ブランドに学ぶ 儲けを生みだすビジネス・コラム

桃太郎のビジネスコラム 324

☆ 偽物や海賊版の規制強化☆

2010.10.06号  

 今や私たちの生活にインターネットは欠かせないものになっている。インターネットショッピングも、企業の資材調達から個人の生活用品まで、誰もが利用する便利で楽しいショッピングツールとなっている。しかし、その中でも絶えないのが、偽ブランド品などによる被害である。偽ブランド品は話としては良く聴くが、なかなか身近な問題として捉えにくく、マスコミでも社会問題としての提起は少ないような気がする。バイアグラやサプリメントなどのなかには、内容成分が良く判らない商品もあると云われ、偽ブランド品の裏には、私たちの生命や事件に関わる様々な問題も隠されている場合もあり、危険がいっぱいなのだ。2005年には税関で差し押さえられた偽ブランド品は、およそ100万点にのぼり、没収された後は焼却処分されると云う。また、これらの偽ブランド品の収益の一部がマフィアやテロの資金源になっているとの話もある。偽ブランド品は権利者の利益を侵害するだけでなく、購入して被害に遭う人も多い。インターネットの環境は誰もが偽物を簡単に販売でき、インターネット上には溢れるほどの偽ブランド品が売られている。個人情報であるメールアドレスも売買されているらしく、偽ブランド品販売のダイレクトメールも頻繁に送られてくる。それらによる被害者数は数百万人にも及ぶと云われる。少し前の話になるが、フランスの某高級ブランドが偽物の横行に頭を悩ませていた。その高級ブランドの偽物バッグを、首都圏に住む主婦が偽物と承知したうえで購入。その後ネットオークションで販売するときに、正直に偽物であることを申告したため、そのブランドの指摘で警察に逮捕されるという事件があった。無知と云えば無知であるが、正直者が馬鹿を見るような話で、ネットショッピングには普通の主婦や青少年を犯罪者にしてしまうような危険が溢れている。

 昨年の偽ブランド品による事件を拾ってみる。1月には群馬県前橋市でショッピングモール内のアクセサリーショップで、ヴィヴィアン・ウェストウッドの商標を付した指輪39点が押収された。正規店で購入すると約6万円の指輪が、13000円から15000円で販売されていた。商品は東南アジアから約3000円で仕入れていたという。同じ1月に埼玉県川口署が、偽ブランド品をインターネットオークションで販売したとして、社長以下4人を逮捕。事務所からはグッチの偽造品など約200点が押収された。このグループは以前から偽造品を販売しており、平成18年には警視庁下谷署に捜索され、今回逮捕された従業員が罰金刑を科されていた。さらに今回の摘発に至った経緯から、東京税関からは中国から偽ブランド品を国際郵便で密輸しようとしていたとして、社長が関税法違反の罪で埼玉地検に告発された。3月には佐賀県諸富署がインターネットオークションでドルチェ・アンド・ガッバーナの、偽ジーンズを販売したとして衣料品等販売会社の社長を逮捕。会社からはロレックスの腕時計やヴィトンのバッグなど100点を押収。商品はベトナムの露天から仕入れた物だという。4月には北海道の札幌手稲署が自宅の車庫をショールームに改造し、偽ブランド品を販売したとして市内手稲区の夫婦が逮捕された。商品は口コミで来店した女性客に販売していたが、この口コミが警察にも広まり万事休す。同じ4月に警視庁大塚署が、埼玉県川越市の無職男性28歳を、偽ブランドのパンツを販売目的で所持したとして逮捕。アルマーニの下着232点、ドルチェ・アンド・ガッバーナの下着242点、バーバリーの下着78点を押収。インターネットオークションで大量の偽造下着が販売されていることで、関連メーカーがネット上に警告を発したが、販売を継続していたため警察に通報して捜索を行った。5月には三重県の伊勢、松坂、鳥羽の3警察署が男女計10人を逮捕。関係12箇所を捜索し、17ブランドの偽造品41000点を押収。7月には千葉県警と旭署が男女二人を逮捕。女性は平成18年から約1億円を販売。中国にFAXで発注し、船便のコンテナ混載で大型段ボールに入れて輸入していた。8月には富山県高岡署が韓国人男性を逮捕。平成18年の偽ブランド品大量密輸事件で、日韓犯罪人引き渡し条約に基づき平成19年に逮捕状を取り、韓国政府に身柄の引き渡しを要請。平成21年になって韓国側が身柄を拘束し、韓国仁川国際空港で待機中の中部国際空港行きの飛行機の中で引き渡しを受ける。商標法違反による身柄の引き渡しとしては初めてのケースだった。このように調べていくと書ききれないくらい事件が毎月発生している。

