週刊「儲け創り」通信

 

〜創刊74号 2005年1月23日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 


今週の「儲け創り」のヒント

 

成功事例に学ぶということ」

成功事例の表面的、形式的なやり方だけを、

「サルマネ」しても、成功できない。

成功するために「成功事例に学ぶ」というのであれば、

「成功事例の本質(=あり方)」に迫らなければ、

成功することは出来ない。

 

 ついに純利益1兆円を超え、日本を代表する企業になった『トヨタ』。当然、そのような企業から、学ぶべき点は沢山あります。実際、そんな『トヨタ流』に学ぼうとする企業も多く、元『トヨタ』社員のコンサルティング会社は、大繁盛だそうです。しかし、同じように『トヨタ流』を学んでも、その成果は、企業によって、様々なようです。それでは、成果が上がる企業、上がらない企業の差は、いったい、どこから来るのでしょうか?ポイントは、表面的、形式的なやり方だけを、言わば「サルマネ」をして、それだけで、『トヨタ流』を導入した気になっているところは、成果が上がらないということにあります。当然のことながら、単なる『サルマネ』だけでは、ダメだということです。成果を上げるためには、表面的、形式的なやり方だけではなく、本質的、実質的なあり方も含めて学ぶ必要があるのです。いや、むしろ、まずは、その本質的、実質的なあり方を理解することが大切でしょう。その上で、表面的、形式的なやり方を学ぶ。そして、最終的には、自社流に落とし込んだ企業だけが、『成功事例に学ぶ』ということになり、成果を上げられるのです。

いわゆる『良いとこ取り』というわけにはいかないのです。安易な取り組みは、けがの元であるともいえましょう。

テキスト ボックス: 成功事例に学んで成功するタイプ,テキスト ボックス: 成功事例に学んで失敗するタイプ

  


経営コンサルタントとして、数多くの経営者とお話をさせていただく機会が多いのですが、残念ながら、「表面的、形式的、やり方、システム、仕組み、可視的」という上部構造にだけ関心が、ある経営者も多いようです。「手っ取り早く、金儲けがしたい」ということなのでしょうが、そんな虫のいい話が通用するほど世の中は甘くないし、消費者は甘くありません。特に最近の傾向としては、「経営者や、企業の志」に反応して買われる消費者が増えてきていますから、なおさらです。今後、益々、このような傾向は強まることはあっても、弱まることはないでしょう。「手っ取り早く・・・」ということについて、もう少し、正確に言えば、そういう方法はないわけでもないし、知らないわけでもないのですが、短期的に金儲けをして、いったい何の意味があるのでしょうか?短期的には、細くても、太くてもいいのですが、「長く」続くビジネスでなければ、意味がないでしょう。私だって、「長く」続くビジネス、つまり、『世のため、人のため、自分のため(船井幸雄 船井総合研究所 顧問)』と考える経営者や、企業のお役に立つために経営コンサルタントをしているわけで、単なる金儲けを手伝うために、こんなにしんどい(けど楽しい!)仕事をしているわけではないですから。他の経営コンサルティング会社はどうか知りませんが、少なくても我が社の経営コンサルタントは、全員、そういう志で仕事をしているはずです。ですから、「手っ取り早く・・・」とお考えの経営者や企業には、他の経営コンサルティング会社に行って頂くしかないわけです。

 話がそれてしまいましたが、ポイントは、成功事例の「あり方」と「やり方」から学び、いかに自分のもの、自社のものにするかということです。単なる『サルマネ』では成功し続けることは出来ないということですね。トヨタをサルマネしたって、成功できるわけがありません。いや、むしろ、劇薬だけに、薬になるどころか、毒になりかねません。効き目のある『成功事例』から学ぶということは、それだけの覚悟で臨む必要があると思います。そうでないと、成果主義を形だけ導入しようとして、結局、失敗に終わり、しかも、業績まで悪化させてしまった富士通のようなことになるでしょう。

 関連して申し上げれば、『トヨタ流』が流行っているので、元『トヨタ』の社員の経営コンサルティングも繁盛しているようですが、元『トヨタ』の社員だからといって、『トヨタ流』の本質を理解しているかどうかは、全く別物です。長い歴史の中で積み上げられた『トヨタ流』の流れに乗っていただけの社員かもしれませんから。かつで、私が在籍していた東急ハンズも1980年代後半においては、いろいろな企業に『サルマネ』されましたが、ほとんど失敗に終わったようです。なぜなら、単なる『サルマネ』だったからですが、いくつかの企業は、元『東急ハンズ』のマネージャークラスをヘッドハンティングして『東急ハンズ流』を学んだようですが、それも、残念ながら、ほとんど失敗に終わったようです。申し上げるまでもなく、彼らが、いずれも『東急ハンズ流』の本質を理解していなかったからですね。私の経験から申し上げますと、当時、「東急ハンズ流の本質」を理解していた社員は、1割にも満たないのではないでしょうか?新卒入社で6年しか在籍していませんでしたが、私には理解できていましたが(すみません、自慢です!(笑))。すべての物事には、必ず、本質があり、常に、そのことを理解するように努めていないと、当然のことながら、理解どころか、本質の存在すら気付かないものです。実際に、単に社歴が長いだけの社員、マネージャークラスもたくさんいましたし、そういうレベルの人間をいくらスカウトしても、成功させられるわけがないですね。

 と言うことで、今日のお話しのポイントは、『本質に迫る』とことが大切であるということです。これは、商品企画や、営業企画、ありとあらゆることを成功させる上で、最も大切なことでしょう。たとえば、商品企画であれば、「売れ筋商品」の「売れる本質(なぜ、お客様は、お金を払って、買ってくださったのか?)」を掴む事ができれば、次の成功を約束されたということになるでしょう。「形を創って、魂を入れる」ことが、成功のコツであるとすれば、「形」も大切ですが、特に「魂」が大切であるということですね。



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