北欧の国々では厳しく長い冬を屋内で生活することから、質の高い暮らしの調度品などが発達するようになった。デンマークの王室御用達の製陶所として設立されたロイヤル・コペンハーゲン（既号 59.王室の陶磁器）は、テーブルウェアーとして 230年もの歴史を刻み、芸術性と品質の高さを兼ね備えた製品で世界中に多くのファンを獲得している。
フィンランドのノキアと云えば携帯電話では世界を征するほどのメーカーになったが、ケーブル会社と合併して電話事業を展開する会社となる前は、本国でゴム長靴などを製造販売したり、木材を伐採製材する林業を営む会社であった。
北欧では森林も多く独特の気候風土の中で育つ樹木から、質の良い家具用の木材が豊富に産出されている。チークやローズウッドなどの堅牢で比較的安価なモノ、著名なデザイナー達が手がける高価なモノや、フィンランドのバーチ（樺）材にこだわった白木を特徴とする家具、シンプルな機能美だけを追求した家具など多彩なジャンルが展開されている。
ハンス・Ｊ・ワグナーのデザインしたＹチェアーなどは座り心地の良さ、長時間座っていても疲れない機能性、そして日本の和室空間で使用しても違和感のないデザインの美しさが人気を博し、発売以来50万脚以上を売り上げる大ベスト＆ロングセラーとなっている。
このように北欧で生産される家具は世界中のマーケツトから高い評価を得ているモノが数多くある。 イケア（ＩＫＥＡ）は 1943年に設立されて、スウェーデンのナショナル・ブランドと
て急成長している会社である。格安の組立式家具を販売してヨーロッパでは絶大な人気となっている。 04年9月現在では 世界32ヶ国に 200店舗以上のイケア・ショップがあり、
ドイツ、フランス、イギリスではそれぞれ50店舗以上を展開している。
これらは郊外に大規模なショップを展開し､「ホームファニッシングショップ」と呼ばれる販売方法を取り入れている。例えばキッチン用品の販売コナーでは、キッチン・ルームをイメージし、ダイニング家具、各種テーブルウェアー、グラス類からフライパン、各種キッチン・ユニット、それに照明器具やカーテンなどのインテリアにいたるまで、キッチン・ライフに必要なモノ全てをコーディネートして顧客に提案している。
ＩＫＥＡ製品は人気商品である肘掛け椅子をデザインした日本人デザイナー中村昇氏をはじめ、80人以上の専任デザイナーがおり、各国の著名デザイナーとも共同製作している。
商品は世界55ヶ国、1800ものサプライヤーにより製造され、「Design and Quality. IKEA of Sweden デザインとクオリティ スウェーデンのイケア」と表示されている。
昨年はインターネットで 1億2500万件のアクセスがあり、ネット販売の比率が年々上昇している。カタログは 04年には25言語52版が作成され、合計 1億6000万部のカタログが世界中のファンに配布され、快適な暮らしのスタイルを提案している。
日本には 70年代に日本企業とのジョイントで上陸したが、北欧家具は高級高価のコンセプトと組立式家具の販売方法が日本には馴染まず、90年代前半に一時撤退した。
01年に日本再上陸が決定され、02年7月に日本法人「イケア・ジャパン」が設立された。05年9月に一号店のオープンを予定していたが、迅速な販売管理体制を行うため中国上海に大規模物流センターを建設する事になり、06年4月23日オープンに延期となった。 東関東自動車道を成田方面へ走り、都内を抜けて千葉県に入るとすぐ右側に東京デズニー・リゾートが視野に入ってくる。少し走って船橋市に入ると左側にららぽーとがあり、右側にうなぎの寝床のような不思議な建物が目に入ってくる。
千葉県船橋市でシュッピング・センターやヘルス・センターなどを経営しているららぽーとが運営していた世界最大で、史上最大の屋内スキー場ザウス（SSAWS）である。
93年7月15日から 02年9月30日まで営業していた。設備の高低差100ｍ、ゲレンデの高低差80ｍ、設備の長さ500ｍ、ゲレンデの長さ480ｍ、幅100ｍの人工スキー場で、低い部分は初心者用、高い部分は中・上級者用のゲレンデとなっていた。
Spring Summer Autumn Winter の四季にスキー場に欠かせない Snow の頭文字をとってSSAWS ザウスと名付けていた。一年中スキーが出来ることをＰＲするネーミングだったが､バブル景気が弾けた後では営業的には失敗だったようである。
屋内スキー場としては距離も高さもあったためリフトが設置されたが、法律ではリフトを設置する場合は危険防止のため風速計の設置が義務づけられていた。監督官庁（当時の運輸省）の役人が許認可することとは云え、風の吹かない屋内スキー場に風速計の設置を義務づけたという馬鹿みたいなエピソードが残っている。
スキー場が閉鎖されたあと、03年から04年にかけて解体され、広大な敷地の一部は07年1月に総戸数1211戸の大型マンション「ワンダーベイシティSAZAN」が完成する。
そして残りの敷地にはイケア・ジャパン一号店が4月23日にオープンする。 IKEAは創業者イングヴァル・カンプラードのイニシャルI・Kと、彼が育ったスウェーデン南部スモーランド地方、故郷のエムタリッド農場があるアグナリッド村の頭文字 E・Aに由来している。
イングヴァルがボールペンやクリスマスカードなどの雑貨の販売をしてＩＫＥＡの商標を登録したのは17才の時であった。
22才の時に RUTという名の肘掛け椅子の販売を手始めに、家具販売をスタートさせた。
86年には社長の座を後進に譲ったが、現在も最高顧問としてイケアの商品品質やコンセプトを顧客の厳しい視点から見直し、新たなビジョンやアイデアを提示している。
スモーランドの農家の息子だったイングヴァルは、実業家として世界中で認知されるようになった現在でも「私ほど数多くの失敗を重ねてきた人間はいない」と語り、創業時のつつましさを持ち続ける謙虚な人柄と、進んで責任を全うする姿勢や、革新性を重んじて自身の欠点を補う努力などがイケア独自のコーポレート・カルチャーとして根付いている。
イングヴァル・カンプラードは著書「ある家具商人の言葉（’76年）」のなかで、「心からやりたいと思えば不可能なことはない。力を合わせて輝かしい未来を勝ち取ろう！」と語りかけており、これがイケア社員の行動指針となっている。
イケアの「より快適な毎日を、より多くの方々に」という言葉はイングヴァル・カンプラード自身のライフ・ワークであり、企業としてのコア・イデオロギーともなっている。
05年4月8日にスウェーデン王国ヴィクトリア皇太子の臨席のもと、国内2号店となる「イケア港北」の起工式が行われた。第三京浜港北インターを降りて2分の距離に本年10月にオープン予定である。また、3号店は神戸市のポートアイランド跡地を既に取得しており、09年夏の出店を目指している
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