 朝日新聞によると今月2日、日米欧や韓国など37カ国は、模倣品・海賊版拡散防止条約の交渉で大筋合意したと伝えた。日本が2005年に提唱し、9月23日から東京で最終交渉をしていた。主に中国で造られる偽ブランドの模造品や、違法コピーの海賊版の取り締まりを水際で強化するのが狙いで、来年にも正式署名する見通しだという。条約は世界貿易機関(WTO)の模造品防止に関する協定を強化するもの。同協定で輸入時のみに義務づける模造品の取り締まりを輸出時にも拡大。摘発を逃れるため模造品とは別の場所で造られている偽ラベルの刑事罰化や、模造品を小分けにして持ち込む少量貨物の摘発も盛り込んでいる。インターネット上で流通する模造品対策では、プロバイダーと被害企業が協力して対応できるように政府が支援することを規定。海賊版ソフトをゲーム機で使える技術も規制する。経済開発協力機構(OECD)によると、2007年の世界の模造品・海賊版の貿易額は推計で2500億ドル(約21兆円)にのぼるという。条約交渉には中国などが参加しておらず、日本などは今後、模倣品が多く流通するアジアや中東、それに中南米諸国などにも加盟を呼びかけるとしている。今後協議を進める二国間の経済連携協定(EPA)にも同様の内容を盛り込み、実効性を上げたいとしている。

 最近はパソコンだけでなく、携帯電話によるインターネットも普及して、何処にいても匿名で気軽に商品の売買が出来る環境が整っている。因って、安易な気持ちで偽ブランド品の販売を始める個人の利用者も後を絶たない。しかし、偽ブランド品の販売は違法行為であり刑事罰の対象になる。軽い気持ちで小遣い稼ぎに販売を始めるネットユーザーが、最近になって次々と摘発されるケースが増え、容赦なく処罰を受けているのが現状である。インターネットショッピングの際には、購入する側も模造品や海賊版を掴まされないよう充分な注意をすることが必要である。これら怪しいサイトの特徴を挙げてみよう。まずサイト上や取引メールのやりとりで、日本語の使い方が怪しい。価格がビックリするくらい安い。支払いは国内口座に振り込み、商品は海外からの発送。一定期間でサイトが閉鎖され、同じサイトが別なURLで出てくる。メール広告でURLを送ってくる。URLや店舗の名称に、堂々とCOPYやスーパーコピーといった言葉を使用している。購入したユーザーとのトラブルとしては、一度購入すると連絡先に指定したアドレスに販促メールが届き、別な業者からも次々とメールが送られてくる。発注した後に在庫がないと連絡が入り、別な商品に変更するように要求される。発注した商品と送られてきた商品が違い、交換要求に応じてくれない。発注してから商品が届くまでに2ヶ月から3ヶ月も掛かった。日本語が意味不明で、ラチのあかない交渉が繰り返され、最終的に返金交渉ができなくなった。最悪の場合は商品が税関で没収されたり、商品が届かないというケースも報告されている。偽ブランド品は最初から悪意を持って販売されている場合もあり、最終的には暴力団やマフィアの資金源に繋がっている場合も多い。個人の利益を目的に軽率に販売に関わると、結果的にそうした団体の活動を支援することになってしまう。因みに、商標権又は専用使用権を侵害する行為として、偽造品の輸出入、製造、販売、販売目的所持が問われ、個人に対する罰則は10年以下の懲役、若しくは1千万円以下の罰金が科せられ、これらの併料となる場合もある。法人に対しての罰則は3億円以下の罰金となっているが、これは犯罪に対する刑事罰であって、その他に当該ブランドから民事訴訟として損害賠償請求をされる場合もある。我々素人は不正商品の販売には絶対に手を出さないこと。購入する場合にはサイトにある会社概要とか、商品内容と価格などを他サイトと見比べるなどして、信用のおけるサイトで購入することが肝要である。



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