週刊「儲け創り」通信

〜創刊78号 2005年2月20日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之


この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足
(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

  


今週の「儲け創り」のヒント

 

売れる商品創りのヒント

顧客価値・欲望=需要に対して、「一連の流れ」を創って対応することがポイントです。全体の設計を明確に創ることが大切なのです。他の「TPO」商品を流用したような商品設計では、絶対に売れません。この「TPO」には、この「TPO」商品というように、明確に対応した商品創りが、今、売れる商品のポイントです。

 あらゆる企業の使命は、「顧客価値の発見、もしくは、その創造」です。そして、その使命の具体である商品を売れるものにしたいのであれば、まずは、消費者の「消費パターン」から発想し、最適販路、最適商品という「需要の一連の流れ(デマンドチェーン)」を組み立てることがポイントになります。消費者が「欲しい!」と思った「その時間、その場所、その場合(=TPO)」に応じて、最適販路、最適商品という「一連の流れ」を創ることが出来れば、売れる商品を創ることが出来るのです。つまり、売れる商品創りは、商品創りの担当者自身が、消費者としてプロになることから始まります。プロの消費者とは、何気ない日常生活の中の「混沌とした欲望(=需要)」を明確にすることが出来る「ロジカルシンキング」能力を持ち合わせている人のことです。つまり、商品の具体化に関する仮説を構築できる力を持っている人のことです。

 

 

 「具体的な商品創り」に関する「仮説構築」において大切なことは、まず、何気ない日常生活の中の「混沌とした欲望(=需要)」を、しっかりと認識することです。わかりやすく言えば、「こんなモノがあればいいなあ・・・」を、しっかりとメモすることということです。24時間、メモ帳を肌身離さず持ち、「神の啓示を待つ」ような心境で毎日を過ごすということです。この「混沌とした欲望(=需要)」を把握し間違えると、そのあとで、いくら頑張っても、論理的に積み上げても、売れる確率はほとんどありません。言わば、戦略の誤りということですから、戦術、戦闘レベルでの頑張りは、ほとんど報われません。この「はじめの一歩」が、売れる商品創りにおいても、極めて重要です。非常に多くの売れない商品は、この段階で「独り善がり」であったり、「マスターベーション」であったりします。つまり、はじめからダメなんですが、当のご本人は、「売りたい!」気持ちばかり大きくなっていて、言わば「メガネが曇っている状態」ですから、何をやっても「売れる本質」は、何も見えていません。少し主観を離れて、つまり、自分が持っている「売りたい!」という欲望を客観視して、日常生活を送ったりすると、見えてくるものなんですが、「欲望ギラギラ!」では、見えるものも見えないということでしょう。論外のパターンとして、商品開発や、商品仕入れの担当であるにも関わらず、日常生活で商品のことを考えていない担当者もいますが、これは、本人の問題と言うよりも、そんなレベルの低い人間を、組織の中で極めて重要な商品仕入れ、または商品開発担当者にしてしまった「人事」に問題があるということでしょう。商品開発、または仕入れ担当者は、「24時間、気持ちはON状態」でなければならないことは、申し上げるまでもないことですから。次に、いよいよ論理的に組み立てていくことになります。その欲望(=需要)が生まれるのは、「どんな時間、どんな場所、どんな場合」なのか?そして、その特定「TPO」の欲望(=需要)を満たすのにふさわしい「販路(提供方法も含めて)」と「商品(包装形状も含めて)」は、どのようなものが良いのか?ということを考えていくことになります。

あらためて『ココロ満足』

 

今、消費者は、「ココロ満足」を求めています。消費に関するあらゆる事象が、そのことを実証しています。「モノ満足」は、求めていません。だから、今や、買『物』(かいもの)ではなく、買『心』(かいこころ)の時代なのです。だから、住宅以外の商品(モノ)は、売れないのです。売れているのは、ココロを満たすための旅行であったり、エンターテイメントであったりするのです。それでも商品(モノ)をお買い上げいただかないと業績が上がらない小売業&製造業は、結果として商品(モノ)をお買い上げいただけるような「ライフソリューション(生活の問題解決)ビジネス」に進化しなければならないのです。それにも関わらず、『馬鹿の一つ覚え』とはよく言ったもので、相変わらず、商品(モノ)の価格の割引=ディスカウントを『売りモノ』にしていて、売れない小売業&製造業。その一方で、パフォーマンスの組み立てを進化させて売れている小売業&製造業。価値の割り増し=プレミアムで、高くても売れる組み立てを創って売れている小売業&製造業。商品(モノ)を買ってストックを増やす消費ではなく、ココロを満たす時間(コト)を買ってフローを高める消費へと消費者が求めるものは、確実に変化しています。サービス業ではない小売業&製造業が出来ることは、ココロを満たす時間を過ごすサポートグッズを製造&販売することで売上を創るしかありません。大型商業施設開発を進めている三井不動産も、ここへ来て、漸く、そのことに気づいたようです。2005年2月1日の流通業者向けのセレモニーのテーマは、なんと「消費スタイルが変わる 「モノ」から「ココロ」へ」だったそうです。今の消費者が、「ココロ」を買いたがっているのだから、「ココロ」を売ればいいだけのこと。「需要」に対応すれば良いだけのこと。価格を割り引いて、安く売ることは、誰にも求められていないのだから、つまり、需要がないのだから、そんなことに対応しても売れないのは当たり前のこと。

 

 

(マニュアル)だけは×、形(マニュアル)からは○

 

 形(マニュアル)だけ、出来るようになればいいということではありません。なぜなら、形(マニュアル)には、出来るようになって欲しい最低限のことしか書いていないからです。だから、社会人として、プロとして、企業で働くすべての人には、形(マニュアル)には、具体的に書かれていない、その先にある抽象的な本質を理解し、実践できるレベルを目指して欲しいのです。例えば、具体的な、実践して欲しい最低限のことが書かれた「接客マニュアル」をマスターすることは、もちろん、重要です。しかし、その先にある抽象的な本質である「おもてなしの心」を理解し、実践できるレベルを目指して欲しいのです。あらゆる企業において、厳しい企業間競争を勝ち抜くための決め手が、その企業に所属する人「財」であるという時代になってきました。単なる社員が、人「財」となるためには、まず、形(マニュアル)を守り(=マスターし)、そして、それを破り、離れるようなイメージで、形(マニュアル)を自分のものとして、臨機応変に使いこなせるようにすることが大切です。これが、いわゆる「守→破→離」ということです。ですから、「形だけは×、形からは○」です。別な言葉でいえば、「マニュアルは、使われるものではなく、使うもの、使いこなすもの」です。是非、使いこなして欲しいと思います。



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