週刊「儲け創り」通信

〜創刊84号 2005年4月3日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之


この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足
(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

 


今週の「儲け創り」のヒント

 

「『組織化』教育の進め方・プロセスの基本」

 

 経営(=マネジメント)のふたつの柱である「マーケティング(=市場創り)」「オーガナイゼーション(=組織創り)」のうち、「オーガナイゼーション」とは、自社(=創業経営者)の経営理念(=人生哲学)に基づいて、その経営理念の実践者として、または、実践者集団の一員として、社員を教育していくということです。その際の進め方としては、経営理念は、あくまで、抽象的なものですから、まずは、具体的な日々に業務の遂行の中で、具体的な事例を通して教育していくこと(=OJT)になります。例えば、「朝の挨拶」の教育で言えば、最終的に、「朝の挨拶」の本質的な意味をよく理解したうえで、顕在的な動きも美しく出来れば、一人前、完成と言えます。そこに至るプロセスとしては、「まず、@一人前、完成された人の動き、形式を真似る。次に、Aそれを繰り返す中で、その本質的な意味を理解する。最後に、B本質的な意味を理解したうえで、顕在的な動きを行うことにより、@の段階とは比べものにならないくらい美しい「朝の挨拶」が出来るようになる。」と言うことになります。

 

 

  

上記のようなプロセスを経ることで、一人前になって行くことが出来ます。その際、最重要ポイントは、もちろん、「A実質を学ぶ。」ということです。「形を創って魂を入れる。」と言う言い方で言えば、「魂」が一番大切であることは申し上げるまでもないでしょう。しかし、ともすると、「魂」が一番大切であることを強調するあまり、「形」を、必要以上に軽視してしまうことも多いようです。日本人の「マニュアル嫌い」は、この象徴的な事例です。最終的には、「魂」が最も大切ですが、一人前になるプロセスの「はじめの一歩」における「形」の重要性を、必要以上に軽視しては、教育が成立しません。「混沌」状態にある人間を教育する「はじめの一歩」は、「形」からです。「形式を真似る。」ところから、すべては始まるのです。もちろん、「形式」だけ出来れば良いと言うものではないことも、申し上げるまでもないでしょう。


「『再建に必要な合理化と社員のモチベーションの維持の両立』を、不可能だといってあきらめるのではなく、どうすればどちらとも犠牲にすることなく実現できるかを考えるのが、真の経営者です。(日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)カルロス・ゴーン氏 日経ビジネス 2005年4月4日号 P50より)

 私が尊敬する経営者の一人であるカルロス・ゴーン氏が、「真の経営者」について、上記のように語っています。上記に続けて、カルロス・ゴーン氏は言います。「経営というのは科学ではなく、職人芸なのです。職人は、矛盾したふたつの要素を融合するのが仕事です。・・・・・経営も同じで、いかにして矛盾を実現するかです。大切なのは、ストーリーを作り出すことです。

 

実は、私も、かつて、下記のような「儲け創り」通信を、皆様にお届けしました。(詳しくは、該当号をご覧下さい。)

 


創刊60号 2004年10月3日&10日

株式公開レベルの企業経営における『実質』創りA&B

「トレードオフ(二律背反・ジレンマ)」@&A

を、両立させる、解決する、または、

自分と仕事の間に、自分と他人に間に、自分と会社に間に、

自分を取り巻くすべての環境との間に、「Win−Win」の関係を創るのが、

ビジネスの本質であり、

プロフェッショナルの仕事と呼ぶにふさわしい仕事

 

 

私の場合、「賞与を頂く社員たるもの、かくあるべし」と言うことで、上記の文章を書いたので、ある意味、社員に対しては、カルロス・ゴーン氏より、厳しい考えの持ち主ですが()。もちろん、経営者と社員では、解決する矛盾=問題の質や量が桁違いですが。

 つまり、ここでお伝えしたいのは、矛盾を矛盾として、そのままでおくのであれば、プロフェッショナルとは呼べないということです。矛盾を解決することがビジネスですから。そして、経営者の方から創り上げた「社員との信用」を土台にして、矛盾の解決方法と、解決した結果得られるものを「ストーリー」として、社員に対して示すことが、経営者として大切であるとカルロス・ゴーン氏は考えているのだと思います。「構想力」「実践力」と言う経営者にとって大切なふたつの力のうちのはじめのひとつをカルロス・ゴーン氏は、「ストーリー」と表現しているのだと思います。どちらかかけても経営者としては失格で、両方ともに持ち合わせているのが真の経営者と言うことでしょう。成功した経営者が語ることは、やはり、説得力が違いますね。



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