週刊「儲け創り」通信


〜創刊76号 2005年2月6日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

 

 今週の「儲け創り」のヒント

 

「自覚」こそ、成長の起点

 

「自律した個人、自律した組織」が、経営組織における究極の目標です。個人や組織が存続し続けるために、最も大切なことは、「自分で律することが出来ること=自律」であり、このことを、京セラの稲盛さんは「アメーバ」と呼んでいます。そして、その最も大切な「自律」は、「自覚」から始まります。「自覚」のないところに「自律」は芽生えません。自分の給与が、天から降ってくると思っているかのごとくふるまう大企業のサラリーマンには「自覚」が全くありませんから、「自律」などは、夢のような話です。ですから、そのようなサラリーマン根性を鍛え直す意味でも、下記のような知識を教える必要があるわけです。

 

テキスト ボックス: 売上,テキスト ボックス: 粗利

 

 


この知識を知った上で、それでも貢献しようとしない社員は、そもそも論外なので、別の対策が必要ですが、すべては、この「自覚」から始まります。「働かざるもの(=稼がざるもの)食うべからず」です。実は、ほとんどの企業の社員は、この程度の知識は、持ち合わせていますが、それが「腹に落ちている」状態であるかどうかは別物です。この知識が「腹に落ちていれば」、例えば、稼いでいないのもかかわらず、のうのうと給与をもらい続けることは出来ないということです。稼いでいない自分が、給与をもらえると言うことは、稼いでいる誰かの給与を、ちゃっかり横取りしてしまっていることに他ならないわけですから。もちろん、組織ですから、また、勝負事ですから、勝っている時もあれば負けている時もあるし、お互い様と言うこともあるのでしょうが、貢献できていない自分をきちんと「自覚」し、真剣に業務を遂行していないとなると話は別です。どうも、企業規模が大きくなると、このような、いわゆる「ぶら下がり社員」が増えるようです。大企業であることを前提に就職してくる社員には、そのような傾向が大きいようです。このことを経営の側も充分に気をつけて、「人事」や「評価制度」を考えないと、気がついたときには、「ぶら下がり社員」だらけということになりかねません。実は、今、私がお伺いしているある大企業も、この傾向があります。しかも、まずいことに、この大企業の経営幹部が、このことの重大性をきちんと認識していないようなのです。「自律」させる以前の「自覚」が足りない社員が多くなり始めていると言う現実は、早目に手を打っておかないと、気がついたときには、遅かったと言うことになりかねません。

 

個人の成長も組織の成長も、そのような「自覚」の上に成り立っています。そのような「自覚」があって初めて、「なんとかする!」ということにつながり、「なんとかする!」に追い込まれて、はじめて、「知識」が「知恵」に変わるのでしょう。それが、「実践」の凄さと言うことでしょう。そのような「実践」の現場ではじめて、点と点の知識が結びついて「知恵」に変わるのです。「自覚」がない個人は、追い込まれることがないので、「知識」が「知恵」に変換することなく、「知識」は「知識」のままですから、「実践」には、ちっとも役に立ちません。このような個人のことを、いわゆる「ぶら下がり社員」と呼びます。大企業には、たくさん生息しています。このような「ぶら下がり社員」を「自律社員」に変化させるには、追い込むことしか方法はありません。「自分の給与の出所」を教え、せめて「自分の給与分だけ」でも稼がせるようにするには、それしかありません。別の言い方で言えば、「プロ意識」を植え付けると言うことでしょう。「誰のおかげで飯が食えているのか?」そのことを明確にするところからすべては始まります。

 

