週刊「儲け創り」通信

〜創刊93号 2005年6月5日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之


この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足
(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 


今週の「儲け創り」のヒント

 

「バイヤーズマニュアル」

 

バイイングは、分類に始まって、分類に終わる。

 

 最近では、元・伊勢丹カリスマバイヤーの藤巻氏の活躍などで、脚光を浴びている百貨店・伊勢丹のバイイング。数ある百貨店の中でもそのバイイング力は、ずば抜けており、小売業の中でも最高峰といっても過言ではないでしょう。そのバイイングを支える伊勢丹の「バイイングマニュアル」の最初の頁には、「バイイングは、分類に始まって、分類に終わる。」と書かれているそうです。つまり、バイイングにとって、最も大切なのは、分類であるということです。「商品の括り、ジャンル」といってもよいでしょう。まず、@顧客のニーズ(=顧客価値)のありかを探し、明確にする。次に、Aその顧客のニーズ(=顧客価値)に対応した商品を創るか、探して来る。というバイイング(=ビジネス)の本質から考えれば、実は、当然のことです。顧客のニーズ(=顧客価値)を、どのような括り、分類、ジャンルにするかの時点で、バイイング(=ビジネス)の成功、失敗の勝負は決まるからです。分類の設定の仕方を間違えると、つまり、顧客のニーズ(=顧客価値)の塊である分類の設定の仕方を間違えると言うことは、その後の努力の大半は、徒労に終わることを意味するからです。小売店のバイヤーが、「顧客の購買代理」である以上(そうでなければ、成功できませんが)、顧客のニーズ(=顧客価値)の塊の設定が、最重要であることは、申し上げるまでもないことですね。新米バイヤーや、手抜きバイヤーが一番陥りやすい罠は、日常的に一番接することの多いメーカーや卸の営業代理となってしまうことです。ひどい場合は、メーカーや卸の営業の使いっパシリバイヤーなんていうのもいますが、大切なのは、顧客の購買代理という認識を常に持ち続けて、「高くてもお買い上げ頂ける商品」を創り、探してくるということです。そのはじめの一歩としての「分類」。そして、「分類」が顧客のニーズ(=顧客価値)の塊である以上、それは、常に変化します。「分類」の設定が10年変わっていないような小売業では話しになりません。これだけ早いスピードで、顧客の生活様式が変化しているわけですから、昨日まで繁盛していた「分類」が、今日は、全く繁盛していないとか、その逆に、今日は、見向きもされない「分類」が、明日の繁盛「分類」になっていることも、当然、あります。ひとつひとつの商品、そして、その塊である「分類」。顧客ニーズ(=顧客価値)の変化に対応して、常に変化させつづけなくてはなりません。

 

 

 

「顧客満足↑、社員満足↑、会社満足(=株主満足)↑」

 

 顧客がどれだけ満足できたのかを示す指標のひとつが売上です。そして、社員がどれだけ満足できているのかを示す指標のひとつが、1人当り人件費の上昇でしょう。会社や、株主の満足の度合いは、営業利益や、経常利益で示すことが出来ます。経営者の仕事は、すべての利害関係者に対して満足を提供することにあるわけですから、売上を上げ、1人当り人件費を上げて、営業利益、経常利益を上げ続けることが経営者の評価のポイントになりますね。

 

   

 

「粗利益率90%超でも、

喜んでお買い上げ頂けるバッグを創ろう!」

 

 いわゆる「ブランド」モノのバッグの粗利益率は、90%超です。それでも、喜んでお買い上げいただけます。なぜ、粗利益率90%超でも喜んでお買い上げいただけるのかを考えることが、2005年現在の日本で、ビジネスにおける成功を収めるために必要なポイントです。その逆に、粗利益率20%をきっていても、全く売れないバッグもたくさん存在します。その理由もあわせてお考えいただければ、顧客が何を求めていて、何に対してなら、お金を払っても良いと考えるのかが理解できます。そうすれば、ビジネス的な成功、間違い無しです。ヒントは、「情報価値」。思わず買いたくなるようなストーリー(=情報価値)が付加されていれば、粗利益率90%超でも、喜んでお買い上げいただけます。ブランド物のバッグばかりでなく、もっと日常的な商品、例えば、ペットボトル飲料でも同様です。「サントリーの伊右衛門」は、新茶が出回るこの季節に合わせて、「伊右衛門の新茶 季節限定」のタグをつけて、つまり、「情報価値」を付加して、顧客のココロをくすぐります。東京の高級スーパー「成城石井」の大ヒット納豆は、「山形県 まほろばの里たかはた 秘伝納豆」と言うネーミングです。もちろん、まずいのでは、話しになりません。本当に美味しいことは、大前提ですが、美味しいだけでは、大ヒット商品には、なれません。この納豆、ネーミングの凄さに続いて、サブコピーも凄いのでご紹介しておきます。「自然あふれる高畠町で丹精こめて育てられた秘伝豆から枝豆の爽やかな風味を残しつつコクのある旨みを充分に引き出した納豆です。」このような、ネーミング、そして、サブコピーが、手書き風の文字で印刷されています。いかがでしょうか?思わず、食べてみたくなりませんか?50g×2個で、なんと250円!納豆としては、高い!けど、価値との関係で言えば、納得価格と言ったところでしょうか?飛ぶように売れています。これが売れているという事実から、現在の顧客のニーズ(=顧客価値)を考えれば、それが、「情報価値」であることは、理解しやすいと思います。ただし、本当においしいというのは、大前提の話です。



   トップへ戻る       バックナンバーへ戻る