週刊「儲け創り」通信

〜創刊80&81号 2005年3月6&13日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之


この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足
(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

  

 


今週の「儲け創り」のヒント

 

「売れる商品・サービス、成功するビジネスのポイント」

 

 優秀な「製造業の商品開発担当者、卸売業・小売業の商品仕入担当者、そして、経営者」が、共通して持っている、売れる商品・サービス、成功するビジネスのポイントのひとつは、常に買い手の立場で、商品・サービスを見ることが出来るという点です。

まずは、「常に」がポイントです。商品開発や、商品仕入に関する打ち合わせをしていると、いつのまにか、売り手の立場になって話をしている商品開発担当者、商品仕入担当者が非常に多いと、日々、コンサルティングの現場で感じています。誰もが知っている「買い手の立場(=顧客の立場)」主義を、常に、貫き通すことは、非常に難しいようです。買い手の立場からすれば、こういう風にしたほうがいいのだけれど、そうは言っても、いざ、本当に開発する、改善するとなると、いろいろと問題があって・・・と、「出来ない理由探し」をつい始めてしまうものです。「出来る理由創り」をし始める人は、とても少ないと思います。徹頭徹尾、買い手の立場に立ち続けること。誰もが知っている、単純なことですが、「常に」といった瞬間に非常に困難がつきまとうことになります。しかし、売れる商品・サービスを開発、仕入したければ、それ以外に方法はありません。買い手が望むことを、例え、どんなに困難があろうとも、ひたすら愚直に叶え続けること。それが、ビジネスの成功の第一歩です。単純ですが、難しいことです。出来ない人を出来るようにするのは、出来る人が、「常に」言い続けるより他に方法はありません。本当に、人を育てると言うのは、「テマヒマ」がかかるものです。

次に、「買い手の立場」です。私には、中小製造業の販路開拓のコンサルティングをさせて頂く機会が多くあります。販路開拓の場合、初めてお会いした時、当然、まずは、販路開拓をしようとしている商品のお話を聞かせていただきます。中小製造業の経営者からすれば、当然、自慢の商品ですから、語り始めると、1時間でも、2時間でも足りないくらいの強い思い入れがあります。なぜ、売れないのか、思うように販路開拓が出来ないのかわからないと言った口ぶりです。しかし、私は、ほとんど一瞬で、売れるか、売れないか、そこそこ売れるかが判断できます。これまで数多くの商品の成功事例、失敗事例を見てきた経験則があるからです。この経験則は、私が、これまで知り合った非常に優秀な経営者の方々の経験則ともほとんど同じものなので、かなり、普遍的な「成功商品&サービス=成功ビジネスに関わる経験則」であると自負しています。では、それは何か?それが、「買い手の立場」です。抽象的過ぎて、今ひとつピンと来ない方もいることでしょう。また、そんなことは、知っているけど、具体的に実践出来ないから困っていると言う方もいることでしょう。そこで、もう少し、具体的に申し上げれば、「買い手の生活様式から考えて、「誰が、いつ(時間Time)、どこで(場所Place)、どのように(場合Occasion)」その商品・サービスを消費するのかが、すぐにわかる商品ほど売れる可能性が高いということ。」です。別な言い方をすれば、「消費の仮説(誰が、いつ、どこで、どのように)が、明確に立てられる商品ほど売れる可能性が高いということ」です。その視点から考えますと、販路開拓のご相談に来られる商品&サービスのほとんどは、「売り手の立場」しか考えられていない商品です。厳しい言い方をすれば、「自己満足」商品です。売り手の「自己満足」商品を、なぜ、買い手が、大事なお金を払ってまで、買わなくてはいけないのか?と聞きたくなるような商品がほとんどです。つまり、販路開拓以前に、商品開発の段階から、間違っている場合がほとんどなのです。当たり前の話のようですが、「買い手に何らかの満足を提供する商品&サービスが提供出来て、初めて、お金が頂けるのであって、売り手の「自己満足」商品でお金を頂こうなんて・・・」と思うような商品&サービスがほとんどです。つまり、ビジネスの基本的な設計段階から間違っている場合がほとんどなのです。ですから、その場合、コンサルティングを受けるとしても、販路開拓のコンサルティングではなく、ビジネスに対する基本的な認識に関するコンサルティングから始めることになります。「大規模小売業のバイヤーは、話もロクに聞いてくれない。」と言った声を聞くことも多いのですが、それは、もちろん、中には、怠け者のバイヤーもいるとは思いますが、基本的に、どんな企業のバイヤーも売れる商品を探すのが仕事ですから、話しもロクに聞いてくれないという場合、実は、「自己満足」商品の説明を延々と聞かされるのは、たまらないと言うことなのです。ですから、多くの中小製造業の販路開拓の問題というのは、実は、ほとんどは、その商品開発の設計段階の問題、もっと言えば、ビジネスに関する認識レベルから改善する必要があると言う問題の場合がほとんどです。繰り返しになりますが、「ビジネスとは、買い手の満足を創り出す事。」です。決して、「売り手の自己満足を売りつけることではありません。」

