手探りを重ねて、初めて、ヒット商品、ヒットビジネスのタネに出会うことが出来るのです。そのヒット商品、ヒットビジネスのタネに出会うまでのプロセスにおいて、試行錯誤を繰り返しながら、少しずつヒットに近づく力こそ、今、最も必要で、大切な力である『仮説構築力』なのです。

  


 小売業において、レベルの低い商品企画担当は、卸売業や製造業の営業担当に対して、「とにかく売れる商品を提案して欲しい!」などと平気で口にします。しかし、消費者の欲求が、これだけ細分化してきているわけですから、一言に売れる商品と言われても、消費者の属性によって、千差万別ですから、答えようがないのです。例えば、比較的新しい商品である携帯電話でさえ、若年層向けには、高機能が売れ、熟年層向けには、単機能が売れる市場になってきているわけですから、以前からある商品についてはなおさら、「対象顧客によって売れる商品が違う」わけです。ですから、まともな商品企画担当であれば、対象顧客に関する仮説(@誰に・A何を・Bどのように)を持っていて、それに見合う商品を持っている、造っている、もしくは、造ってくれる卸売業者、製造業者を探し出して、その上で商談をすることになります。対象顧客などに関する仮説なく、ただ闇雲に、やたらと商談しても、ヒット商品を企画することは出来ないからです。そんな商談は、単なる「暇つぶし」以外の何物でもありません。消費者に対して、「誰に、何を、どのように」提供すれば、喜んでいただき、その結果として、お買い上げいただけるのかという仮説のない商談は、全く意味がないのです。

   


ヒット商品や、ヒットビジネスを創り出すには、「商品知識よりも、まず、顧客知識が大切」と、私が、以前から申し上げている理由は、ここにあります。もちろん、現実に商品創りをする時には、商品知識がなければ創ることは出来ませんが、商品をヒットさせるためには、まず、何より、顧客知識(=@誰がA何をBどのように求めているのか?=顧客に関する仮説)がなくては話にならないのです。そういう意味で、今、顧客知識=生活の現場で一番求められているのは、「どこにでもある商品を、少しでも安く提供すること(価格訴求商品)」ではなく、「生活の現場の問題を解決するツールとしての商品(価値訴求商品)」です。

また、「万人向け(不特定多数の大きな市場)×弱い購買動機」の商品より、「特定の人向け(特定少数の小さな市場)×強い購買動機」の商品のほうが、今、求められています。先ほどの携帯電話の事例などにも見られるように、(比較的新しい商品である)携帯電話でさえ、万人向けの商品は、そのコンセプト&機能が中途半端で、つまるところ、万人に相手にされません。しかし、熟年層向けの単機能商品は、熟年層に強い購買動機を引き起こすので、ヒット商品となるのです。小さな市場でもいいから、強い購買動機を引き起こす商品企画であることがポイントです。

 縮小していくマスマーケット対応の商品を企画するよりも、拡大するミニマーケット対応の商品を企画しましょう。そして、マスマーケットの縮小とマスメディアの広告の不振は、リンクしています。ですから、ミニマーケット対象の商品の広告は、当然、ミニメディアです。対象顧客に、直接語りかけるような広告、例えば、クチコミをいかに創り出すかということになります。ワントゥ−ワンマーケティングが有効なのは、実は、マスマーケットの縮小と裏腹の関係です。



   トップへ戻る       バックナンバーへ戻る