雑誌に名古屋大学が調査した、睡眠に関する興味深い記事が載っていた。データによると平均 7時間の睡眠をとる人が最も死亡率が低いという。睡眠時間が短いと糖尿病になる危険性があると云われているが、長ければ良いとも限らないらしい。男性の場合 7時間の睡眠を基準にした死亡率をみると、8時間で1.11倍、10時間で1.73倍に増加しているとの
調査結果がでたそうだ。
日本人は睡眠が健康に与える影響が大きいことに、関心の度合いが低いと云われている。
欧米では睡眠を人生の三分の二の時間を活かすための準備時間としており、日常生活の三分の一を占める睡眠時間を充実させなければ、良い仕事や勉強ができないと考えている。
私達が睡眠をとる時には仰向き、横向き、うつ伏せやうつ伏せ気味の横向きなど、無意識のうちにさまざまな寝姿になっている。アメリカのベッドメーカーであるシモンズの実験によると、人は 8時間の睡眠中に 36回の寝返りをうつとのデータがある。つまり精神的なストレスだけでなく、寝心地の悪さが原因で熟睡していない場合が多いそうだ。
快適な睡眠には欠かせないのがバランスの良い寝具であり、その一つに枕がある。 テンピュール・ジャパン社のネックピローがブームとなっている。日本では92年からベッド生活を強いられる医療施設などの寝具として売り出した。初めはなかなか受け入れられなかったが、体調管理に快適な睡眠を望むスポーツ選手や、不規則な生活で寸暇に熟睡したい芸能人達のあいだで使用感の良さが伝わりだした。口コミ社会の日本で有名人達が使用していることが知れ渡り、次第に知名度が上がっていった。
販路は大手百貨店などに広がり、大手ホテルチェーンから2万5千個の大量受注するなど、発売以来400万個以上を売上げるようになった。現在は世界60ヶ国で販売されている。
社名でもあるテンピュールとは体圧を分散する機能を持つ素材である。
原型は70年にNASA(米航空宇宙局)のエームズ研究センターで開発された。開発目的はロケットの打ち上げ時に、宇宙飛行士にかかる加速重力の緩和と宇宙船内の座席の快適性を保つことにあった。これを一般民需のニッチなビジネスに応用したのである。
開発目的からして大量生産を前提としておらず、医療向けなど特殊な場合のみしか利用されていなかった。91年に日本法人の親会社であるテンピュール・ワールドのダン・フォーム工場で広範囲にわたる素材の生産技術が開発された。大規模な生産体制が整い、枕、マットレス、クッションなどの製品が次々と開発されるようになった。 松井秀喜選手が米大リーグのヤンキースと 4年総額 5200万ドル(推定金額 約61億8800
万円)で契約に合意したとの新聞報道があった。契約には松井本人の同意なしには他の29チームへトレードしない、ノートレード条項も含まれている。02年のシーズンオフに3年
総額2100万ドル(推定約25億円)で契約したのと合わせると、年棒総額は87億円になる。
メジャーリーグ 7年間での出来高払い契約分やCM料など少なくも100億円の稼ぎである。
日本の球界で育ちメジャーリーグへ羽ばたいた、まさにシャパニーズドリームの具現だ。
スポーツ紙などの報道を見ると、松井が生み出す経済効果は計り知れない額のようだ。
MLBの野球中継を見ていると、味の素、シャープ、コマツなどの日本企業や商品名が、大リーグの象徴であるヤンキースタジアムのフェンスにでている。中継で露出頻度の高いバッターボックス後ろのバックネット広告は半数が日本企業で、半イニングごとに広告が入れ変わる。それでも広告料は年間 1億円と云われている。今年は 10社近くの日本企業が広告スポンサーになっており、ジャパンマネーは松井とともに大活躍である。
日本人観光客のヤンキース観戦やツアーは、松井がヤンキースに入団する前は年間 1000人程度だったのが、03年以降は 5倍に膨れ上がり、旅行代理店では観戦チケットの奪い合いになっているそうだ。
グッズの売上や全米中継のテレビ放送権料はMLBが一括管理する仕組みになっているが、各球団への売上配分はヤンキースに有利になっているとも伝えられている。
ニューヨーク市にも恩恵が及ぶ。04年3月に市観光局は松井を観光親善大使に任命した。
日本人観光客は 9・11同時テロで大幅に減ったが、松井の入団後は急速に回復し、年間約
42万人、関連経済効果はピーク時の 5億ドル近くに戻りつつあるという。
スポーツイラストレーテッド誌は、03年秋にMLBが日本向けテレビ放映権料を 2億7500
万ドル(約327億円)で売れたのは「ゴジラが来たからだ」と報じた。
今では松井の存在自体が及ぼす経済波及効果は計り知れないボリュームとなっている。
その松井が03年に大リーグでデビューする時に「松井 マイ枕持参でNY入り」とスポーツ紙などで報じられた。体調管理に気を使う松井が持参したのは、テンピュール・ジャパンのネックピローだった。 枕も好みやライフスタイルと合わせて選ぶ事が大切で、理屈や数値を重視して機械的に選んでも、実際に好みに合わなければ長く使うことにはならない。気分良く使える事も精神的にリラックスできる要素である。私達は人生の三分の二のために、三分の一を睡眠のために費やしているのだから、寝心地悪い枕を使い続けて健康を損ねては本末転倒である。
枕の適正な高さは寝る姿勢によって違い、分厚い枕で仰向けに寝ると呼吸しにくく感じたり、薄い枕で横向きに寝ると肩や首筋が凝ったりするのは、無理な姿勢で寝ていることでおきる。快適な睡眠を得るには、素材が硬すぎず柔らか過ぎず、首にしっかりとフィットし、寝返りなどの体圧移動にも追随性がよく、リラックスしながら朝までベストポジションで寝られることだ。枕の素材としてのテンピュールは最高の性質をもっている。
テンピュール社は「首を支える枕でなければ良い枕ではない」ことを、枕作りの基本コンセプトとしており、体形の違う世界中の人々から受け入れられている。
最もポピュラーな「オリジナルネックピロー」は 1万1千円位から全国有名百貨店の寝具
売場で販売されている。この程度の金額ならば快適な睡眠のために、枕に対する出費があっても惜しく無いかもしれない。東急ハンズ各店ではレンタルも始めた。世界中で愛されている隠れたブランドを、試してから買うのも一考かも。
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