ブランドに学ぶ 儲けを生みだすビジネス・コラム

桃太郎のビジネスコラム 34

☆ バレンタインとチョコ☆

2005.01.25号  

 まもなくバレンタイン・ディやホワイト・ディがやってくる。
ローマ皇帝クラウディウス二世(在位 268〜270)は、家族や恋人に対する愛は戦意を欠
くと考え結婚を禁じる政策をとった。若き聖職者バレンティヌス司教(バレンタイン)はそれに背き、当時禁じられていたキリストの愛の教えを広めようとし、兵士の結婚式を執り行ってあげた。バレンティヌスは皇帝の怒りにふれ投獄されてしまいます。この時に取り調べをしたアステリオ判事には盲目の娘がいた。この娘の目がバレンティヌスの愛の力で奇跡的に直ってしまった。アステリオはバレンティヌスに感謝し、一家揃ってキリスト教に改宗した。これが元でバレンティヌスは迫害を受け殉職してしまう。
「若い恋人達を結婚させて愛を成就させてやった」「愛の力で盲目の娘の目を治した」ことで、中世ヨーロッパで聖バレンタインは「愛の守護神」とされるようになり、バレンティヌスの命日が「愛の日」となったと云われる。
14世紀頃から、この日に恋人達がプレゼントなどを交換するようになった。そして第一次世界大戦後にアメリカで「恋人達の日」として普及した。
この日に未婚、既婚を問わず女性から男性へチョコレートを贈ったり、未婚女性から男性に愛の告白をしたりする風習が一般的に行われたり、男性からお返しのプレゼントを贈るホワイト・ディなどは日本が独自に作り上げた文化のようです。
因みにホワイト・ディは海外では存在していない由。


 日本で最初にバレンタインディの広告を出したのは、神戸の洋菓子店「神戸モロゾフ」でした。1936年2月12日付け英字新聞ジャパン・アドバイザー紙に「バレンタイン・ディにはファンシーケースボックス入りのチョコレートを贈りましょう」と宣伝したそうです。その後第二次大戦の時期を経て55年以降にデパートが恋人に贈り物をする日として宣伝したようですがあまり定着しなかったようです。
チョコレート業界では58年にメリーチョコレートが「2月14日のバレンタイン・ディには
チョコレートを贈ろう」と宣伝し、新宿・伊勢丹でハート形のチョコレートの売り出しをおこなった。このセールで売れたのは5枚たらずだったが、日本チョコレート・ココア協会などが便乗して、2月14日は「チョコレートの日」と定めた。知名度が上がるにしたがい、バレンタイン・ディにはチョコレートを贈る風習が根づいたようです。
企画を立てたメリーチョコレートの営業主任だった原 邦生氏(現社長)はパリ在住の先輩商社マンから一枚の絵葉書をもらった。「ヨーロッパではバレンタインディという風習があり、花やカード、チョコレートを贈り、愛を告白する」と書かれていたのを、チョコレートと愛の告白だけが脳裏に残りすぐさま行動に移したそうだ。

 都内のデパートなどでは2月14日のバレンタイン・ディを前にして、バレンタイン商戦が本格化している。日本チョコレート・ココア協会によると、全国のチョコレートの年間売上高は約4000億円で、1月後半から2月前半に500億円以上売り上げるそうだ。
女性から男性への愛の告白用として始まったバレンタイン・チョコは、やがて義理チョコとして多くの男性に配られるようになる。さらにファミリー・バレンタインへと広がり、最近では自分へのご褒美チョコとして「マイセルフバレンタイン」の動きが有るそうだ。
「美味しいチョコは自分用」という傾向もあり、最近は量より質で高級化志向が進んでいると云う。

 メリーチョコレート・カムパニーはJR東海道線や京浜東北線を川崎から品川へ向う途中の蒲田駅を少し過ぎた右側の線路沿いにある。大田区の情報サイト「イーチラシドットコム」としては、大田区の企業として一度は取り上げてみたいブランドだった。
50年8月に渋谷区で創業し、高級チョコレートやキャンディの製造販売を始める。
52年9月にメリーチョコレート・カムパニーを設立した。69年10月に大田区大森西の現在地に本社工場を新築移転した。98年にはハイセンスな街である自由が丘にも出店。01年に創立50周年を迎え、02年には「サロン・ド・ショコラ・イン・パリ」で準グランプリを受賞した。今ではバレンタイン・ディと云えば、メリーチョコレートを連想させる年商164億円(02年8月期)の中堅企業に成長している。同社ではバレンタイン・ディに向けた売上高比率は公表していないが、バレンタインには欠かせない大田区発のブランドである。
同社では毎年「バレンタインどきどき、ワクワク川柳」を募集している。バレンタイン・ディへの関心と、チョコの需要喚起を考えた、大変良く練られた販売促進の企画である。
Webサイトで公開されている昨年の傑作100選集の中から幾つかご紹介しよう。
本命の彼に「あなただけ 添えた言葉は 十人目」女心とは「ライバルの チョコを横目に 買い直す」「義理チョコの 振りが悲しい バレンタイン」義理チョコがきっかけで「義理チョコを 指まで舐めた 人と住む」「子に言えぬ チョコで父さん 釣ったこと」思わず笑ってしまう傑作だ。投稿者の年齢を見てみると中高年が比較的多いようだった。
おじさん族として最後に選んだ迷作?は「義理チョコを くれる飲み屋を はしご酒」




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