ブランドに学ぶ 儲けを生みだすビジネス・コラム

桃太郎のビジネスコラム 31

☆ 快走するトヨタ☆

2005.01.04号  

一橋大学大学院の伊藤邦雄教授と日本経済新聞が協力して開発した企業ブランドの総合力を示す「コーポレートブランド価値」の2004年版ランキングによるとトヨタ自動車が3年連続で首位に立った。トヨタのコーポレートブランドの価値は6兆8585億円とのことで、前年比21%増となった。前回調査の8%増と比較するとブランド価値の増加に勢いが増している。業績好調に加え環境対策などへの取り組みが評価されていると云う(日経ネット2004.12.17より)。
ブランド価値の増加とともに、販売台数にも勢いがついている。トヨタが14日発表した2005年のダイハツ工業、日野自動車を含めたグループの世界での生産計画台数が800万台を突破する見通しだと云う。世界一の自動車メーカーである米ゼネラル・モーターズの2003年の世界生産台数824万台に迫る規模となっている。北米や欧州など世界の全地域で販売が伸びており、タイでは世界戦略車の生産が開始されている。世界戦略車は世界各地で生産販売するために開発され、部品調達から生産、輸出までを海外で一貫して行う。基幹部品の共通化などでコスト削減をはかり、多くの国で同じ車種を販売する事で生産効率を高めようとしている。世界戦略車の生産が本格化すれば世界一の自動車メーカーの座も視野に入ってこよう。

日本経済新聞社刊の市場占有率2005年版から、2003年の世界販売シェアと国内販売シェアを拾って見た。世界シェアではトヨタは世界5強の中で唯一前年比増となり、米フォードを抜いて2位の座を獲得した。一方、国内シェアでも個別車種の新車販売台数で「カローラ」がホンダ「フィット」から首位を奪還し、「ウイッシュ」「ノア」「アルファード」「エスティマ」など上位10車種に6車種を占め、国内では圧倒的な強さを誇っている。

世界販売シェア
ゼネラル・モーターズ   14.5% 856.7万台(前年比▲0.3)
トヨタ自動車       11.5% 679.5万台(前年比0.8)ダイハツ、日野を含む。
フォード・モーターズ   11.1% 655.8万台(前年比▲0.7)
フォルクス・ワーゲン    8.5% 502.2万台(前年比▲0.1)
ダイムラー・クライスラー 7.4% 437.2万台(前年比▲0.5)

国内販売シェア
トヨタ自動車    44.3%  140.3万台(前年比2.0)
日産自動車    17.3%   54.8万台(前年比1.1)
ホンダ      14.4%   45.6万台(前年比▲4.7)
マツダ       6.2%   19.6万台(前年比0.4)
三菱自動車     3.7%   11.7万台(前年比0.9)

トヨタ自動車の好調は2004年9月の中間連結決算にも現れている。国内販売は連結で2.3%増と若干苦戦しているが、最大市場の北米ではスポーツ・ユーティリティ・ビーグル(SUV)「ハイランダー」やハイブリッド車「プリウス」が好調で前年比12%増となり、世界市場でも前年比13%増の357万台を販売した。税引後利益ではホンダ、マツダと共に過去最高となった。
売上高も好調な海外販売を背景に日産自動車を加えた4社が過去最高となった。
大手5社の2004年9月中間連結決算を比較してみた。
売上高、営業利益、税引後利益の順に比較、かっこ内は前年同期比、単位億円。
トヨタ自動車  90.256( 9.7)  8.662(12.8) 5.840(11.4)
ホンダ     41.667( 3.5)  3.329( 4.7) 2.413( 0.9)
日産自動車   40.079(12.7)   4.034( 0.6) 2.388( 0.5)
マツダ     13.205( 9.2)   435(53.1)  187(68.0)
三菱自動車   10.708(▲11.3)▲ 634(赤字) ▲1461(赤字)

販売が好調なトヨタは設備投資にも積極的に動き出した福岡でのエンジン工場の新
設、北海道の自動変速機の増産設備など前年比11%増の1兆600億円と、中間決算で発表した通期の設備投資額は1兆円を突破した。
11月に来日した米カリフォルニア州のシュワルツネッガー知事は、カリフォルニア州にあるゼネラル・モーターズとの合弁生産拠点NUMMIでのハイブリット車の生産を働きかけたと云われる。シュワルツネッガー知事は州内のハイブリッド車普及を後押しする法案に署名したとの報道もある。北米ではハイブリット車は環境問題だけでなく、ガソリン価格上昇も普及を後押ししており、高価格が続けば2010年には20%のシェアを占めると云われる。人気車種「プリウス」は年初計画である3万6千台の販売計画から4万3千台に引き上げたが、夏には年内の予約が完了した。来年は10万台の販売計画を立てている。同州のマウンテンビュー市には同好者が集まり記念撮影をしたり、 愛車の自慢話に花を咲かせる
「プリウス・ファンクラブ」があるそうだ。同様なファンクラブがサンディエゴやロスアンゼルスにもあると云う。
又、来年4月に発売予定である「レクサス」ブランドのSUV車「RX400h」には、すでに9千5百台の予約が入っているという。
トヨタの快走にブレーキが掛かることは無さそうである。

 





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