週刊「儲け創り」通信
〜創刊86号 2005年4月17日〜
発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部
チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之
この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。
今週の「儲け創り」のヒント
「商品開発の大昔、昔、今」
エクセレントカンパニーの代表で、私が最も尊敬する経営者の1人である鈴木敏文氏が会長を務めるイトーヨーカ堂の2005年2月期の下期の営業利益が、実質ゼロにまで落ち込んでしまいました。鈴木さんの分析では、「スーパーのDNA」を敗因とし、その対策のひとつとして、元伊勢丹のカリスマバイヤーの藤巻氏を、別組織で採用し、改革に着手したようです。「スーパーのDNA」とは、私がお奨めしている「プレミアム」と対極の考え方である「ディスカウント」のことで、既に何度もご説明してきていますが、スーパー業界だけではなく、生活関連ビジネスのすべての業界で共通している考え方なので、あらためて、ご説明させていただきます。
古き良き時代。衣食住のすべての商品が不足をしていた時代。言わば、腹が空いている状態だから、食えるものであれば、着られるものであれば、住めるものであれば、何でもいいという時代。モノ的には貧しいが、ココロ的な問題が顕在化していない古き良き時代。消費者が求めているものなど考える必要がない古き良き時代。肉体労働だけで、仕事が出来た時代。真面目であれば、成功出来た時代。マーケティングなど必要のない時代。
マーケティングの定義の第1段階。そろそろ供給過多になりつつある時。いかにして、製造してしまった商品を、消費者に押し込むかと言うノウハウを指してマーケティングと呼んでいた時代。プッシュ営業。プロダクトアウト。「安きゃ売れる!」
マーケティングの定義の第2段階。存在しない市場を創るという「市場創り」がマーケティングの定義となりました。そんな市場環境の中で、商品開発の仮説構築力では、専門店百貨店に負けるし、大量生産&販売に関する仮説構築力では、ユニクロや百円ショップに勝てない。つまり、スーパーの立場がない、市場がない以上、営業利益が出ないのは、当たり前。元イトー○ーカ堂のバイヤーという肩書きで仕事をしている人のほとんどは、「サルマネMD」しか出来ません。元ダ○エーのバイヤーという肩書きで仕事をしている人のほとんどは、「恫喝(リベート持って来い!)MD」しか出来ません。つまり、「生活者の混沌とした潜在ニーズ」から「商品開発」をするという(バイヤーであれば、当然、持ち合わせているはずの)仮説構築力など持っているはずがないバイヤーのDNAのことを「スーパーのDNA」と言うのです。彼らの口癖は、「昔は良かった!何も考えないでも、飯が食えたから。安くすれば、売れたから。」「サルマネ」や「恫喝」で飯が食えたから。「サルマネ」思考回路しか持ち合わせていないバイヤーを、藤巻氏は変えることが出来るのでしょうか?「恫喝」思考回路しか持ち合わせていないバイヤーを、あの人とあの人は変えることが出来るのでしょうか?私には、到底、出来そうにありませんが、藤巻氏や、あの人やあの人には出来そうな気がします。ただし、イトーヨーカ堂にしても、まだまだ営業利益ゼロレベルですし、ダイエーにしても倒産してしまったわけではないので、おそらくは、決定的な自覚を持ち合わせていないバイヤーの意識を変えるのは並大抵のことではないでしょう。決定的な自覚のない人たちのDNAを変える戦いですから、本当に大変なことだと思います。新社会人をゼロから教育するほうが、まだ、簡単です。いや、比較にならないほど簡単でしょう。今では全く使えない成功体験を持ち、しかも、決定的な自覚のない40歳以上の人を変えることは、基本的には、不可能だと思いますから。しかし、彼らなら、やってくれそうな気がします。3人とも、モチベーションアップの達人ですから。期待したいと思います。
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