恋人同士の「愛の証」である婚約指輪は古代ローマ時代からあったと伝えられている。
人類最初の愛の証には鉄製の指輪が使われていたそうで、2世紀頃になると金をリングに加工していたとの説もある。1456年にオランダ人のベルケムがダイヤモンドを磨くことに成功し、王家の子女の結婚にはダイヤモンドの婚約指輪が使われるようになった。
史実に残っている婚約指輪はフランスのブルゴーニュ公の娘マリアと、ハプスブルグ家の王子マクシミリアン大公が婚約したときに贈られた。マリアとマクシミリアン、それと聖母マリアの結びつきを表すMの文字を模した指輪だったといわれている。その後マクシミリアンはローマ王に選ばれマクシミリアン一世となり、近世ヨーロッパ王政史そのものといわれている大帝国を築いたハプスブルグ家の礎をつくった。
その後は時代の変遷と共にダイヤモンドのついた婚約指輪のデザインは変わっていった。
一般庶民に普及するようになったのは 19世紀になってからで、ティファニーがブリリア
ンカツトのダイヤモンドをプラチナのリングで支えた指輪を売り出して人気を博すようになった。 1879年、ギリシャの優れた銀器職人がトルコの圧政から逃れてイタリアに渡った。ソリティオ・ブルガリは 1884年にローマのヴィア・システィーヌ通りに銀細工商として最初
の店をオープンした。二人の息子ジョルジョとコンスタンティノはギリシャやローマ古典主義、それにルネサンスの影響を受けて独特のデザインを生みだし、色の美しいポリューム感のある「ブルガリ・スタイル」を完成させた。
コンスタンティノは骨董品の蒐集家でもあり「イタリアの金細工・宝石・金銅細工」を編集したことで知られている。
ジョルジョはジュエリー・デザイナーとしてダイヤモンドをパープル、イエロー、ピンクといった独特の配色をしたり、トッパーズやアメジストにエメラルドやルビーなどを脇役のように添えるといった大胆な組み合わせのデザインをした。このようなデザインはやがてブルガリ・スタイルの典型となっていった。
いくつかの輝石をパーツとして組み合わせたボリューム感が溢れるデザインは、ブルガリならではのスタイルとして継承され、その後さまざまなコレクションが誕生した。
ブルガリのジュエリーを愛用しているセレブには、往年の大女優であるエリザベス・テーラーやソフィア・ローレンがいる。今ハリウッドで最も輝いている女優といわれるニコール・キッドマン、同じくハリウッドでファション・アイコンと言われる女優のクロエ・セヴィニーも憧れのリングの愛用者達である。そして、元おニャン子クラブの渡辺美奈代夫妻や元横綱若の花夫妻などが愛用していたことで知られており、若い恋人達にとつて最も人気の高い愛の証が、「ブルガリの婚約指輪」である。 米宝飾ブランド「ティファニー」のオンライン・ショップが昨年11月にオープンした。ネットで高額商品を買うことに抵抗がなくなった消費者は、100万円近い商品を購入する
客も少なくないという。ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インクではブランド企業がネット販売に参入する理由として、店舗が無い地域での販路開拓、顧客が24時間何処からでも買える利便性、ネット上でのブランド・イメージの管理と向上、並行輸入業者の不正防止とサービスの差別化などを挙げている。
フランスの高級ブランドであるルイ・ヴィトンも日本や英・仏でオンライン・ショップに乗り出している。ネット販売はブランド・イメージを左右する媒体として重要度が増してきており、販売ルートとしても無視出来ない時代になってきている。
エルメスも日本国内では商品販売していないが、仏・米ではおこなっている。カルチェ、シャネル、アルマーニなども日本語サイトを開設しており、ブルガリも近々開設すると発表された。日本のネット上に「高級ブランド街」ができる日がまもなくやってきそうだ。 ジョルジョとコンスタンティノの子供達であるパオロとニコラが三代目を継ぎ、1984年から85年にかけてパオロ・ブルガリがグループの会長になり、ニコラ・ブルガリが副会長に就任し、二人の甥であるフランチェスコ・トラバーニが社長に就任した。
新しい時代の経営体制が整い、商品の多角的な展開は77年に販売開始して現在も高い人気を誇る時計「ブルガリ・ブルガリ」のリニューアル、93年には香水に進出し、96年のシルク製品とサングラスへの展開で本格化した。95年には持株会社のブルガリS.P.Aがミラノ証券取引所などに上場して事業拡大を加速させた。一昨年にはイタリア・ミラノにホテルをオープンさせ、今夏にはバリ島にも2軒目を開業する予定である。
日本では 87年からブルガリ製品の販売をスタートしていたが 91年に日本法人を設立しており、現在では直営店など33店舗を展開している。日本での売上実績は世界販売の26%を占めている。
持ち株会社の会長でもあるフランチェスコ・トラバーニは「日本人は品質に厳しい目を持っているため、新製品の発表や新しい流通経路のテストなどを行っている。」と話し、新しい形態の店舗にも意欲をみせている。昨年秋には東京・銀座と大阪・心斎橋でバックやサングラスなどの小物雑貨専門店を世界で初めてオープンし、日本市場の拡大をはかっている。
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