インドは日本の広さの約9倍の面積を持ち、25の州からなる連邦共和国である。民族数も多く、それぞれが独自の文化を持ち、現在でも民族による文化が色濃く残っている。
インドの公用語はヒンディ語であるが、州ごとの公用語も多く、方言まで含めると大変多くの言語があると云われている。
日本にはいろいろな料理があるのと同じように、インドにも様々な調理法による料理がある。どこの家庭でも料理に合わせたスパイスを、混ぜ合わせて味付けをしている。この混合スパイスのことを「マサラ」という。インドではそれぞれの家庭や料理によって、スパイスを自由自在に組み合わせて、無数ともいえるマサラが使われている。
イギリスはインドを植民地として、統治していた時代が長く続き、このような混合スパイスを本国に持ち帰って、イギリス人好みにブレンドしたのが、カレーパウダーである。
英語の「カレー CURRY 」は、南インドのタミール語で、各種スパイスの入ったソースを総称する「カリ」に由来している。そして、このカレーパウダーは日本に伝わり、さらなる大変身を遂げることになった。
ハウス食品はカレー等香辛料の業界最大手である。1913 年(大正2年)浦上靖介が、大阪市松屋町筋に薬種科学原料店「浦上商店」を創業した。 26 年に「ホームカレー」の稲田商店を吸収し、布施市(現・東大阪市)の工場で、即席カレー(ホームカレー)の製造を始める。 28 年に「ハウスカレー」を発売。 47 年、社名を「株式会社浦上食料工業所」として法人設立。49 年、社名を「株式会社ハウスカレー浦上商店」と改称し、「即席ハウスカレー」を発売。60 年に「ハウス食品工業株式会社」に改称。この年に初めて固形ルウタイプのカレー「印度カレー」を発売した。63 年には「バーモントカレー」を発売し、初のテレビCMも登場して爆発的なヒット商品となる。68 年「ジャワカレー」、 71 年「ククレカレー」、83 年「ザ・カリー」「カレーマルシェ」、96 年「こくまろカレー」を発売し、カレールウのトップメーカーの地位を揺るぎなくした。
この間に即席カレーを経営の柱として、他の食品分野に参入していく。 70 年に「ククレシチュー」で、レトルト食品分野に参入。現在はシチュー用ルウも業界トップである。
73 年に「シャンメンしょうゆ味」で、ラーメン業界に参入。 74 年には[ねりわさび」を発売し、香辛調味料分野に参入し、その後は「ショウガ」「ニンニク」などをシリーズ化していく。77 年には米国ゼネラル・ミルズ社と技術提携し「ポテトチップス」を発売し、スナック食品分野に参入。78 年には「とんがりコーン」が大ヒット商品となる。83 年には「六甲のおいしい水」を発売し、飲料業界に進出。85 年に電子レンジ専用食品「レンジグルメ」を発売。89 年にオーブントースター専用食品「ディッシュアップ」発売。
昨年には、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士に、提供するために開発した「レトルトビーフカレー」「レトルトポークカレー」「レトルトチキンカレー」が、宇宙航空研究開発機構から、「宇宙日本食」として認証された。ハウス食品は常に時代の先を読む商品開発で、カレーを国民食にし、日本人の食生活を楽しませている企業ある。 メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)とは、肥満に高脂血症や高血糖が重なり、生活習慣病に進行する危険性の高い症状を云う。成人の有病者が1300 万人、予備軍は 1400 万人と推定されることが、厚労省の国民健康・栄養調査で判明している。
メタボリック症候群となる主な要因は、脂肪分・アルコール分・糖分の過剰摂取、時間が経った油料理(油が酸化して過酸化脂質となる)の摂取、それに食べ過ぎである。毎日の食生活の中で体内毒素、つまり過剰摂取した栄養分が溜まっていくようになる。これだけではなく、汚染された空気、野菜の残留農薬、加工食品に使われている食品添加物、微量では有るが新建材などから発せられる有害物質などもあり、普通に生活していても呼吸をしたり、食事をしたりするだけで、毒素を体内に溜め込む可能性がある。