 是非、「常に」「買い手の立場で」商品・サービスを見て、成功商品・サービスを創り続けてください。

 

「メタ認知」

 

「メタ認知」とは、「自分の行動を客観的に観て、修正する行為」を表す心理学の言葉です。「人間の思考パターンなどを研究する認知心理学で用いられる概念」です。「メタ(高次)のレベルから自らの認知や思考のパターンを、モニターして修正すること」を意味します。頭の中にもう1人の自分がいるような感覚のことです。例えば、「この問題は自分では解けそうもない。」と言うのは、自分の能力についての認知です。「この人の電話番号は知らない。」と言うのは、自分の持っている知識についての認知です。「こうすればうまくいくはずだ」と言うのは、自分の頭の働かせ方についての認知です。

なぜ、このような心理学の用語を説明するかと言いますと、実は、この「メタ認知」の能力が、ビジネスを成功させる上で、非常に重要だからです。「メタ認知」、言い方を変えれば、「客観」「自己相対化」などの行動を取れるかどうかが、今、市場で最も求められる「ソリューション(問題解決)能力」に、実は、最も欠かせない能力のひとつだからです。前段の「売れる商品・サービス、成功するビジネスのポイント」でも申し上げましたが、「売り手の立場」に埋没することなく、「買い手の立場」でモノゴトを考えることができるということも、「メタ認知」能力があると言うことでしょう。そして、「メタ認知」「客観」「自己相対化」が出来ることは、プロフェッショナル思考である「自律」に欠かせない能力のひとつでもあります。自己を相対化できないと、正しい検証行為が行えないので、より精度の高い軌道修正が出来ないと言うことになります。それでは、「自律」しているとは、到底、いえません。ですから、「メタ認知」能力は、プロフェッショナル思考に必須の能力であると言えます。

 

「経営コンサルタント・望月隆之の立場・役割」

 

 経営コンサルタント・望月隆之の立場・役割は、経営の実践者である経営者のサポーターです。それは、無駄の少ない(=精度の高い)「試行錯誤(プランドゥシー)」をして頂くための、つまり、「理論的な実践」を行っていただくためのアドバイザーであると言うことです。理論のための理論は、空虚なものですが、実践のための実践では、無駄が多すぎます。過去の経験則や、様々な知識を、経営者が日々直面している経営の現場の実践に役に立つようにアレンジして、「知恵」に変えて、「翻訳」して、しかも、個別の経営者にわかりやすいようにお伝えすることが経営コンサルタント・望月隆之の立場であり、役割です。

 また、当然、自社の経営しか知らない経営者と違い、他社の事例を数多く知っている経営コンサルタントのアドバイスは、様々な実践(成功&失敗)事例の中から把握した「理論的な実践」を行うためのアドバイスなので、経営者の方が、自社を「メタ認知」することに加えて、より効果的なものに出来ると思います。

 さまざまな他社の(成功&失敗)事例を把握し、自社に合うように「翻訳=知恵化」し、お伝えする経営コンサルタントは、言わば、「情報商社」のようでもあります。単純に、右から左へ流すのでは単なるブローカーですが、「情報商社」として、情報の加工(知恵化)と、カスタマイズ(自社化)を徹底して行うことで、存在価値が生まれてきます。ですから、経営コンサルタントの価値は、情報の加工度(知恵化)と、カスタマイズ(自社化)で問われるのだと思います。望月の「知恵化」と「自社化」のレベルは、いかがでしょうか?



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