週刊「儲け創り」通信

〜創刊97号&98号 2005年7月3日&10日〜

発信人 株式会社 船井総合研究所 第六経営支援部 

チーフ 経営コンサルタント(儲け創り人)望月 隆之

この週刊「儲け創り」通信は、船井総合研究所の望月隆之が、経営者、ならびに経営幹部の皆様に【高い顧客価値&満足(の創造)⇒高い粗利益(の創造)⇒高い社員価値&満足(の創造)】⇒高い企業価値&満足(の創造)⇒高い投資家価値&満足(の創造)という「善循環」をまわし続けるためのヒント・コツ・秘訣・勘所・ポイント・要点・本質をお伝えしていくものです。

 

 


今週の「儲け創り」のヒント

 

「0→1ゼロイチ(無から有を創る)経営者&経営幹部と

1→10イチジュウ(少有から多有に増やす)経営者&経営幹部

 

 企業の成長段階別に、「ゼロという無からイチという有を創ること」が得意な「業」経営者と、「イチという少有をジュウという多有に増やすこと」が得意な「業」(→「業」「業」)経営者が存在すると思います。

「起業」経営者は、経営(=マネジメント)の中で、当然のことながら、「量的拡大」を重視します。経営規模における絶対規模を、まず、確保しなければ、すぐに、消滅してしまうからです。「伸ばす」を重視します。マーケティング(=市場化)戦略を最優先し、ひたすら売上を追いかけます。

 「承業」経営者は、「質的向上」を重視します。更なる拡大のために「整える」を重視します。オーガナイジング(=組織化)戦略を重視し、ひたすら利益を追いかけます。あらゆる生産性の向上で、利益を拡大させます。

 「起業」経営者の中には、二通りのタイプが存在します。最も得意な「起業」を繰り返すタイプと、「承業」経営者になっていくタイプです。

 「起業」を繰り返すタイプは、優秀な「承業」経営者に、どんどんバトンタッチをしていけばよいと思います。また、「承業」経営者になっていくタイプは、成長段階の違いを認識し、貪欲に新しい知識を吸収して、オーガナイジング(=組織化)戦略を、構築し、実践されていけばよろしいかと思います。

 すべての経営者は、基本的には、非常に優秀なので、どちらのタイプもこなすことが出来ますし、問題はないのですが、経営幹部となると、なかなかそうは行かないようです。

 「起業」経営者を支えてきた「起業」経営幹部の中には、企業の成長段階における違いを認識できずに、もしくは、認識できても、そのステージで求められるオーガナイジング(=組織化)戦略を理解できず、もしくは、理解できても、実践できない方が多いようです。

 そのときに経営者が取るべき道は、二つに一つ、ひとつは、「企業の成長を優先し、そのステージにふさわしい人材を、新規に採用し、活用していく」か、もうひとつは、「既存の人材の成長を優先し、多少、企業の成長が遅くなっても、あくまでも既存の人材を教育し、活用していく」というものです。ここは、まさに、経営者の経営哲学が問われるところです。実際には、企業の成長を優先される事例が多いようです。代表的には、ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井さんが、あげられるでしょう。柳井さんの後任の社長は、東証1部に上場してから、ヘッドハンティングしてきて、入社2年目の方でした。実質的な起業以来の最古参の幹部は、東証1部上場時までは、平の取締役として存在されていたようですが、後からゾクゾクと入社してくる「承業」経営幹部についていけずに、常任監査役になられたようです。

 「起業」幹部が、「承業」幹部となっていくのは、実際には、なかなか難しいようです。基本的には、非常に優秀な「起業」経営者でさえ、「承業」経営者になっていくのは難しいのですから、「起業」幹部となると、なおさら、非常に難しいようです。

 

 

 

「明確な目標設定」と「進捗管理の徹底」が、

「自分の頭で考え、動く=自律人「財」を創る」

 

 「うちの社員は、自分の頭で考えない、動かない」とか、「うちの社員は、創意工夫がない」と言う経営者の愚痴を聞く機会が良くあります。確かに、日本の会社員の80%以上は、少なくとも、業務遂行においては、自分の頭で考えていない、動けていないと思います。しかし、そうではない会社も、また、数多くあります。そういう会社は、まず、人の採用が上手です。船井総研的に言えば、いわゆる「素頭」の良い人「財」を見抜こうとする面接をされているようです。「素頭」とは、臨機応変力と言っても良いと思いますし、知識だけではなく、知恵のある人「財」と言っても良いと思います。しかし、そのような「自律」人「財」は、それほど多く存在しているわけではないので、止むを得ず、問題外の「不律(律することが出来ない)」人材を避け、せめてもということで、「他律」人材を採用することになります。そうして採用した「他律」人材を、いかにして「自律」人「財」に育て上げることが出来るか、その企業の人材育成力が問われるところです。その時に大切になるのが、「明確な目標設定」と「進捗管理の徹底」です。目標設定が明確でないのに「創意工夫」を求めるのは、非常に無謀な話です。「創意工夫」とは、「目標達成」のための「手段の選択とその実践において行うこと」ですから、目標を明確にしないで、「創意工夫」を求めることがいかにひどいことか、ご理解いただけると思いますが、そのひどいことが、かなり数多くの会社で、日常的に行われているようです。また、目標設定は、その目標を達成させる主体となる現場社員の納得度が高くなるように、その目標設定プロセスにおいて、「テマ(手間)ヒマ(時間)」をたっぷりかけることが大切です。目標設定に深くかかわったという事実が、納得度を高め、その実践時における目標達成への執着心を強めるからです。目標設定は、目標設定事態が目的ではなく、目標を達成させることが目的ですから、充分な「テマヒマ」をかけましょう。実践が開始される前のこの業務こそが、経営者や経営幹部にとっての主要業務のひとつになります。そのような納得度の高い目標が設定されたら、いよいよそれを達成させるための手段の選択とその実践です。これを、徹底的に考えさせるのです。創意工夫させるのです。もちろん、現場社員の考えることですから、「テマヒマ」かかる割には、経営者から見れば、レベルの低い場合が多いものです。しかし、まずは、自分の頭で考えさせることが大切なのです。「ニワトリが先かタマゴが先か」、まずは、やらせること、そうしなければ、永遠に「自分の頭で考え、動く」ようにはなりませんから。もちろん、間違った考えで動かれてもまずいので、最終的には、経営者や経営幹部が、正しい考えに誘導します。その際のポイントは、なぜ、これが正しいのか、そのプロセスをきちんと説明することです。同じような問題が発生した時に対処できるようになってもらうには、このプロセスが欠かせません。そして、実践。その際にも適度なタイミングでの「進捗管理の徹底」が欠かせません。実践の途中でモチベーションが下がってしまうこともありますし、大きく軌道をはずれてしまう場合もあるからです。このような「テマヒマ」のかかるプロセスを、きちんと実践しきることが、「自分の頭で考え、動く=自律人「財」を創る」ことになります。是非、愚痴を言わずに、日々、粘り強く、コツコツと実践されることをお奨めします。




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