週刊「儲け創り」通信

〜創刊94号 2005年6月12日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に、【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

 


今週の「儲け創り」のヒント

 

「具体の抽象化(帰納、ルール化)

抽象の具体化(演繹、ルールの適用化)

を自由自在に、行ったり来たり出来るようになれば、

失敗の確率は下がり、成功の確率は飛躍的に上がる。

 

経営者はもちろん、役員、幹部には、必須の能力。

「具体の抽象化」が出来ないと、

「行き当たりばったり・出たとこ勝負経営」になり、

着実に成長することは出来ない。

「抽象の具体化」が出来ないと、

「曖昧な指示・精神論だけ経営」になり、

社員を納得させられないので、動かせない。

だから、社員を成長させる教育が出来ない。

もちろん、そんな経営者、幹部は、経営者失格、幹部失格です。

 

 例えば、バイヤー職の場合。ヒット商品を企画しようと日々努力をしていると、商品の中に、こういう要素が含まれていればヒットするとか、こういう要素が含まれているとヒットしないとか、が見えてきます。それが具体の抽象化(ルール化)です。

 次に、そのように抽象化(ルール化)されたものを、具体化(ルールの適用化)し、ヒット商品を企画します。これが、抽象の具体化(ルールの適用化)です。

ところで、この抽象の具体化(ルールの適用化)ができなければ、現実は、何も変わりませんので、具体の抽象化(ルール化)の意味がありません。ルールのためのルールでは意味がありません。ルールを現実に当てはめることにより、現実を変えるのです。現実を成功に導くのです。それが意味のあるルール化であり、意味あるルールの適用化です。

 


抽象の具体化といえば、次頁のようなことも抽象の具体化の事例になります。

 

  

「経営理念の使い方

経営理念とは、飾っておくものではなく、使いこなすものである。

 

経営理念という「抽象」を、日々の現場という「具体」に落とし込み続けることは、

経営者、経営幹部の非常に大切な役割のひとつである。

 

 我々船井総研の経営コンサルタントは、経営者の方々に、日々、経営支援の現場で、経営理念の大切さをお話しています。しかし、これは、何も、カッコをつけるために、お話しているのではありません。二人以上の人間が集まれば、それまでの過去が、全く違うわけですから、同じような価値観を持っているわけがありません。しかし、なるべく、できることなら、まったく、同じ価値観を持つことが「強い組織」になるために必要で、そのために経営理念が大切であると申し上げているわけです。目的は、強い組織を創ることです。その手段としての経営理念の大切さをお話しているのです。人間が二人以上集まって何かをしようとするための「組織」にとって、価値観の共有ほど大切なことはないからです。しかし、せっかく、多くの人がそこに集まれるような素晴らしい経営理念が出来ても、「神棚」に飾っておくだけでは意味がありません。日々の経営の実践の現場で使いこなさなくては、経営理念が単なる絵空事になってしまうからです。日々の実践の現場で使いこなしてこそ、素晴らしい経営理念が活きてくるのです。ですから、経営者、並びに経営幹部の皆さんは、日々の経営の実践の現場で、「経営理念の具体化」を、機会あるごとに、一般社員に語り続けなければならないのです。たとえば、ひとつの経営判断をしたときに、なぜ、そういう判断をしたのかを経営理念との関係で語ることが大切なのです。そういう日々の実践の現場で使いこなしてこその経営理念なのです。創業経営者は、もちろん、大丈夫でしょうが、それに続くはずの経営幹部の方々がどれだけ実践し続けられているかで、企業のランクが問われるのだと思います。貴社は、大丈夫でしょうか?

 

 

 

さらに、抽象の具体化といえば、次頁のようなことも抽象の具体化の事例になります。

 

 

「生命とは、80年の時間である。」

 

ひとりの人間にとって、

生命とは、(具体的に言えば)80年の時間である。

 

 私事で恐縮ですが、中学2年の長女がいます。中学に入ってから、毎月決まった金額のお小遣いを上げることにしています。お金の使い方を覚えて貰うためです。その際に、ただ渡すだけでは、面白くないと思い、毎回、彼女へのメッセージを添えて渡すことにしています。今月のメッセージのテーマが、「生命とは、80年の時間である。」でした。

「生命とは、時間である。ひとりの人間にとって、生命とは、(具体的に言えば)80年の時間である。もちろん、もっと短い人もいますし、もっと長い人もいます。大切なのは、生命が、たった80年の時間だとすれば、例え1秒たりとも、無駄には出来ないということを理解することです。例え1秒でも時間を無駄にするということは、生命を無駄にするということに等しいことだからです。大切なのは、自分に与えられた80年という時間をできるだけ素敵な時間で埋めていきたいと思うことです。行動することです。このことが理解できれば「暇つぶし」なんていう言葉は、使えなくなります。「暇つぶし」は、パパ(私のことです!(笑))の一番嫌いな言葉のひとつです。そして、このことが理解できれば、当然、他人の時間も大切にしなくてはいけません。例えば、約束の時間に遅れることは、相手の時間=生命を奪うことになるから、極力、避けなくてはいけないのです。○○チャン(長女の名前)、なるべく、素敵な時間で埋められるように、頑張ってくださいね。」

 生命を大切にする、時間を大切にするというような、ともすると抽象的で、実感が持ちにくいことが、こういう表現であれば、毎日の具体に飛び込んできますよね。リアルに感じることが出来るはずです。毎日、毎日、丁寧に、大切に生きようと思ってくれるのではないでしょうか?そして、自分の命=自分の時間、他者の命=他者の時間を大切にしようと思ってくれるのではないでしょうか?



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