週刊「儲け創り」通信
〜創刊91号 2005年5月22日〜
発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部
チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之
この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。
今週の「儲け創り」のヒント
「売上(の最大化)−経費(の最小化)=利益(の最大化)」
「経営の原則は、売上を最大にし、経費を最小にすること。」
「事業により得られる利益は、額に汗して努力した人間の知恵と労働の結晶です。」
「高収益をあげるには・・・とにかく売上を最大にし、経費を最小にするための創意工夫を徹底的に行うことです。」
「商売の秘訣は、お客様が納得して、喜んで買ってくださる最高の値段を見抜き、その値段で売ることです。値決めは事業の使命を決する重大な判断であり、最終的には経営者が決断すべきである。(値決めは経営)」
(稲盛和夫著「高収益企業のつくり方(日本経済新聞社)」より)
売上の最大化のためには、販売価格の決め方がポイントです。顧客価値があるものを提供できれば、販売価格の決定権は、売り手にあり、売り手市場になります。顧客価値がないものしか提供できなければ、販売価格の決定権は、買い手にあり、買い手市場になります。
つまり、顧客との関係においては、「高くてもお買い上げ頂ける顧客価値を創造すること」が、企業活動の基本です。
よくある基本的な考え方の間違いとしては、販売価格と原価を相関させてしまうことです。販売価格と原価の間には、全く、相関関係はありません。相関させる必要もありません。顧客価値が1万円であれば、原価に関わらず、1万で売ればよいのです。その原価が1000円であれば、粗利益率90%という非常に利益率の高い=たくさん頭の汗をかいた良いビジネスであるといえるでしょう。その逆に、原価が1万円であっても、顧客価値が1000円しかなければ、1000円でしか販売できません。逆ざや、赤字ですから、頭の汗をもっとかきましょうということですね。
簡単なことのようですが、このビジネスの基本を知っている経営者は、実は、とても少ないのです。成功できない、赤字企業の経営者のほとんどは、販売価格と原価を相関させたがります。つまり、「儲け=付加価値の本質」を知らずに経営を行っているのですから、アイマスクをして車の運転をしているようなものです。必ず、事故を起こします。つまり、必ず、赤字経営です。
経費の最小化のためには、あらゆる生産性、特に労働生産性を向上させることです。つまり、社員との関係においては、社員教育の徹底=業務改革の徹底がポイントになります。もちろん、それ以外にも、例えば、外に出すお金は、「死に金」にしてはいけないということもあります。その逆に、売上の最大化につながる「生き金」であれば、どんどん使いましょうということもあります。
利益の最大化のためには、上記のような「売上の最大化」と「経費の最小化」を徹底し続ければ、その結果として、必ず、ついてきます。ただし、徹底的にやり続けることがポイントです。企業規模が大きくなると、知識としては知っていても、愚直に、徹底してやり続けることをしない頭でっかちな社員が増えてくるものです。多少知識不足でも、実践し続ければ、成果は上がりますが、多くの知識があっても、ほとんど実践しなければ、成果は上がりません。当然のことながら。しかし、業績の悪い大企業は、ほとんどこのパターンです。
「経営「道」と経営「術」の違い」
「清く正しく美しく」もしくは、「世のため、人のため、自分のため」に儲けるのが経営「道」であり、「とにかく儲かりさえすれば良い」のが経営「術」。わかりやすい事例としては、あのホリエモンは、自ら公言しているように、「カネだけがすべて」と考えているので、経営「術」の「単なる畜生経営者」。ちなみに日枝フジテレビ会長は、「単なるマヌケ経営者」。つまり「ニッポン放送問題」は、「畜生経営者」と「単なるマヌケ経営者」の問題だったということですね。
世界に誇るべき日本的経営とは、経営「道」のことであり、常に、「清く正しく美しく」もしくは、「世のため、人のため、自分のため」に儲けることを実践している経営のことを指します。JR西日本問題に関連して、「民営化=株式会社化=利益追求が原因」という意見がありますが、この意見は、非常に浅薄であると言わざるを得ないでしょう。問題の本質は、経営「術」思考の経営者(井手顧問!)のレベルの低さにあるのであって、民営化や株式会社と言った組織体制にあるわけではありません。当然のことながら、株式会社のすべてが悪いわけではないですから。経営の実態を知らない社会部あたりの記者がこのような浅薄な意見を言うのはまだしも、自らが株式会社アシスト(http://www.ashisuto.co.jp/)の経営者であるビルトッテン氏が、「民営化=株式会社化=利益追求が原因」との意見であるのには、空いた口が塞がりませんでした。皆さん、自らも株式会社のひとつである株式会社アシストは、株式会社であるがゆえに、利益追求のために品質(=JR西日本における安全)を犠牲にすると社長自らが公言しています。さぞかし、バグばかりのパッケージソフトウェアなのでしょう。絶対に買わないほうが良いですね。
「虚、または、心理価値(=情報)の消費が中心の時代A」
日経ビジネス2005、5、9「進化するクチコミ」によれば、1973年の発売以来「ポッキー」の後塵を拝してきた「キットカット」が、「きっとカットできっと勝つ」の「語呂合わせクチコミ」という情報付加価値により、昨年の第1四半期、初めて、シェアで「ポッキー」を上回ったそうです。
日本経済新聞5月21日(夕刊)「NIPPONのカタチ」によれば、キリンビバレッジの「FIREホワイトコーヒー」は、飲料の基本的な価値である味覚の点で「美味しい」のはもちろんのこと、パッケージデザインの斬新さという心理付加価値で、シェア5位から4位に、ひとつ、ランクがあがったそうです。
食べ物、飲み物ですから、まずいのでは、話しになりませんが、うまいだけではダメだということですね。いや、むしろ、購買のポイントは、情報付加価値や、心理付加価値というココロ満足系にあったことがポイントです。
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