もともと人体は、このような毒素を運動によって消費したり、解毒・排泄する機能を持つ。
しかし、近年の食生活は油の消費量が多く、環境破壊などから日常生活に使われる有毒物質も急増しており、人体が摂取する毒素も急増。その結果として、肝臓や腎臓がオーバーワークで疲れ果て、体内毒素の解毒・排泄作用が追いつかず、体内に毒素を溜め込む結果となる。体内毒素の主なものは、コレステロール、糖分、中性脂肪などである。
肝臓は体内毒素を分解する機能を持つが、あまり酷使すると肝臓は小さくなるため、更に肝臓を酷使するようになり、毒素を溜め込んでしまうという。本来は老年期になると肝臓は小さくなると云われるが、最近は若年層にも、小さくなってしまう症例があるという。
体内毒素が要因となる病気は、糖尿病などの生活習慣病か代表例である。これが進行すると血行障害や視力障害などを発症し、さらに心筋梗塞や脳梗塞などの危険性も生じてくる。
あまり気づかない症状例として、「疲れやすい」「抜け毛が多い」「肌荒れ・便秘症」「吹き出物が多い」「シミやシワが増えた」「意味もなくイライラする」などが挙げられる。
病気というほどではないが、漢方で云う「未病」にあたる様々な症状は、身体が発している悲鳴、やがて大きな病気につながる危険信号をはらんでいる。 ハウス食品の「ウコン」を配合した機能性飲料「ウコンの力」が、愛飲家の間で人気を集めている。ウコンは肝臓の働きを活発にすると云われ、二日酔い対策になると考えられているからだ。2004 年5月の発売以来、2年半で累計出荷本数は1億本を突破した。
ウコンは熱帯アジアを原産とするショウガ科の多年草で、英語名は「ターメリック」。ウコンの種類には秋ウコン、春ウコン、紫ウコンがある。秋ウコンは肝臓に良いとされる色素成分「クルクミン」が多く含まれ、春ウコンの5倍と云われる。カレーが主力商品のハウス食品では、カレーを黄色くする香辛料として、元々知り尽くしていた素材であった。
ウコンは長年の研究や臨床実験によって、アルコールの解毒作用だけでなく、強力な抗酸化作用による老化の予防や、現代病・生活習慣病の予防、血液中のコレステロールや中性脂肪を溶かして排泄する浄化作用、自然治癒力を呼び覚ます作用なども確認されている。
日本食の素晴らしさが世界的に注目されているなか、発酵食品の健康増進効果が見直されている。この代表例が味噌や納豆である。原料である大豆を、そのまま食べるよりも発酵させて味噌や納豆に加工した方が、健康増進に有益なことは広く知られている。これは発酵させることにより、大豆の抗酸化作用が高まるからである。
ウコンを健康の為に飲み始めたことが、アレルギー性鼻炎や花粉症の予防、それにガンやアルツハイマーの予防にも効果があることも確認されている。殺菌能力も非常に優れたものがあり、ウコンの主成分クルクミンを配合した肌着を、慢性皮膚炎に悩む患者に試着させたところ、患者の5割以上の症状が緩和された例もあるという。
特に女性には脂肪分解酵素の働きを高め、中性脂肪の沈着を防ぐため、ダイエット効果があるという。また、便秘・肌荒れの予防にも効くと云われ、シミ・シワを防ぎ身体の中から健やかな美肌を造る効果があると云う。中国では香辛料として使われるだけでなく、「漢方」では胆汁の分泌を促す薬草として、古くから扱われている。
そこで、ウコンの摂取方法だが、カレーなどで他の具材と一緒に摂取したり、スーパーで売っているターメリックをスパイスとして適度に摂取するのが望ましいと云う。ウコンは二日酔いのオヤジ達の必需品から、素敵な女性になるための必須アイテムになりそうだ。
ハウス食品が発売しているウコンの力も、飲みやすく適度に配合されており、07 年の小売りベースの売上高は、約 230 億円で連結売上高の1割を稼ぐ、大ヒット商品になっている。
今期も5割の拡大予想である。健康食品子会社株を100 %取得して開発も加速させており、
カレールウと共にハウス食品の屋台骨を支える商品に成長している。
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