個人も組織も、自らの現状とあるべき姿について「自覚」するところから「成長」が始まり、その結果として「自律」を手に入れ、存続し続けることが可能になるのではないでしょうか?ですから、個人と組織の成長を促進し、存続し続けるようにするための経営コンサルティングは、「自覚」を促すところからはじめることになります。しかし、この「自覚」を促すことは、非常に難しいことです。何か問題があって、しかも、その問題を自らの力で解決できないということが明確になった時には、比較的簡単なことですが、当事者は、うまくいっているつもりだが、第3者(=経営コンサルタント)から見た時には、決してうまくいっていないとき、もしくは、未来の失敗が見える時に、「自覚」を促すことは非常に難しいと、日々、実感しています。誰でも、どんな組織でも、「プライド」がありますから。それはわかるが「おまえに言われたくない!」と言いたくなる気持ちは、私も含めて、人間の本音のひとつでしょう。そのように言われないために、まず、お互いの信頼関係を構築する必要があるわけです。ですから、そのような「プライド」を傷つけない形で、上手に問題を自覚させるということ、経営コンサルティングのはじめの一歩はここから始まります。また、自分自身に対しては、自分の耳に痛い話に対して、なるべく積極的な気持ちで臨むこと、または、周囲の人に言ってもらえるような雰囲気創りに努めるようにしています。特にこの年になると、そういうことを言って頂ける人は少なくなるので、大切にしようと思っています。

 

「経営習慣病」

 

すべての経営上の問題は、その「経営習慣」が原因です。生活習慣病の原因が、その患者の生活習慣にあるように、すべての経営上の問題は、その企業の「経営習慣」が原因なのです。経営トップ含めて、社内の人間には、見えない、もしくは、見えにくい、悪い「経営習慣」は、最も身近な第三者にしかわからない場合が多いものです。社内の人間は、悪いことだと思っていない、もしくは、悪いことかもしれないが、たいしたことではないと思っているから、改められることなく「経営習慣」となっているのです。だから、信頼できる第三者を、身近に置いておくことは、このことからも重要です。経営上の問題として、顕在化する前に、つまり、潜在的な問題のうちに問題として「自覚」することは、実は、社内の人間には、非常に難しい。だから、そのような「自覚」を促進してくれる第三者の存在は、非常に貴重なものでしょう。経営上の問題が顕在化してから、つまり、業績が悪くなってからでも、解決策を打つこと墓のですが、出来れば、潜在的な問題のうちに、その問題解決に着手したほうが良いことは、申し上げるまでもないことでしょう。

 

「最も強い組織」

 最も強い組織とは、「良い加減」とか、「ころあい」などの「暗黙知」が、全社員の間に共有出来ている組織です。例えば、トヨタ自動車などは、そのような事例のひとつでしょう。このような組織は、一朝一夕で出来るものではなく、いわゆる「トヨタウェイ」の凄さは、長い時間をかけて、「DNA」を共有している強さであり、凄さなのでしょう。表面的なノウハウや、やり方だけを「サルマネ」しようとする企業は、「浅はか」としかいいようがありません。「DNA」を共有しようとする意志の上に、いわゆる「トヨタウェイ」といわれる具体的なノウハウがあるのです。

 

「ローコストオペレーション・ハイパフォーマンスオペレーション」

 

 ローコストオペレーションとは、単なる「経費削減」ではなく、ハイパフォーマンス(高い顧客満足と、その結果としての売上)に結びつかないお金は1円たりとも使ってはいけないということです。生産性を高めるとは、そういうことです。

 ハイパフォーマンスオペレーションとは、単なる「売上増加」ではなく、使ったお金以上のハイパフォーマンス(高い顧客満足と、その結果としての売上)を確保するということです。消費性を高めるとはそういうことです。

 

「企業のDNAを共有化する」ための会議

 

 企業の経営にとって最も大切な「DNA」を、全社員で共有化させるためには、社員と様々なコミュニケーションを取る必要があります。1対1でなければ伝えられないこともあるでしょうが、最も、効率が良いのが、会議という形式です。目先の情報の共有化のためにだけでなく、「DNA」の共有化のために、会議をもっと活用しましょう。目先の具体的な問題解決の一つ一つが、貴社の「DNA」を創るのです。もちろん、会議だけではダメですが、会議さえやらないのはもっとダメです。



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